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撮影スタジオは都内の某所にあった、細長いビルの各階にはテーマ別の部屋が設けられているのだ。
さとみ達がレンタルしたスタジオテーマはずばりアイドルライブ風であった。そのままライブ会場として使用できそうな雰囲気に集まったレイヤーたちは興奮する。
「やっば!あの人!ゲームから飛び出してきたみたいじゃん!」
カメコ担当の友人はいますぐにでもファインダーを覗きカメラを向けたそうにソワソワして落ち着かない。
「こらこら、ルール違反だぞぉ」
「だってー!そこに立っているだけで絵になんだもん!もちろん、さとみも凄いけど」
とってつけたようなお世辞を言われてさとみは複雑な顔をする。
いくら男っぽいとはいえ、完璧なコスプレは難しい。
彼女が演じる赫神リョウタは釣り目であり、どちらかと言えば優しい顔立ちのさとみは似ていない。化粧でなんとか取り繕うがやはり違和感をおぼえるというのが自己評価だ。
「うーん、やっぱメイクもうちょいキツメが良いかな?」
鏡を取り出して確認していると声を掛けてくるレイヤーがいた。さとみより若干背が低いその人物は”黄原アイト”という童顔キャラクターの衣装をまとっていた。
「十分にリョウタですよ!むしろ本物以上!あ、初めて併せ参加します。M村です」
「こちらこそ初めまして、貴女もアイト君にそっくりですね」
「ありがとうございます!えへ。嬉しいな」
M村と名乗ったその人はキャラクターの声真似をして返事してくれた。それがとても良く似ていたらしく、周囲で待機していたカメコやレイヤーたちが黄色い声を上げる。
「いやぁ今回の併せはバチクソクオリティが高いわ~眼福眼福!全員が満点花丸の出来ですなぁ!」
さとみに同行していたカメコ友人はあらゆるアングルで写真を撮りまくっていた、用意していた数十枚のSDカードが足りないほどだと盛り上がる。
「みなさん、本日はご参加ありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いします、撮影データにつきましては後日こちらからお報せいたします」
<<<<お疲れさまでしたー!>>>
レンタル時間ギリギリまで楽しんだ彼女達は、主催の解散挨拶を聞いてロッカー室で素に戻りバラバラと帰路についた。
「くう!今夜は興奮して眠れそうもないわ」
「あははは、大袈裟だね」
さとみも素顔になって潰していた地毛をガシガシと掻き毟った、ウィッグで蒸れた頭皮が痒いらしい。コスプレは楽しいがメンテナンスがたいへんそうだ。
その後、何事もなく帰宅したが、その翌日から再び白い手紙が捩じ込まれるようになった。
さとみ達がレンタルしたスタジオテーマはずばりアイドルライブ風であった。そのままライブ会場として使用できそうな雰囲気に集まったレイヤーたちは興奮する。
「やっば!あの人!ゲームから飛び出してきたみたいじゃん!」
カメコ担当の友人はいますぐにでもファインダーを覗きカメラを向けたそうにソワソワして落ち着かない。
「こらこら、ルール違反だぞぉ」
「だってー!そこに立っているだけで絵になんだもん!もちろん、さとみも凄いけど」
とってつけたようなお世辞を言われてさとみは複雑な顔をする。
いくら男っぽいとはいえ、完璧なコスプレは難しい。
彼女が演じる赫神リョウタは釣り目であり、どちらかと言えば優しい顔立ちのさとみは似ていない。化粧でなんとか取り繕うがやはり違和感をおぼえるというのが自己評価だ。
「うーん、やっぱメイクもうちょいキツメが良いかな?」
鏡を取り出して確認していると声を掛けてくるレイヤーがいた。さとみより若干背が低いその人物は”黄原アイト”という童顔キャラクターの衣装をまとっていた。
「十分にリョウタですよ!むしろ本物以上!あ、初めて併せ参加します。M村です」
「こちらこそ初めまして、貴女もアイト君にそっくりですね」
「ありがとうございます!えへ。嬉しいな」
M村と名乗ったその人はキャラクターの声真似をして返事してくれた。それがとても良く似ていたらしく、周囲で待機していたカメコやレイヤーたちが黄色い声を上げる。
「いやぁ今回の併せはバチクソクオリティが高いわ~眼福眼福!全員が満点花丸の出来ですなぁ!」
さとみに同行していたカメコ友人はあらゆるアングルで写真を撮りまくっていた、用意していた数十枚のSDカードが足りないほどだと盛り上がる。
「みなさん、本日はご参加ありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いします、撮影データにつきましては後日こちらからお報せいたします」
<<<<お疲れさまでしたー!>>>
レンタル時間ギリギリまで楽しんだ彼女達は、主催の解散挨拶を聞いてロッカー室で素に戻りバラバラと帰路についた。
「くう!今夜は興奮して眠れそうもないわ」
「あははは、大袈裟だね」
さとみも素顔になって潰していた地毛をガシガシと掻き毟った、ウィッグで蒸れた頭皮が痒いらしい。コスプレは楽しいがメンテナンスがたいへんそうだ。
その後、何事もなく帰宅したが、その翌日から再び白い手紙が捩じ込まれるようになった。
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