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異常
しおりを挟むその後、根掘り葉掘りと衛兵に尋問を受けたアロルドだったが、まったく身に覚えがなく愛人関係ですらない事を強調する。
「本当だ!つい最近まで存在を忘れていたんだから!カツレッツだとかそんな名さえ覚えていない」
「カルロッタな……うん、なるほど完全な横恋慕と言う事か」
取り調べた衛兵は難しい顔をして調書を取った、事前に知人の衛兵に相談していたこともあって、なんらアロルド側に落ち度はないと決定づけられた。
「はぁ……面倒臭いったらなかったよ」
消沈する夫にロサーナは大変だったわねと労いの言葉をかけた。だが、今後の事を考えた、このまま此処にいて良いものかと。
「そうだなぁ、引っ越そうか。元よりここは借家なんだし、引っ越し代の請求くらいはして良いだろう」
「そうね……それに応じるかはわからないけど」
幸い、カルロッタの両親は常識人ですぐに対応してくれた。娘が迷惑をかけたと慰謝料まで支払ったのだ。
こうしてカルロッタのストーカー事件は幕を下ろした。
……かに見えた。
弁当を台無しにした程度では2週間程度の禁固と厳重注意で済んでしまったのだ。カルロッタの両親は娘を監視してくれたのだが身内という事もあり油断が生じた。
「トイレに行く」というカルロッタをついウッカリ信じ込み、そのままにしてしまった。
「待っていて私のアロルド、うふふ……今度こそ二人は結ばれるのよ」
裸足で駆けだした彼女は傷が付こうがお構いなしで走る、すぐにアロルドの家へ着くと「ここを開けて!私よカルロッタが来たわ」と騒いだ。
だが、肝心の家主はいなかった、とうに引っ越していて新しい家主がそこにいた。
「誰だ?休日の朝から煩いな」
渋々とドアを開くと目の前には目を血走らせた怪しい女が立っていた、手には泥と襤褸切れで作られたサンドイッチがある。
「ひぃ!?なんだお前は!」
「アロルドを出して、あぁアロルド、私は此処よ貴方の愛する妻が来たのよ!サンドイッチを作ってきたわ。うふふふ」
気持ち悪いと思った家主は出て行けと怒鳴りドアを閉めてしまった。
だが、それは悪手だった……。
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