破滅エンドの悪役令嬢は忙しない

音爽(ネソウ)

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中の人の事情

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バレリアは異世界、つまり日本からの転生者であると告白した。
それを聞いたセレスティナは「益々感動だわ、これは運命の出会いに違いない」と有頂天になったものだ。

「ボクの名は麻…」
「待って!せっかくゲームの世界に転生出来たのに、本名を名乗るのは興覚めではなくて?」
「そ、そうかそうですよね!わかりました、改めてセレスティナ・サリーノです。よろしくお願いします」

「ボクがいる限り破滅エンドなんてさせませんから!」
「え、ええ……た、頼もしいわ。オホホホ……え、ボクっ子?」
「あ、ごめんなさい。ボクは元男なんですよ、えへへ」
「ええー!男の子ですって!?」

聞けば彼は病弱でいつも床にいて、永遠とゲームをしていたらしい。そして、ゲームを何度も繰り返ししていた所、バレリア・アゴスティニに惚れてしまったらしい。

「彼女はですね、実はとても繊細で傷つき易いんです。居丈高に振る舞いながらも、その実は王子に恋慕していてとても可愛らしい女性なんですよ!」
「わ、わかるわ!あの薔薇園でのエピソードは泣けるわよね!バカ王子がセレスティナに愛の告白をする場面を見てしまう所は切なかったわ」

バレリアは昨日のことのように思い返して涙ぐむ、悲しい思いをしてきたのはいつも悪役令嬢だった。
「そうです!だからバレリアのファンは多いんですよ!スピンオフまでできちゃったんだから!」
「スピンオフですって……あぁ、そうか続編をプレイする前に死んじゃったから」
「え、そんな」

バレリアのは病気療養中に儚くなり転生したのだ、彼女は悔し気に「プレイしたかったわ」と悄気る。
「大丈夫ですバレリア様、きっと幸せな道へとボクが導きますからね!」
「え、ええそうなの。でもどうやって?」
「そんなの簡単ですよ!ボクがバカ王子に惚れなきゃ良いんです!だーれが好き好んであんなのに惚れますか!」
「バカ王子……ふふ、そうねその通りかもしれない」


彼女は一縷の希望を見出し「死なずに済むかもしれない」と期待をしたのである。









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