融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。

音爽(ネソウ)

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その後のレイチェル

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金がないと知るやレイチェルは逃げた、宝飾品を持ち逃げしたがあっさり捕まる。
愛人ではあるが立場は内縁の妻なのだ、彼女の資産は公爵家のものと判断された。
取り上げられ金切声をあげたが誰も助けるわけもない。

結果、貧民街で暮らすしかなくなった。もとより娼館の女である、古巣に戻っただけ。
だが贅沢な暮らしを貪って生きていた弊害がでた、崩れた体型に客があまりつかないのだ。

「レイチェル、あんた豚になって帰ってくるなんて」馴染みの娼婦が揶揄う。
「うっさいわね!ちょっと細いからって調子のんないで!」


公爵家正妻を掴む前に夢砕けたレイチェルは荒れた。
毎晩体に悪そうな安酒をあおり、粗悪で脂まみれのツマミのせいで益々美貌は崩れていった。
吹き出物だらけでブヨブヨなメタボ体型。

ボンキュッボンからボンボボンボンになってしまった。
レイチェルは虚ろな目で回顧する。


かつて太客であった男爵に連れられていった夜会では、見目麗しい男達に囲まれていた。
いろんな令息と浮名を流した、彼女を愛人にしたい彼らは山のように貢いだ。

そのなかにダニエルを見つけた、蠱惑なレイチェルにアッサリ陥落したバカ。
公爵で見目が優れていて羽振りも良い、婚約者が金持ちらしいと嗅ぎつけ愛人におさまった。

「ディアヌはただ金蔓るだ、君を愛してる。正妻の部屋を与えよう、そのうち離縁してキミを娶るよ」
甘言を吐くダニエルにレイチェルは夢中になった。

平民で娼婦の立場から公爵夫人だ、目が眩まない女はいない。
ダニエルは強請ればなんでも与えた、レイチェルはそれが当たり前に永遠続くと信じていた。

贅沢していたら体型が崩れてきて、がっかり気味のダニエルは他に愛人を作っていく。
それでも彼は愛してるといって抱いてくれた。

ちょっとくらいの余所見は仕方ないと思った。
貴族は側室や愛人を囲うものだと知ってる、自分も愛人なのだから。

そう、彼女は幸せだった。
なのに……。

「私はこんなとこ似合わないのよ、そうよディアヌが悪い!ちゃんと融資を続けていれば!ずっとうまく行ってたのよ!あの女ぁあぁぁ!許さないからァァ!」

逆恨みは彼女を狂わすほどの怨嗟となっていく。
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