6 / 13
閑話 離縁後のディアヌ
しおりを挟む
ケリング家の業績は順調で、飲料に使う果実を生かした商品開発に重点を置いていた。
出戻りの私ディアヌも製菓部門を携わることになったの。
なにもせずにいて良いと両親は甘やかすけど、それじゃつまらないでしょ。
失敗の方が多いけれど毎日が楽しくてしかたないわ。
売り物にならない弾かれた果実を使うから怒られない、恐れないで開発できるの。
「私って恵まれすぎ?」
傷物オレンジの皮を剝きながら「傷物がキズモノを加工してるわ」なんて自虐してたら、加工場に勤める同僚メルに怒られた。
メルは年齢が近いせいかとても話があって楽しい子。
「将来有望なお嬢様がなにを言ってんですか」
「でも、事実だもの。それに結婚はもう懲りたわ、毎日刺繍と本を読むばっかりで退屈なんだもの」
運が悪すぎただけだと皆は慰める、確かに公爵に目を付けられたのは悲劇だった。
「そうそう、嬢様。あの家は子爵に落とされたそうですよぉ、ざまぁですよね!」
「ちょ、そ、そうなの……ざまぁは言いすぎかなぁ?アハハ」
まぁ腹の内は盛大に「ざまぁ!」って叫んでいるわ、それくらい許されるわよね?
「さぁオレンジの皮を煮ましょう、実の方は潰して濾して頂戴」
山と積まれた加工用オレンジから爽やかな酸味が感じられ癒される。
「はぁー良い香、ここに住みたいくらいよ」
「やだぁ嬢様ったら、でもわかります!自分の部屋がこの匂いに包まれたら気持ちが良いわ」
部屋の香?
「そーよ!それがあったわ!果実の香り良いじゃない!でかしたわメル!」
「嬢様はしたない!」
一般家庭では加工するほどの果実は贅沢すぎて買わない。
皮だってジャムにして大事に食べるもの。
ましてや飲食物をまったく違う用途に加工するなんて考えられなかった。
でも加工場では持て余す部分が多い。
搾りカスはどんどん山のように出るし、良くて家畜の餌か堆肥になっている。
ずっと勿体無いと思ってたのよ!
キズモノが商品になるなんて、まさに私に合ってる。
「これは天啓かしら!すごいわ、早速お父様たちに相談しましょう!」
「嬢様、手を動かして!」
やっぱり私は恵まれてる、幸せだわ!
出戻りの私ディアヌも製菓部門を携わることになったの。
なにもせずにいて良いと両親は甘やかすけど、それじゃつまらないでしょ。
失敗の方が多いけれど毎日が楽しくてしかたないわ。
売り物にならない弾かれた果実を使うから怒られない、恐れないで開発できるの。
「私って恵まれすぎ?」
傷物オレンジの皮を剝きながら「傷物がキズモノを加工してるわ」なんて自虐してたら、加工場に勤める同僚メルに怒られた。
メルは年齢が近いせいかとても話があって楽しい子。
「将来有望なお嬢様がなにを言ってんですか」
「でも、事実だもの。それに結婚はもう懲りたわ、毎日刺繍と本を読むばっかりで退屈なんだもの」
運が悪すぎただけだと皆は慰める、確かに公爵に目を付けられたのは悲劇だった。
「そうそう、嬢様。あの家は子爵に落とされたそうですよぉ、ざまぁですよね!」
「ちょ、そ、そうなの……ざまぁは言いすぎかなぁ?アハハ」
まぁ腹の内は盛大に「ざまぁ!」って叫んでいるわ、それくらい許されるわよね?
「さぁオレンジの皮を煮ましょう、実の方は潰して濾して頂戴」
山と積まれた加工用オレンジから爽やかな酸味が感じられ癒される。
「はぁー良い香、ここに住みたいくらいよ」
「やだぁ嬢様ったら、でもわかります!自分の部屋がこの匂いに包まれたら気持ちが良いわ」
部屋の香?
「そーよ!それがあったわ!果実の香り良いじゃない!でかしたわメル!」
「嬢様はしたない!」
一般家庭では加工するほどの果実は贅沢すぎて買わない。
皮だってジャムにして大事に食べるもの。
ましてや飲食物をまったく違う用途に加工するなんて考えられなかった。
でも加工場では持て余す部分が多い。
搾りカスはどんどん山のように出るし、良くて家畜の餌か堆肥になっている。
ずっと勿体無いと思ってたのよ!
キズモノが商品になるなんて、まさに私に合ってる。
「これは天啓かしら!すごいわ、早速お父様たちに相談しましょう!」
「嬢様、手を動かして!」
やっぱり私は恵まれてる、幸せだわ!
305
お気に入りに追加
467
あなたにおすすめの小説

離縁をさせて頂きます、なぜなら私は選ばれたので。
kanon
恋愛
「アリシア、お前はもうこの家に必要ない。ブライト家から追放する」
父からの予想外の言葉に、私は目を瞬かせる。
我が国でも名高いブライト伯爵家のだたっぴろい応接間。
用があると言われて足を踏み入れた途端に、父は私にそう言ったのだ。
困惑する私を楽しむように、姉のモンタナが薄ら笑いを浮かべる。
「あら、聞こえなかったのかしら? お父様は追放と言ったのよ。まさか追放の意味も知らないわけじゃないわよねぇ?」

愛人がいる夫との政略結婚の行く末は?
しゃーりん
恋愛
子爵令嬢セピアは侯爵令息リースハルトと政略結婚した。
財政難に陥った侯爵家が資産家の子爵家を頼ったことによるもの。
初夜が終わった直後、『愛する人がいる』と告げたリースハルト。
まごうことなき政略結婚。教会で愛を誓ったけれども、もう無効なのね。
好きにしたらいいけど、愛人を囲うお金はあなたの交際費からだからね?
実家の爵位が下でも援助しているのはこちらだからお金を厳しく管理します。
侯爵家がどうなろうと構わないと思っていたけれど、将来の子供のために頑張るセピアのお話です。

【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた--
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は--
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。

姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……
泉花ゆき
恋愛
子爵令嬢だったルナリーが侯爵令息であるザウダと結婚してから一年ほど経ったころ。
一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を連れてきた。
ルナリーには何も告げることなく。
そして、第二夫人はあっさりと「子供が出来た」と皆の前で発表する。
夫や姑は大喜び。
ルナリーの実家である子爵家の事業が傾いたことや、跡継ぎを作れないことを理由にしてルナリーに離縁を告げる。
でも、夫であるザウダは……
同じ室内で男女が眠るだけで子が成せる、と勘違いしてる程にそちらの知識が欠けていたようなんですけど。
どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。
嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。
※ゆるゆる設定です

双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた
今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。
二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。
それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。
しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。
調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。

嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる