完結 婚約破棄をしたいのなら喜んで!

音爽(ネソウ)

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愚かな男

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約1週間後、協議の結果。アレッシ子爵側の有責で婚約破棄という結果になりそうだ。普段からのアマデオの言動が物を言ったらしい。証人も多数いた為に覆ることは難しい。ただ、アマデオがゴネていて話が進まない。

「どうして破棄しなければならないのですか!ボクは絶対に嫌だ!」
「ならば、どうしてベルティナ嬢を貶めるようなことばかりしてきたのだ?婚約破棄はお前が言い出した事だろう」
呆れたアレッシ卿が物調面でそう述べた、彼は「よくいままで耐えてきたものだ」と令嬢のことを想う。

「だって……それは気分が良かったからつい……」
伯爵令嬢を追い詰めることで満ち足りた日々を過ごしてきた事を暴露した。なんて愚かなことだろう。
「はあ?お前は気分だけで彼女を攻めたててきたのか!いい加減にしろ!」
「ぎひぃ!怒らないでよぉ……反省してるんだよぉ」

涙を蓄えて震えるバカ息子を見下ろして卿は「こいつは駄目だ」と肩を竦める。せっかくの良縁を台無しにしたアマデオを甘やかすわけにはいかないと彼はサロンから立ち去った。



そこへ、またも現れた妹のサンドラがニヤニヤと笑ってこう言うのだ。
「お可哀そうなお兄様、でもだいじょうぶよ。慰めてあげる、可愛い子を紹介して差し上げるわ」
「え……慰めるだって?」

彼女に言われるまま馬車に乗り、町へと繰り出す。
「どんな子なんだい?年は?」
「ふふ、同じ年齢よ。今年で16歳になった子なの」
「そ、そうか……話が合えば良いのだけど」

彼は車窓から外を眺めてソワソワしている、目当てのカフェに着くとさっそくと彼女を探す。
「ほら、あの子よ。可愛いでしょう?ピンクブロンドの髪が愛らしいわ」
「ほ、ほんとうだ!飴菓子みたいな子だな」

彼は唆されるままに彼女に近づいた。
「や、やあ、こんにちは。良い天気だね隣に座っても良いかな」
「え?あらぁ、素敵な殿方……」
彼女は儚げな美少女でベルティナとは違った魅力を持っていた。大きな目はキラキラとしていて、うるうると潤んでいた、そして豊かな胸は零れそうだ。

オツムのほうも緩そうで、浮気相手にはちょうど良い。
彼女はイルミナ・スキャンビ男爵令嬢と名乗った、新興貴族で歴史は浅い。遊び相手に丁度良いと思った彼は彼女の隣に座る。

「ボクは傷心中なんだ、慰めてくれる?」
「ええ、良いわよ。うふふ」
一時の感情のまま、彼はイルミナを誘った。
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