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王太子交代がままならないのを良いことに付け込み、コランタムは好き放題するようになっていた。そうさせたのはマーガレットのせいでもある。

「貴方は唯一無二の存在だわ、ふふっ!国王の言葉だってただの脅しじゃないの」
「うん、そうだよなぁ!してやられたよ、謹慎などせずとも良かったんだ。マティアスめが王太子を狙っているかと思ったが、相変わらず床に臥せっているからな」
彼らは一糸纏わぬ姿で戯れ合い、そのような戯言を言っていた。

「ねぇん、もう一度しましょう?私はまだ足りないのぉ」
小ぶりな果実を必死に搔き集め誘惑してくるマーガレットだ、その必死さが可愛らしいと思ったがコランタムは流石にキツイと感じた。

「ん~ごめん、一晩中まぐわって疲れてしまったよ」
「ええ~つまんない、ぶぅぶぅ」
不満を漏らす彼女は「仕方ないわね」と言って湯浴みをしにバスルームへ消えた。コランタムはそれを追い掛け洗いっ子しようと立ち上がった。

だが、思うように動けない。やはり一晩中腰を振っていたのが悪かったのかとドサリの寝具に身を任せる。
「はぁ~幸せな疲れだ、これはこれで良い余韻だよなぁ」
彼は「くふふっ」と含み笑いをしてニヤケた。そして、これが豊満な身体のセレンジェールならば羽化登仙の境地に違いないと厭らしいことを考えた。

「何れその体をたっぷりと、俺の下で甘く啼いてくれよセレン。ひひっ!ゲホンゲホン!ははっ変な笑い方をして咳が出てしまった、いかんなぁ」
そして、そのまま喉の痛みを堪えてコランタムは幸せそうに微睡に落ちて行く。



***


王子が腑抜けたことをしている最中に、国の重鎮たちは皆一様に渋い顔を並べていた。
「それは真でございますか!国王陛下!」
「うむ、本当だ……アルドワン卿よ神勅とも取れる文に目を通してみるが良い、余は疲れた」
神のお告げだと巫山戯た物言いをする国王に、若干の苛立ちを覚えながらアルドワン公爵は目を通した。すると見る見ると青褪め打ち震える。

「なんと!ギガジェント帝国がこのような……」
先の戦で植民地化されているアネックス国だったが、それなりに評価され国営は自由にされてきた。だが、肥沃な大地に陰りが見え始めそれを指摘されてきた矢先だ。ただの属国に成り下がったアネックス国は窮地に立たされた。

ギガジェント帝国はついに国営は任せられないと判断したのである。
「あれの、コランタムの悪行が知れたからだと余は思っている。あれだけ派手に動いていればな、執政は奴には無理だとの英断だろう」
「なんと……」

国の中枢を預かる大臣たちは皆項垂れて自国の力のなさを痛感していた。
「で、ではこのまま帝国のされるがままに?」
「仕方ないだろう、すべては国民のためにある。良き方向に向かうのであれば王冠を外そう」

国王はかなり疲弊した顔をしていたが、一大決心をした面差しで皇帝がおわす方向を仰ぎ一礼した。





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