公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
上 下
139 / 172
フェインゼロス帝国篇

取引

しおりを挟む
「おはようみんな。ちょっと話が有るんだけどいいかな?」

 俺は朝起きると、真っ先にリビングへと向かった。
 リビングにはみんな揃っていて、俺の第一声に何かあったのかと訝しんでいた。

「俺は決めたんだ。俺は……。俺は………!!俺は作業場を増築する!!」
「そっか。」
「まあ、カイトだからな。」
「カイト、思いつめてたからなんだと思ったよ。」

 俺は一世一代のつもりでみんなに宣言した。
 しかし、みんなの反応はいまいちだった。

 あれ?意外と皆さん予想してた?

「ちょ、俺一世一代のつもりで話したんですけど?!」
「いや、だってねぇ~。ここって誰の家なの?」
「俺たちのでしょ?」

 何を馬鹿なことを言ってるんですかデイジーさん。
 決まっているではないですか。

「たぶんそこの認識からして間違ってるよ?ここはカイトの家だからね?改装OKって内容でカイトが契約を結んだんだからそうでしょ?」
 
 デイジーが何を言っているか分からないって顔で小首を傾げていた。
 た、確かにそういう契約だったような……
 ヤバイ……契約内容あまり覚えてないや。
 あとでもう一度契約書を見直さないとだめだね。

「だったら、カイトがどう魔改造しようがカイトの自由でしょ?ましてやカイトの個人資産で改造するんだから、私たちには何も言えないでしょ?」

 やばい、デイジーがまともなこと言ってる。
 あ、いやごめんなさい。睨まないでください。

「あと、どこか直したい場所とかある?」
「私はキッチンを新調したいわね。最近新しいモデルが出たっていうし。みんなにもおいしい料理食べてほしいから。」

 エルダからは、エルダらしい返答があった。
 本当にエルダには頭が上がらないな。
 いつもおいしい料理ありがとうござます。
 キッチンを直しても罰は当たならにだろうね。
 むしろ日頃の感謝を込めて新調するのもありだな。

「あ、じゃあ私はお風呂の修繕をお願いします!!もっと広いお風呂がいいな。できれば大人数で入っても問題ないやつ。」

 今のままでも十分だと思うんだけど、デイジー的にはまだ足りないのかな?

「デイジー、お風呂で泳ごうとしないの。カイト、お風呂はそのままでも十分よ。どこも傷みとか無いからね。」
「たしかに、風呂は今のままでも十分だな。」

 確かに風呂は今のままでも十分にくつろげるサイズはある。
 最初にここを建てた人がこだわって作ったようで、ゆったりとした造りになっていた。

「じゃあ、キッチンの改装が第2候補だな。あとは可能だったら、風呂の給湯系の魔道具を新しいのに変えよっか。」
「あ、カイト。それいいね!!」

 デイジーも自分の意見が少し通ったことで、機嫌がよくなっていた。
 本当にデイジーって見てて飽きないな。

 お金の使い方も決まったし、その辺は木工ギルドと魔道具ギルドに話を通しておこう。

「それじゃあ、冷めないうちに朝食にしましょう。デイジー運ぶの手伝って。」
「は~い。カイトたちはダイニングの準備おねが~い。」

 エルダとデイジーはキッチンへ朝食を取りに行ってくれた。
 俺とポールはダイニングテーブルを片付けて食器類を準備していく。

「そういえばカイト。庭はいじらないのか?」
「庭ねぇ~。俺そう言うの詳しくないからなぁ~。」

 まさかポールから庭について話が出てくるとは思わなかったよ。

「なら、ちょっとした訓練施設でも作ったらどうだろうか?」
「あ、確かにそれ良いかも。軽く試射出来たり模擬戦できるといいよね。」

 よし、それも候補に入れておこう。
 
 そんなこんなでポールと話していると、エルダとデイジーの手によって次々と朝食が運び込まれてきた。
 本日のメニューは、スクランブルエッグと厚切りベーコン。オニオンスープにパンとサラダ。
 あれ?結構手が込んでるな。

「デイジーも手伝ってくれたからいっぱい作っちゃった。」
「私だってやれば出来るんだからね!!」

 本当にデイジーはすごいな。
 ポジティブというかなんというか。
 まさに元気印って感じがするよ。



 俺たちは朝食を摂ると、そのまま冒険者ギルドへ向かった。
 今日の目的は森の最奥の深緑の森で調整と、【新緑のダンジョン】に初トライすることだ。
 ギルドの掲示板は、やはり争奪戦が繰り広げられていた。
 俺たちはこれといって何か狙っているわけではないので、【新緑のダンジョン】の常設依頼を確認していた。

・オークの肉納品(1kg)銅貨20枚
・オークの霜降り肉納品(250g)銅貨100枚

 うん、この二つが常設依頼で載ってるので、これでいいだろう。

「カイト~、これ見てこれ。急募だって。」

・オークの霜降り肉納品(5kg)銅貨3000枚

「ナイスデイジー。常設依頼のより高額じゃないか。で、期限は?」
「今日の夜。」
「「「却下!!」」」
「えぇ~。」

 どう考えても間に合うわけがない。
 前に少し調べたら、本当に極稀にしかドロップしないってなってたからね。
 達成できなかったときのペナルティの方が問題になってくる。

 ということで、常設依頼を確認した俺たちは、東門へ向かった。
 今日の目的地は東の森のその先。
 久しぶりの探索で少しワクワクしている自分がいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でひっそりと暮らしたいのに次々と巻き込まれるのですが?

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 旧名「異世界でひっそりと暮らしたいのですが」  俺──柊 秋人は交通事故で死んでしまった。  気付き目を開けると、目の前には自称女神様を名乗る神様がいた。そんな女神様は俺を転生させてくれた。  俺の転生する世界、そこは剣と魔法が飛び交うファンタジー世界!  その転生先はなんと、色鮮やかな花々が咲き乱れる楽園──ではなかった。  神に見放され、英雄や勇者すら帰ることはないとされる土地、その名は世界最凶最難関ダンジョン『死を呼ぶ終焉の森』。  転生から1年経った俺は、その森の暮らしに適応していた。  そして、転生してから世界を観てないので、森を出た俺は家を建ててひっそりと暮らすも次々と巻き込まれることに──……!?

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。 現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。 アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。 しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。 本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに…… そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。 後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。 だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。 むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。 これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

処理中です...