108 / 172
トラブルプランツ スタンピード篇
魔植物キメラは美味しい
しおりを挟む
その後、壊れた魔道具を忌々し気に掴んで、ギルマスは王都へ戻った。
《迅速に調査する》と言った時のインドラの顔は恐ろしく歪み、凄まじい怒気に当てられてレオは思わず後ずさった。
行動力がとても速い彼はその日のうちにギルド本部へ到着し、特捜班を結成して動いたのだった。
「インドラさんフットワークが軽すぎる……あとめっちゃ怖い」
ギルマス自らに”後始末を頼む”と任命されたレオPTは撤収を中止して、魔道具が設置されていた発生源へ赴いた。
最後の最後に暴れていた厄介な魔植物の討伐に参加した。
合流した時、冒険者らがボロボロになりながら「俺が倒すんだ!」と口々に叫んで斬りかかっていた。
大物の魔植物の戦利品を狙って、屈強な者たちが挑んでは弾かれている。
「うわぁ青首大根よりデカイ……5mはあるかな?」
目の前に蔦と尖った葉を駆使して大暴れする見事なキメラタイプの大木?がいた。
「ドラゴンフルーツの木にキウイとパイナップルが寄生してるみたいだ」
思わず涎がでたレオにバリラ達が引いた。
「このがっつき!こっちが食われかねない状況が見えないの!?」
「だってホラ、キウイがたわわに実って完熟したパインがゴロゴロくっついてるんだぞ?俺はパインが大好物なんだ」
「知らんわ!名前は知ってるけど滅多に出回らない南国の高級フルーツで……高級か美味そうじゃん!」
「そーだぞ!完熟パインはジュレバニカに匹敵する美味さだぞ」
それを耳にした彼女達は目をギラギラさせて「狩るぞ!」と咆えた。
「相手はデカイから個々で得意技を容赦なくぶつけろ!収穫も忘れるな!」
「「「「応!」」」」
彼らは一斉に攻撃を開始する、バリラはパインの実争奪に走り、フラは木熟したキウイ目掛けて氷魔法で斬り落としその下で待機していジェイラが風魔法で受け止めて収集している。
ティルは伸びている冒険者を戦線から保護して治癒に忙しい。
一見は親切にみえる行為だったが「収穫に邪魔なんですもの」と言ってちゃっかり結界魔法を網上に伸ばしパインを捥いでいた。
「投網で捥ぐ人を初めて見た……」
呆れるレオにティルは良い笑顔で手を振る。そんな彼女は誰よりも多くパインを採っていた。
実を粗方捥いだところでレオは本体のドラゴンフルーツを攻撃する。
幹は途轍もなく太いが、刃は入れやすかった。ただ、斬りつけた先から修復していく特殊な能力があるようで倒すのが容易ではない。
「あーしぶとい!皮一枚ってところで回復しやがる!」
レオの”どないや?”によれば特に弱点がなかったのだ、これは誤算だった。
フラがレオとバリラに炎を纏わせて斬ったらどうかと提案する。
「ブラックホグの時に使った炎斬で一気にいけないかなぁってどう?」
「魔法剣か!いいなそれ、一度やってみたかったんだ」
攻撃力と切れ味は相当上がるが、魔力もごっそり持っていかれる技なので頻繁には使えない。
「限界を超える前に引くんだよ?わかったぁ?火を与えるフラも魔力が削られるからね」
「了解!」
「あいよ!」
フラが詠唱をすると二人の剣と大包丁が真っ赤に染まって炎を吹き上げた。
同時に二人は本体へ目掛けて走る、狙うは根っこ。
植物魔物は大地と太陽から生命力を得る、フラとジェイラは風と炎の魔法で葉を殲滅するサポートにまわった。
戦場に焼け焦げる臭いが漂う。戦況が次第に変化してきて、他の冒険者たちの萎えた心に闘志が戻る。
更に後方でティルがバフ魔法を詠唱した、彼らの防御力と腕力を増強させて皆の武運を祈る。
徐々に削られ弱体化してきた大木と強化されたレオたち、約10分の死闘の末勝利したのは冒険者側だった。
大音を轟かせて大木はついに地に倒れた。
真っ赤な幹の横にはドラゴンフルーツがゴロゴロと落ちていたが、拾う者はあまりいなかった。
「だって味が薄くて微妙だからな……栄養はあるけど」
レオは一つを割って味見したが、やっぱり薄甘い味がした。
美容に良いとポロリと零したら、女子たちは目の色を変えて争奪戦を展開した。
《迅速に調査する》と言った時のインドラの顔は恐ろしく歪み、凄まじい怒気に当てられてレオは思わず後ずさった。
行動力がとても速い彼はその日のうちにギルド本部へ到着し、特捜班を結成して動いたのだった。
「インドラさんフットワークが軽すぎる……あとめっちゃ怖い」
ギルマス自らに”後始末を頼む”と任命されたレオPTは撤収を中止して、魔道具が設置されていた発生源へ赴いた。
最後の最後に暴れていた厄介な魔植物の討伐に参加した。
合流した時、冒険者らがボロボロになりながら「俺が倒すんだ!」と口々に叫んで斬りかかっていた。
大物の魔植物の戦利品を狙って、屈強な者たちが挑んでは弾かれている。
「うわぁ青首大根よりデカイ……5mはあるかな?」
目の前に蔦と尖った葉を駆使して大暴れする見事なキメラタイプの大木?がいた。
「ドラゴンフルーツの木にキウイとパイナップルが寄生してるみたいだ」
思わず涎がでたレオにバリラ達が引いた。
「このがっつき!こっちが食われかねない状況が見えないの!?」
「だってホラ、キウイがたわわに実って完熟したパインがゴロゴロくっついてるんだぞ?俺はパインが大好物なんだ」
「知らんわ!名前は知ってるけど滅多に出回らない南国の高級フルーツで……高級か美味そうじゃん!」
「そーだぞ!完熟パインはジュレバニカに匹敵する美味さだぞ」
それを耳にした彼女達は目をギラギラさせて「狩るぞ!」と咆えた。
「相手はデカイから個々で得意技を容赦なくぶつけろ!収穫も忘れるな!」
「「「「応!」」」」
彼らは一斉に攻撃を開始する、バリラはパインの実争奪に走り、フラは木熟したキウイ目掛けて氷魔法で斬り落としその下で待機していジェイラが風魔法で受け止めて収集している。
ティルは伸びている冒険者を戦線から保護して治癒に忙しい。
一見は親切にみえる行為だったが「収穫に邪魔なんですもの」と言ってちゃっかり結界魔法を網上に伸ばしパインを捥いでいた。
「投網で捥ぐ人を初めて見た……」
呆れるレオにティルは良い笑顔で手を振る。そんな彼女は誰よりも多くパインを採っていた。
実を粗方捥いだところでレオは本体のドラゴンフルーツを攻撃する。
幹は途轍もなく太いが、刃は入れやすかった。ただ、斬りつけた先から修復していく特殊な能力があるようで倒すのが容易ではない。
「あーしぶとい!皮一枚ってところで回復しやがる!」
レオの”どないや?”によれば特に弱点がなかったのだ、これは誤算だった。
フラがレオとバリラに炎を纏わせて斬ったらどうかと提案する。
「ブラックホグの時に使った炎斬で一気にいけないかなぁってどう?」
「魔法剣か!いいなそれ、一度やってみたかったんだ」
攻撃力と切れ味は相当上がるが、魔力もごっそり持っていかれる技なので頻繁には使えない。
「限界を超える前に引くんだよ?わかったぁ?火を与えるフラも魔力が削られるからね」
「了解!」
「あいよ!」
フラが詠唱をすると二人の剣と大包丁が真っ赤に染まって炎を吹き上げた。
同時に二人は本体へ目掛けて走る、狙うは根っこ。
植物魔物は大地と太陽から生命力を得る、フラとジェイラは風と炎の魔法で葉を殲滅するサポートにまわった。
戦場に焼け焦げる臭いが漂う。戦況が次第に変化してきて、他の冒険者たちの萎えた心に闘志が戻る。
更に後方でティルがバフ魔法を詠唱した、彼らの防御力と腕力を増強させて皆の武運を祈る。
徐々に削られ弱体化してきた大木と強化されたレオたち、約10分の死闘の末勝利したのは冒険者側だった。
大音を轟かせて大木はついに地に倒れた。
真っ赤な幹の横にはドラゴンフルーツがゴロゴロと落ちていたが、拾う者はあまりいなかった。
「だって味が薄くて微妙だからな……栄養はあるけど」
レオは一つを割って味見したが、やっぱり薄甘い味がした。
美容に良いとポロリと零したら、女子たちは目の色を変えて争奪戦を展開した。
0
お気に入りに追加
1,458
あなたにおすすめの小説
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
婚約破棄されたので、論破して旅に出させて頂きます!
桜アリス
ファンタジー
婚約破棄された公爵令嬢。
令嬢の名はローザリン・ダリア・フォールトア。
婚約破棄をした男は、この国の第一王子である、アレクサンドル・ピアニー・サラティア。
なんでも好きな人ができ、その人を私がいじめたのだという。
はぁ?何をふざけたことをおっしゃられますの?
たたき潰してさしあげますわ!
そして、その後は冒険者になっていろんな国へ旅に出させて頂きます!
※恋愛要素、ざまぁ?、冒険要素あります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
文章力が、無いのでくどくて、おかしいところが多いかもしれません( ̄▽ ̄;)
ご注意ください。m(_ _)m
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる