104 / 172
トラブルプランツ スタンピード篇
おでんかポトフか
しおりを挟む
食後、仮眠を取ったレオPTは元気に復活して参戦する。
「いまのところ美味しい魔物に出会えてないないなぁ」
「げ!アンタまたそれなの!?スタンピード舐めんな!」
「俺が狩りに出向くのに他に理由あるか?」
「……あっそ」
「レオらしいよねぇ、美味しく狩るはキミのルールだもん」
フラがケラケラ笑って揶揄う。
「巫山戯てると怪我しますわよ」
ティルが真顔でみんなを窘めると一同の顔が引き締まった。
美女が怒ると怖いんです。
バリケードを通り、片手剣から大包丁に武器を変えたレオがどこを狩ろうかと目星をつけた時だ。
悲鳴とともに走ってきた冒険者が「ぎゃあああ!助げでぐでぇぇ!」と泣き叫びバリケードを抜けて行った。
その後ドドドドッという地を揺らす轟音が少し遠くから聞こえる。
「あんにゃろ!魔物を挑発しただけで逃げたな!」
バリラが魔物を押し付けられて怒った。
「ん、あれは大根?」
暴走してこちらに来るのはどう見ても青首大根だった。しかし、途轍もなくデカイ。
「今夜のオカズが決まったぜ、おでんだ!」
「お、おでん?なんですの?」
背から素早く大包丁を抜くと同時に鑑定をするレオ。
【ジャポネラ】
通称:白い根っこ又は大根と呼ばれる
主な生息地:東の島国
刺激すると太く強靭な体躯で暴れる厄介もの
長く延びた葉で威嚇してくる
執念深いので注意が必要
普段は土壌深くに潜り眠っている
食用:瑞々しく蛋白な味がする、生でも美味しい
弱点:氷、火
「やっぱり大根だ!おでんの具!蕪の次は大根……根菜ばっかだが仕方ない!美味しく狩ってやるぜ」
ひとりハイテンションなレオに、他4名は引いていた。なぜあんな白い根っこに喜んでいるのかさっぱりわからないのだ。
足止めをするべくフラが大根の足元?を凍らせた。
ドオォォォンと凄い音を立てて、大根が転がった、足と胴体が断たれたせいだ。
「さすが水が多い野菜だから、凍ると脆いな」
「ご主人様、アイツの事は野菜扱いなんだ?」
そばで観察していたジェイラが呆れている。
「美味いんだってコイツ!出汁でコトコト煮ると柔らかくて染みウマなんだよ」
「はいはい」
倒された大根はギィーギィーと喚いて暴れている。
長い葉をブンブン回し、抵抗をやめないのだ。
連携で倒そうと近づいた時、運悪く葉に当たったフラが数メートル弾き飛ばされた。
「フラッ!?」
心配で駆け寄ろうとするレオだったが、ティルがこちらに介抱を任せて斬り伏せるように叱咤する。
「ごめん!……バリラ葉っぱを斬り落としたい、生え際を狙うから援護頼む!」
「はいよ!」
先端部分を微塵に斬りつけながら徐々に短くしていった。
バリラが挑発している間に、レオは大きく跳ね上がって生え際を斬り落とした。
バキバキとまるで大木を切るような音がした、葉元はかなり硬かった。
「ぐっ!すっげぇ硬い!手がジンジンする」
「レオ、止めは私とジェイラに任せて下がれ、フラ達を護衛してやって」
「ご主人様、私の風魔法で切り裂いてやりますよ!」
「わ、わかった気を付けてくれ!」
レオは痺れた両手で包丁をなんとか仕舞い、片手剣に替えてティルの方へ向かう。
「ティル、具合は?」
「気絶してるだけですわ、でもしばらくは動かせません頭を打ったようなので」
「!?」
痺れを治癒して貰ったレオは、ティルとフラを護ることのに専念した。
やがてブロック状に大根を切り伏せたバリラとジェイラが勝鬨をあげた。
フラが気絶したので再び撤退することにしたレオたち。
戦利品より仲間である。
なかなか進まない討伐戦だ。
「いまのところ美味しい魔物に出会えてないないなぁ」
「げ!アンタまたそれなの!?スタンピード舐めんな!」
「俺が狩りに出向くのに他に理由あるか?」
「……あっそ」
「レオらしいよねぇ、美味しく狩るはキミのルールだもん」
フラがケラケラ笑って揶揄う。
「巫山戯てると怪我しますわよ」
ティルが真顔でみんなを窘めると一同の顔が引き締まった。
美女が怒ると怖いんです。
バリケードを通り、片手剣から大包丁に武器を変えたレオがどこを狩ろうかと目星をつけた時だ。
悲鳴とともに走ってきた冒険者が「ぎゃあああ!助げでぐでぇぇ!」と泣き叫びバリケードを抜けて行った。
その後ドドドドッという地を揺らす轟音が少し遠くから聞こえる。
「あんにゃろ!魔物を挑発しただけで逃げたな!」
バリラが魔物を押し付けられて怒った。
「ん、あれは大根?」
暴走してこちらに来るのはどう見ても青首大根だった。しかし、途轍もなくデカイ。
「今夜のオカズが決まったぜ、おでんだ!」
「お、おでん?なんですの?」
背から素早く大包丁を抜くと同時に鑑定をするレオ。
【ジャポネラ】
通称:白い根っこ又は大根と呼ばれる
主な生息地:東の島国
刺激すると太く強靭な体躯で暴れる厄介もの
長く延びた葉で威嚇してくる
執念深いので注意が必要
普段は土壌深くに潜り眠っている
食用:瑞々しく蛋白な味がする、生でも美味しい
弱点:氷、火
「やっぱり大根だ!おでんの具!蕪の次は大根……根菜ばっかだが仕方ない!美味しく狩ってやるぜ」
ひとりハイテンションなレオに、他4名は引いていた。なぜあんな白い根っこに喜んでいるのかさっぱりわからないのだ。
足止めをするべくフラが大根の足元?を凍らせた。
ドオォォォンと凄い音を立てて、大根が転がった、足と胴体が断たれたせいだ。
「さすが水が多い野菜だから、凍ると脆いな」
「ご主人様、アイツの事は野菜扱いなんだ?」
そばで観察していたジェイラが呆れている。
「美味いんだってコイツ!出汁でコトコト煮ると柔らかくて染みウマなんだよ」
「はいはい」
倒された大根はギィーギィーと喚いて暴れている。
長い葉をブンブン回し、抵抗をやめないのだ。
連携で倒そうと近づいた時、運悪く葉に当たったフラが数メートル弾き飛ばされた。
「フラッ!?」
心配で駆け寄ろうとするレオだったが、ティルがこちらに介抱を任せて斬り伏せるように叱咤する。
「ごめん!……バリラ葉っぱを斬り落としたい、生え際を狙うから援護頼む!」
「はいよ!」
先端部分を微塵に斬りつけながら徐々に短くしていった。
バリラが挑発している間に、レオは大きく跳ね上がって生え際を斬り落とした。
バキバキとまるで大木を切るような音がした、葉元はかなり硬かった。
「ぐっ!すっげぇ硬い!手がジンジンする」
「レオ、止めは私とジェイラに任せて下がれ、フラ達を護衛してやって」
「ご主人様、私の風魔法で切り裂いてやりますよ!」
「わ、わかった気を付けてくれ!」
レオは痺れた両手で包丁をなんとか仕舞い、片手剣に替えてティルの方へ向かう。
「ティル、具合は?」
「気絶してるだけですわ、でもしばらくは動かせません頭を打ったようなので」
「!?」
痺れを治癒して貰ったレオは、ティルとフラを護ることのに専念した。
やがてブロック状に大根を切り伏せたバリラとジェイラが勝鬨をあげた。
フラが気絶したので再び撤退することにしたレオたち。
戦利品より仲間である。
なかなか進まない討伐戦だ。
0
お気に入りに追加
1,473
あなたにおすすめの小説
異世界でひっそりと暮らしたいのに次々と巻き込まれるのですが?
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
旧名「異世界でひっそりと暮らしたいのですが」
俺──柊 秋人は交通事故で死んでしまった。
気付き目を開けると、目の前には自称女神様を名乗る神様がいた。そんな女神様は俺を転生させてくれた。
俺の転生する世界、そこは剣と魔法が飛び交うファンタジー世界!
その転生先はなんと、色鮮やかな花々が咲き乱れる楽園──ではなかった。
神に見放され、英雄や勇者すら帰ることはないとされる土地、その名は世界最凶最難関ダンジョン『死を呼ぶ終焉の森』。
転生から1年経った俺は、その森の暮らしに適応していた。
そして、転生してから世界を観てないので、森を出た俺は家を建ててひっそりと暮らすも次々と巻き込まれることに──……!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女も聖職者も神様の声が聞こえないって本当ですか?
ねここ
ファンタジー
この世界では3歳になると教会で職業とスキルの「鑑定の儀」を受ける義務がある。
「鑑定の儀」を受けるとスキルが開放され、スキルに関連する能力を使うことができるようになり、その瞬間からスキルや身体能力、魔力のレベルアップが可能となる。
1年前に父親を亡くしたアリアは、小さな薬店を営む母メリーアンと2人暮らし。
3歳を迎えたその日、教会で「鑑定の儀」を受けたのだが、神父からは「アリア・・・あなたの職業は・・・私には分かりません。」と言われてしまう。
けれど、アリアには神様の声がしっかりと聞こえていた。
職業とスキルを伝えられた後、神様から、
『偉大な職業と多くのスキルを与えられたが、汝に使命はない。使命を担った賢者と聖女は他の地で生まれておる。汝のステータスを全て知ることができる者はこの世には存在しない。汝は汝の思うがままに生きよ。汝の人生に幸あれ。』
と言われる。
この世界に初めて顕現する職業を与えられた3歳児。
大好きなお母さん(20歳の未亡人)を狙う悪徳領主の次男から逃れるために、お父さんの親友の手を借りて、隣国に無事逃亡。
悪徳領主の次男に軽~くざまぁしたつもりが、逃げ出した国を揺るがす大事になってしまう・・・が、結果良ければすべて良し!
逃亡先の帝国で、アリアは無自覚に魔法チートを披露して、とんでも3歳児ぶりを発揮していく。
ねここの小説を読んでくださり、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。
現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。
アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。
しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。
本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに……
そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。
後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。
だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。
むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。
これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる