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獣王国篇
お手軽タルトタタン
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剥いて切り分けた林檎に砂糖を絡ませていくレオ、甘い香りが食欲を刺激する。
「さてお手軽にフライパンで焼いちゃうか」
火を入れたら山のようにあった林檎がどんどん嵩が減りぺしゃりとなった、実から染み出た甘い汁が音を立てる。
それから砂糖を煮溶かしてカラメルを作り、炒めた林檎と合わせた。
「甘くて良い香りだ」とアチコチから声があがった。
それからレオは昨日の残り物だというクラッカーを砕いて行った。
その作業を不思議そうにながめるアライグマ達である。
「こんな感じかな、そこのキミ?バターを持ってきてくれる?」
「ひゃ!?ひゃい!」
一番小柄なアライグマを指名して、バターをお願いした。
小さな彼は誇らしそうに、常温にしておいたバター壺を持って来た。
「ありがとう」
「いいえ!いつでも言いつけてください!」
タルト生地はいろいろあるが、レオは一番簡単な生地を選んだ。
砕いたクラッカーにバターを馴染ませるようにザリザリと混ぜ込んだ。
丸型の型に林檎からぎゅうぎゅうに敷き詰め、最後にクラッカー生地で蓋をするように仕上げた。
生地に適度に穴をあけて、後はオーブンで焼けば良い。
「焦げない様に見ててね?40分くらい」
「はい!お任せあれ!」
副料理長だというアライグマがオーブンの前に陣取った。
「よし、その間に肉料理を作ろうか。焼いたからとすぐ食べられるわけじゃないからね」
「「「「「えええー!?」」」」」
「え、なに?冷やして食べると言ってなかったかい?」
「聞いてないのである」
「……それはごめん」
ちょっとばかり空気が重くなった気がしたが、レオは気が付かないふりをして骨付き肉を分けて貰った。
「どんだけ甘い物が好きなんだ」
「大好きなのである~仕方ないのだ~」
恨めしそうにレオとオーブンを見つめて、料理長のビケットが耳を垂らして悄気ていた。
我慢したぶんきっと美味しさも増えるからと、レオは慰めたが通用しなかった。
仕方ないので、熱々ですぐ食べられる焼き林檎を人数分焼いてあげるのだったが休憩にきた文官たちと取り合う騒ぎに発展した。
「レオ殿!足りなくなったのである~」
「はいはい……可愛いからいいか、作ってあげる」
この分だと木箱5個の林檎は数日で無くなりそうだと苦笑する。
「さてお手軽にフライパンで焼いちゃうか」
火を入れたら山のようにあった林檎がどんどん嵩が減りぺしゃりとなった、実から染み出た甘い汁が音を立てる。
それから砂糖を煮溶かしてカラメルを作り、炒めた林檎と合わせた。
「甘くて良い香りだ」とアチコチから声があがった。
それからレオは昨日の残り物だというクラッカーを砕いて行った。
その作業を不思議そうにながめるアライグマ達である。
「こんな感じかな、そこのキミ?バターを持ってきてくれる?」
「ひゃ!?ひゃい!」
一番小柄なアライグマを指名して、バターをお願いした。
小さな彼は誇らしそうに、常温にしておいたバター壺を持って来た。
「ありがとう」
「いいえ!いつでも言いつけてください!」
タルト生地はいろいろあるが、レオは一番簡単な生地を選んだ。
砕いたクラッカーにバターを馴染ませるようにザリザリと混ぜ込んだ。
丸型の型に林檎からぎゅうぎゅうに敷き詰め、最後にクラッカー生地で蓋をするように仕上げた。
生地に適度に穴をあけて、後はオーブンで焼けば良い。
「焦げない様に見ててね?40分くらい」
「はい!お任せあれ!」
副料理長だというアライグマがオーブンの前に陣取った。
「よし、その間に肉料理を作ろうか。焼いたからとすぐ食べられるわけじゃないからね」
「「「「「えええー!?」」」」」
「え、なに?冷やして食べると言ってなかったかい?」
「聞いてないのである」
「……それはごめん」
ちょっとばかり空気が重くなった気がしたが、レオは気が付かないふりをして骨付き肉を分けて貰った。
「どんだけ甘い物が好きなんだ」
「大好きなのである~仕方ないのだ~」
恨めしそうにレオとオーブンを見つめて、料理長のビケットが耳を垂らして悄気ていた。
我慢したぶんきっと美味しさも増えるからと、レオは慰めたが通用しなかった。
仕方ないので、熱々ですぐ食べられる焼き林檎を人数分焼いてあげるのだったが休憩にきた文官たちと取り合う騒ぎに発展した。
「レオ殿!足りなくなったのである~」
「はいはい……可愛いからいいか、作ってあげる」
この分だと木箱5個の林檎は数日で無くなりそうだと苦笑する。
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