公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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獣王国篇

王都のギルドへ……の前に

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 「うっ……………うっ………………」




 プスプスと煙を立てる私の身体。再契約初の罰、元来の奴より強力じゃない?人間から契約を結ばれるより龍神から契約を結ぶ方が強くなるとかそういう設定なの?なんにせよ骨まで痺れたぜ……………………




 「あんまりだ……………あんまりだよぉ……………………私が折角助けたのに…………覚えてないけど……………………」




 「頼んでないし覚えてないとはどういうことだ。もう1発喰らえば分かるかな?」



 「んぎゃぁぁ!!」




 再び落ちる特大罰!なにこれ?なんで罰を落とされてるのか全くわからない!



 「ラフェエル!!やりすぎよ!!流石の私でも死んじゃうから!!程々にして!!」




 「貴様は殺しても死なないような女だから安心しろ。"契約者"として沢山の罰を与えてやるからありがたく思え」




 「はぁぁ?なんで………っぐううう!」



 本日3発目の罰が落ちましたーーーーー。もう身体がお陀仏でーーーーす。おしりをつきあげて倒れる女としてあるまじき格好になっておりまーーーーす。…………いやもうほんと心の底から契約者を新たに選ぶべきでした。こんなに考えていることがわからない鬼畜理不尽皇子と比べたら道端のホームレスでも喜んで契約するわ…………………



 「理不尽大魔王ラフェエルめ………………………」





 「………………………ラフェー」



 「…………………はい?」



 ぽつり、とラフェエルがそういった。何を意図しているか分からなくてラフェエルを見る。ラフェエルは私に背を向けたまま、続けた。



 「私のことはラフェーと呼べ。

 私は、貴様のことをアルと呼ぶ」


 「??」


 ラフェー、って愛称じゃない?いいの?
 私のことをアルって呼ぶのは別に構わないけど…………



 「……………貴様は一応不本意だが仮初の婚約者だ。もうほとんどの大国には知れ渡っている。



 婚約者の愛称を1度も呼ばないのは不自然だ。


 だから……………呼べ」




 「わ、わかった」


 「呼べと言っているんだ」



 「え?今?



 ………………ラフェー?」




 「………………………それでいい。

 私はリーブの元へ行ってくる」




 ラフェエルはそう言って颯爽と歩いて部屋を出ていった。




 ………………なんなの、一体?
 1人取り残された私は、呆然とする。




 愛称を呼ばされた事じゃない。


 愛称でよんだ時、……………確かに見たんだ。


 ラフェエルの耳が紅くなっているのを。
 ……………押し倒された時の表情や言葉を思い返す。



 あれは、まるで_____私のことを好き、みたいな態度……………………



 「ッ、ないないないない!!なんでラフェエル……いや、ラフェーが私を好きになるの!?というか好きな人にあんなに雷落とせないって!!


 ほんと私って勘違い激しい………………………ッ」




 盛大な独り言を途中で辞めて、近くにあった枕を抱き締め顔を埋める。



 顔が、熱い。


 口元がどうしても緩む。


 私今、凄く変な顔してる。


 心臓がバクバク言ってる。うるさい。




 なによこれ。



 恥ずかしい。



 恥ずかしい。




 ____今すごく、恥ずかしい。






 アルティアは枕から顔を離す。


 耳まで真っ赤な顔は____女の顔だった。






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