公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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獣王国篇

タコ焼きすんぞ2

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鉄板には丸い凹みが15個ほどできた、しかし力任せに穿ったものだから全体が大きく歪んだ。
最終的にはハンンマーで歪みを整えるしかなかった。

辛うじてタコ焼き鉄板らしいものが仕上がる。ところどころ歪で反り返っているが御愛嬌だ。


「しゃ!生地もできたし焼いてくぞ」
「やったー!念願のたこやき!タコパ開始だね!」


喜んでいるのはレオとフラだけだった、だが香ばしく焼きあがるソレにいつの間にかバリラ、ティルそしてペットが焼き上っていく様子に注目していた。


クルリクルリと手際よく丸く焼きあがるタコ焼きに釘付けだった。
見たことも無い面白い調理法である、まん丸に仕上がったソレからは嗅いだことのない香がたって食欲を刺激してくる。



「ぶ、不気味な身が隠れているせいか美味しそうに見えますね」
ティルが香ばしく焼かれたタコ焼きをフォークで突いた。


「でしょ?食べず嫌いは損をするよ、無理にはすすめないけど」
そう言いながらレオは仕上げにかかる、市販のウスターソースに出汁と砂糖を加えてドロソースのように仕上げたものをタコ焼きに塗る、さらにマヨネーズをスプーンで掬い伸ばして塗った。

それからアオサ代わりに焼きのりを細かく砕いて振りかけた。
そして調味酢に漬けておいた刻み生姜を添える。


生地にも入れてはあるがレオは生姜を乗せて食べるのが好きだった。
食べる直前にナイフで無理やり粗削りしたカツオ節を掛けて頬張る。


「ふぉ!鰹節買っといて正解!久しぶりのタコ焼き!また漁港の店へ仕入れに行かないとなぁ」
フーフーと冷ましながらアツアツとろとろのタコ焼きを楽しむレオである。


「んふー!熱くて火傷しそうだけどんまーい!タコがコリコリで美味しい!レオ天才!」
待機していたフラが彼に倣って食べている、獣人の彼女には珍しい食材に抵抗がないようだ。

フラ曰く、獣人たるものなんでも食べなければ弱肉強食の弱者に落ちる。そうである。



「フ、フラ?大丈夫なのそれ?きもくない?変な味しない?」
恐々と食べた感想を尋ねるバリラは「ゴキュルルル」と、お腹を鳴らしていた。


「んふ?美味しいよ、ブニブニしてないし磯の良い匂いだよ~、レオ、おかわり焼いて!」
「はいよ!火を入れると縮むからな1kgなんてあっという間かもな」


もっと煮タコを作れば良かったと後悔したレオ。


「私にもちょうだい!マヨネェドウ多めで!なんなら手伝う!串で転がせばいいんだろ?」
とうとう我慢の限界にきていたバリラが自ら焼きたいとまで言いだした。

本来器用な彼女はすぐにコツを掴みせっせと仕上げていった。


ティルは「お腹を壊さないか」と心配顔だったが最後にはタコパに参加していた。
デビルフィッシュと見た目でバカにしていた事を反省している。


「なんでしょう、この独特なタコの風味……魚でもなく貝でもない。美味ですわ!」
「そう!それ!形容しがたい風味だよな!」

最後まで渋っていたとは思えない女子二人である。


「気に入って貰えて良かったよ、まだまだあるから食べ尽くしてくれ!」

レオは作り甲斐があって嬉しいと言って満面の笑顔だ。
食べる事より作って人に喜んでもらえる方が彼にはなによりの御馳走なのだ。


そして、ペットことジェイラは全員が食べ終わってからご相伴に預かって腹を満たす。
冷めては美味しくないからとレオはペットにさえ焼きたてを提供した。


この日から定期的に開催されることになったタコパである。
その後「鉄板磨きは私の役目!」と宣ったのはジェイラだった。


「だって鉄板は錆びやすいじゃない?人には任せたくないわ!」

一番タコ焼きに嵌ったのはジェイラだったのである。

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