公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
上 下
56 / 172
独立篇

タコ退治

しおりを挟む
依頼元のネフラブル村は、港町サウスエーグから東隣の漁村。

鯖に似た青魚と貝類などを主に獲っている、とても穏やかなところだ。

だが、穏やか過ぎて魔物に狙われてしまったようだ。



「うんうん、イイネ。いかにも地図にのらない最果ての寂れ村」

「地図にガッツリ載ってるし、最果てじゃないよ」すかさずバリラが突っ込む。

だよねー知ってる。





貝類が好物のデビルフィッシュ(巨大タコ)に居つかれてしまい、零れに群がった角笛魚がやりたい放題だという。

「タコといえばクラーケン」

「え、くら?」

……なんでもないよ。



杖をつきプルプル震えるいかにも「村長」って老人が俺達を迎える。

「遠いところ恐れ入ります、海岸で釣りさえままならず弱っております。どうか退治をお願いします」

「語尾は【ですじゃ】ではないんすね」

「はい?」

「なんでもないです」



さっきから何を言ってるんだとバリラ達がツッコム、うん、ほっといて。ゲーム脳が蘇っただけだから。

RPGがやりたい……ある意味リアルプレイしてるけど、そうじゃないんだよ。





「うーん、蛸の周辺で回遊してる角笛魚が邪魔だね。さきに殲滅すっか」

「「「了解」」」」

ぼっち討伐じゃない事を改めて実感して、すごく嬉しい。

だって、フラが氷魔法でサクサク荒くれ魚群を閉じ込めちゃうし。バリラがそれを粉砕してあっという間に終了。あのホーンを雑魚扱いだよ、凄すぎる。



「ちゃんと食える程度に痛めたから!」バリラがサムズアップしてウインクしてくる。

ほぼ瞬間冷凍だから血抜きしなくても新鮮だー。(棒)

ありがとう、美味しい鉄火丼作るね。





さぁ本命の巨大蛸の討伐にはいろうか。

対峙するとそれは想像よりバカでかかった、目測で足一本10m、全長30mってところ。

おいおいDランク推奨って間違ってない?





海上はこちらが不利だが仕方ない、小舟を数カ所浮かべ戦う。氷の足場も造ったが滑るから要注意。

「蛸は血抜き不要だからガンガンいこうぜ!」

その宣言通りバリラが特攻する、しかし弾力のあるアイツは刃を弾き飛ばす。



「ブニブニしてて斬り難い!それに、裂いた箇所から足が生えて増えてくよ。気持ち悪い!」

「氷の槍が刺さるとそこから足が生えるよぉ。きしょいよぉ」

フラが半べそになり戦意喪失気味、氷柱を作るのを止めてしまう。



まぁそういう性質だから……。

再生能力が異常に早いのは、やっぱ魔物の能力か。

長期戦はよろしくないぞ。



全体を凍らせ鈍らせたくても、蛸は波を大きくたて渦潮を作り阻止してくる。

そもそも海はデカ過ぎて、一人の魔法使いでは無理があった。

海中なので炎系はあまり効果はないし、魔力の無駄になるばかり。







体と頭を叩きたいのだがヤツが海中から出すのは足だけ、弱点の体部はナカナカ晒してくれない。

うーん。

「ティル、結界魔法をシャボン玉みたいに作れない?俺を包む空気袋を……」

「シャボンですか?具現できるかわかりませんが、やってみますわ」



ティルが詠唱をはじめた、素人の俺には言語が聞き取れない。

体の周囲が膜のようなもので覆われ視界が揺れた。



「成功ですわ、でも集中力と魔力消費がつらいので5分が限界です」

「了解。バリラは援護よろ、アイツの体内部から解体してくる。俺が浮いてきたら拾い上げてくれ」

「いーけど、沈んだらどうすんだ?私は潜水できん」



浮いてくるから絶対!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界でひっそりと暮らしたいのに次々と巻き込まれるのですが?

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 旧名「異世界でひっそりと暮らしたいのですが」  俺──柊 秋人は交通事故で死んでしまった。  気付き目を開けると、目の前には自称女神様を名乗る神様がいた。そんな女神様は俺を転生させてくれた。  俺の転生する世界、そこは剣と魔法が飛び交うファンタジー世界!  その転生先はなんと、色鮮やかな花々が咲き乱れる楽園──ではなかった。  神に見放され、英雄や勇者すら帰ることはないとされる土地、その名は世界最凶最難関ダンジョン『死を呼ぶ終焉の森』。  転生から1年経った俺は、その森の暮らしに適応していた。  そして、転生してから世界を観てないので、森を出た俺は家を建ててひっそりと暮らすも次々と巻き込まれることに──……!?

異世界のんびり冒険者ギルド生活

みやび
ファンタジー
竜のお姫様に転生した少女と、冒険者ギルドの受付の人と、冒険者ギルドのおっさんの話 短編連作です。 基本的に毎日更新

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...