公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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独立篇

不審者が追って来た

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店の外を出ると外気がヒヤっと襲う、陽が落ちてだいぶ暗くなった街中。

家路を急ごうとレオ達はやや速足で「そこ」を過ぎた。

晩秋に入りやや肌寒いので、競歩気味になってたかもしれない。



ランプが壊れた外灯の陰から金切声が聞こえた気がしたが、皆早くベッドへダイブしたい。

【気のせいだ】と全員聞き流した。



――……ちなさいよ……つってんのよ……!





「なんか聞こえない?」

「さあ、この辺酒場が多いから酔っ払いが騒いでんじゃない?」

「そっか」

「そーだよ」



――待て……のアンタ……て!



「冷えるよなーホットミルク飲んで寝よう」

「さんせい!蜂蜜いれたい」

「寒いですわー」



ザッザッザッズザーーーッ

「待てって言ってんでしょう!がぁ!」



「「「あ」」」」

「さっきの変な子」



息も絶え絶えという様子なのに、レオ達の前に仁王立ちして「変な子」がこちらを睨む。

「ゼェゼェ……ゲッホ!ここで……あったグヘェ!……ひゃくゲボホねんめ……かくゲゲホォ!ごしろオエエエ!」





「なんて?」



***



「ひゃくゲホホさん?ていうのかな?なんの御用で」

「名前じゃないわよ!」



「かくゲゲホォさんだよ、レオ」

「違うわ!」

「ごしろオエエエさんですよね」

「あんたらバカにしてんの!?」





とにかく寒いのでレオ達は足を止めず家路に着いた。

どういうつもりか「ゲホホォさん」がちゃっかり居間に入っていた。

客というに認識はないので誰も水さえ出さない。というか、不審者でしかない。





「就寝時間なんです出ってくださらない?今日は私が戸締り番なんですの」

ティルはにっこり笑顔で珍客に迫る。



「な、なによ寒空に女子を追い出すつもり?」

「――ニッコリ」

「は、話ぐらい聞いてくれても」

「――ニッコリ」





業を煮やしたバリラが不審者の首根っこを掴み玄関外へ投げ捨てた。

「なによ人でなし!バーカバーカ!」

「おい、叫んだり戸を叩き続けようとするつもりなら、その腕引き千切るからな」

「ひっ!」



叩こうとしていた拳を背に隠して後ずさる。





「どうです、帰りましたか?」

「だーめ、庭の片隅にテント張りやがったよ」



ボヤを出されたら厄介だと、フラが満遍なく屋敷周りを水浸しにしてくれた。

明日になってもいるようなら憲兵を頼ろうと一同は就寝した。

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