公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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独立篇

砂糖より甘く、思いは苦く

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フラが先週食べた「カツ丼が美味しかった!」と自慢する。

余ったカツを活用しただけなのだが。

卵とじ派とソース派で分かれ、ちょっと言い争いに発展したのは内緒。



「ぐぬぅ、すでに丼料理を食べていたとはズルイ!」

グーズリーは悔し気に震えた。



幸い心配された米飯は蕎麦屋風カレー用があったので無事に豚丼は完成する。

≪いただきまーす≫

給仕係の旦那さんことカールも参加して賑やかな食卓になる。

お皿はやはりスープ用。





甘辛香ばしく、臭みもない肉が柔らかに舌に踊る。

そして甘辛タレが米に染みて2度美味い。

レオは紅ショウガを添えたいと思ったがそんな用意はしてないので我慢だ。



「くぅ!自画自賛したいほど美味い!おかわり!」

「俺も!」とグーズリーが便乗。



「カツよりこっちが好きかな」バリラが言う。

「どちらも捨てがたいわ」とティルがうーんと唸る。

「レオが作るならなんでも美味しいもん」





「米と肉の組み合わせ最初は抵抗ありましたが美味いですね」とカール。

「蕎麦屋カレーはバターライスにしたがる客もいるけど、このままのほうが美味しいわ」

夫婦が柔らかに微笑み食べている、結婚5年目でも新婚のように仲睦まじい。



レオはちょっぴり痛んだが別に嫉妬はない。



「グーズリーの飯はどれも美味しいよね、貴族街のは見た目だけだよ」

「あー、あいつらなんにでも砂糖入れすぎだよな」

食への冒涜だとグーズリーは憤慨する。



贅沢品を大量消費するというバカな感覚はいまだ抜けない貴族達。

パンが主食の国は、やはり米=野菜の感覚が抜けないのか、貴族が利用する食堂はサラダかプディングにしか使われてない。



「俺はライスプディングだけは食えない」甘い米ってのが理解できないと唸る。

「フラはレオが作るプルプルプリンが大好きだよ」



その話に食いついたメリアは詳しく!と詰め寄る。

「えっとぉ、カラメルを下に流して卵と牛乳を蒸して固めたデザートですよ、冷やして食べます」

レシピを教えると「ブリュレに似てるのね!」とメモに忙しい。





「メリア、食事中だよ」優しく窘めるカール。

「あら、ごめんなさいダーリン」

突然ハートをまき散らす夫婦に一同は砂糖より甘いと密かに思った。





食後はプリンが食べたくなり厨房の隅で作ることになった。

「冷やすなら任せて」とフラが張り切る。

辛党のグーズリーにはブランデーを掛けて出そうかと思ったが、メリアが怖いので却下。

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