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独立篇
美味しいご飯前のハプニング
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財産分与の話は一旦置いといて、レオの興味は猪豚の加工のことで頭がいっぱいだ。
肉屋の主人が「金より肉を分けろ」と言うので解体の指導付ならと交渉。
ただし、ロース部位3kgしか分けないと突っぱねる。
なにせ100g=銀貨1枚の高級肉だ、ガキだと舐めていた店主は悔しそうに了承する。
枝肉を吊るしながら口髭を生やした店主ヴァンは「美しい!」と感嘆する。
まるで芸術品を見るようにウットリ見惚れている。
「ヒレは譲らないよ?」
「ぬうう、残念です・・・。しかしヒレは100g銀貨2枚1本買えば金貨20枚以上、諦めます」
巨大な細長い肉塊を眺め価格を計算して項垂れる、目算で10kg以上ある。
「――ヒレカツを作ったら味見程度はあげるよ」
ふおおおー!山の神よ感謝します!とヴァンは叫んだ。
加工場のガラス越しに見学していたバリラが憤慨する。
「なによそれ、うちらが獲ったんじゃん」
「・・・まぁ美味しい食材いのちに感謝って事では?」
「おなかすいた~」
肉を切り分けつつヴァンは言う。
「うむ、やはり秋の猪豚は脂が良い。ドングリをたくさん食べて肉質が爆上がりです」
「イベリコ豚かよ」
「イベ?」
レオは国外の豚ブランドだと適当にあしらう、詳しく知ってるわけじゃない。
***
粗方解体が終わるとヴァンが言う。
「足を一本預けませんか?生ハムにご興味があれば是非」
「まじ!?原木から手に入るなんて凄い。もちろん頼むよ、店主にも分けるからね」
レオと店主は手を取り合い小躍りする。
加工場で騒ぐな!不衛生でしょ!とヴァンの奥さんが怒鳴り散らす。
二人は縮こまり平謝りした。
「バッカだな~、何をやってんだ」
「レオって食べ物のことになるとネジがぶっとぶよねぇ?」
「残念ですわ」
夕刻、加工場を後にしたレオ達はメインディッシュは何かで議論する。
なかなか白熱した食欲合戦になったが、最終的に調理するレオの意見が通る。
料理ができない3人はやむなく降参。
――
「スープはさっぱりとコンソメにトマトの角切りがいいな」
「美味しそう!」
手伝うふりで乱入したフラがキッチンを珍しそうにチョロチョロ動く。
「うん、クソ邪魔」
「だってー!」
せめてトマトくらい洗えと盥を渡した。
「潰すなよ?」
「はーい」
しゃばしゃばとトマトを洗うというより戯れて見えた、猫が丸い玉にじゃれている様。
とうとう我慢できなくなり、レオはキッチンから追い出した。
トマト入りコンソメに溶き卵をふんわりと仕上げ先ずはスープが完成。
「油使う時は勘弁だ、出禁にしよう」
フラがビチャビチャにしていった床を拭い、少々不機嫌なレオ。
特大ヒレを10等分した1本を取り出し下準備をする。
「柔らかいから低温じゃなくてもいけるよな」
ジュウジュウと衣が弾け香ばしい匂いが立ちレオは恍惚な表情になる。
1kgほどを5等分して揚げていくが少々多いか?とレオは悩むも衣をつけてしまったので、続けて揚げていく。
「チキンもいいがやっぱトンカツだよなー♪」
最後の1枚を油にと思った時、「レオ!わたしも手伝うぞ!」背中をドンと叩かれた。
「うわっ!?ば、ばかやろ」
手元が狂いバシャリと肉が落ち熱々の油が飛び散った。
あっちぃ!とレオが盥へ腕を入れ悶絶した。
「なんだおめぇ、ハハッ大袈裟な・・・レオ・・・レオッ!?」
水浸しのレオの腕は真っ赤に腫れあがっていた。
肉屋の主人が「金より肉を分けろ」と言うので解体の指導付ならと交渉。
ただし、ロース部位3kgしか分けないと突っぱねる。
なにせ100g=銀貨1枚の高級肉だ、ガキだと舐めていた店主は悔しそうに了承する。
枝肉を吊るしながら口髭を生やした店主ヴァンは「美しい!」と感嘆する。
まるで芸術品を見るようにウットリ見惚れている。
「ヒレは譲らないよ?」
「ぬうう、残念です・・・。しかしヒレは100g銀貨2枚1本買えば金貨20枚以上、諦めます」
巨大な細長い肉塊を眺め価格を計算して項垂れる、目算で10kg以上ある。
「――ヒレカツを作ったら味見程度はあげるよ」
ふおおおー!山の神よ感謝します!とヴァンは叫んだ。
加工場のガラス越しに見学していたバリラが憤慨する。
「なによそれ、うちらが獲ったんじゃん」
「・・・まぁ美味しい食材いのちに感謝って事では?」
「おなかすいた~」
肉を切り分けつつヴァンは言う。
「うむ、やはり秋の猪豚は脂が良い。ドングリをたくさん食べて肉質が爆上がりです」
「イベリコ豚かよ」
「イベ?」
レオは国外の豚ブランドだと適当にあしらう、詳しく知ってるわけじゃない。
***
粗方解体が終わるとヴァンが言う。
「足を一本預けませんか?生ハムにご興味があれば是非」
「まじ!?原木から手に入るなんて凄い。もちろん頼むよ、店主にも分けるからね」
レオと店主は手を取り合い小躍りする。
加工場で騒ぐな!不衛生でしょ!とヴァンの奥さんが怒鳴り散らす。
二人は縮こまり平謝りした。
「バッカだな~、何をやってんだ」
「レオって食べ物のことになるとネジがぶっとぶよねぇ?」
「残念ですわ」
夕刻、加工場を後にしたレオ達はメインディッシュは何かで議論する。
なかなか白熱した食欲合戦になったが、最終的に調理するレオの意見が通る。
料理ができない3人はやむなく降参。
――
「スープはさっぱりとコンソメにトマトの角切りがいいな」
「美味しそう!」
手伝うふりで乱入したフラがキッチンを珍しそうにチョロチョロ動く。
「うん、クソ邪魔」
「だってー!」
せめてトマトくらい洗えと盥を渡した。
「潰すなよ?」
「はーい」
しゃばしゃばとトマトを洗うというより戯れて見えた、猫が丸い玉にじゃれている様。
とうとう我慢できなくなり、レオはキッチンから追い出した。
トマト入りコンソメに溶き卵をふんわりと仕上げ先ずはスープが完成。
「油使う時は勘弁だ、出禁にしよう」
フラがビチャビチャにしていった床を拭い、少々不機嫌なレオ。
特大ヒレを10等分した1本を取り出し下準備をする。
「柔らかいから低温じゃなくてもいけるよな」
ジュウジュウと衣が弾け香ばしい匂いが立ちレオは恍惚な表情になる。
1kgほどを5等分して揚げていくが少々多いか?とレオは悩むも衣をつけてしまったので、続けて揚げていく。
「チキンもいいがやっぱトンカツだよなー♪」
最後の1枚を油にと思った時、「レオ!わたしも手伝うぞ!」背中をドンと叩かれた。
「うわっ!?ば、ばかやろ」
手元が狂いバシャリと肉が落ち熱々の油が飛び散った。
あっちぃ!とレオが盥へ腕を入れ悶絶した。
「なんだおめぇ、ハハッ大袈裟な・・・レオ・・・レオッ!?」
水浸しのレオの腕は真っ赤に腫れあがっていた。
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