公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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独立篇

女子との買い物は苦行である

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食後、レオ達は街へ買い出しに向かった。

カーテンや寝具などの布物はまったく使えないので買い揃えねばならない。

思わぬ出費が痛いとレオは思うが設備費用は仕方ないと腹を決めた。





「とりま、予算というのを念頭に選んでくれよ?」

「「「はぁい」」」

(返事は良いんだよな、頼むぜ・・・お嬢様方)





庶民用の寝具店で高級なものはそうそう置いてはないだろうが、やはりピンキリはある。

色味の良いカーテン生地を見て値札を確認すれば「美術品か!」と突っ込む品もあった。

丈夫で安いを優先してレオは選ぶ、地味だけど落ち着くダークブルー基調で揃えた。



大体はベッドカバーとカーテンはセットで販売されているので色柄さえ選べば迷わない。



「わぁ、性格でるな」

彼女らはそれぞれ好き放題選んだらしく、色は全員バラバラだった。

バリラは黒地に赤い薔薇柄。

ティリルは白基調。

フラは蜜柑色と黄色。



レオは恐る恐る値札を確認した。

ティリルはシンプルなもので一番安い、フラは予算内だった。

しかし・・・



「バリラ!一桁多いじゃないか無理!」

「なんでだよ!」

「その一枚で全員の予算超えてるつーの!」



天鵞絨に薔薇刺繍とかふざけているとレオは憤慨する。

「どうしても買いたいなら実家へ強請れ」

「・・・わ、わかったよ。それだけはしたくない」



剣士の修行名目で冒険者になった以上は、極力頼ってはいけない家訓だそうだ。

「うちは全員騎士だからな、そういうの厳しいんだ」

「殊勝なこと言ってるけど俺に集ってるよな?」

「うぐっ・・・ごめん、いつか返すから」



バリラはよほど黒が好きなのか、丈夫な綿の黒生地で揃え落ち着いた。

そして定番の真っ白シーツと枕を全員分買って寝具店を後にした。



***



陽が落ちそうだったので休憩なしに一行は雑貨店へ、しかしこれが時間がかかった。

女子はどうしても可愛い小物類に目がいってしまい目的を忘れがちだった。

オルゴールだ、万華鏡だ、人形だと目移りが酷く、レオは待つだけで辟易した。



「ええと、皿とコップ。カトラリーは揃えたよな」

「ランチョンマットはぁ?」

「・・・なくても飯は食えるだろうが」

「えー・・・」



フラの上目使いに負けたレオは「5分以内に決めろ!できなければ買わん」と言い放つ。

彼女らはキャイキャイと大はしゃぎで各々選んでギリ5分で買って来た。



それから夕飯用の食材を買って周り、レオの気力は限界にきていた。

帰宅後は食事の支度かと思うとウンザリしたのだ。



その時、すぅっと良い香りが鼻を擽った。

温かみのある茶色レンガの小さな食堂から、香ばしく炙られた肉の匂いが漏れている。

「――きょうは外食でいいか」



レオ達はフラフラと匂いに誘われ戸口へ向かった。
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