公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
上 下
26 / 172
反抗期篇

寝ず番のオヤツ

しおりを挟む
焚火に炙られ皮が香ばしく焼け、破れた箇所から肉汁が溢れた。

バケ岩魚は肉厚ブリブリの食べ応えだ、ひとり1匹は多いくらい。



「はふー、お腹いっぱいれすねー」

「・・・食べ過ぎました」

「魔物がこんなに美味しいなんて」



全員の目がトロンとしてきたので交代で休みことにした。

念のため魔除けランプを灯す、オヤスミ。



・・・

・・



「交代だよぉ」ゆさゆさと揺さぶられ重い目を擦った。

「何時間寝てた?」

フラウットがログリングを確かめ3時間くらいと言った。



「お外は深夜1時過ぎくらいだよ」

「ログリングでわかるのかい?」

「うん、ダンジョンへ入った時間から計算すればいいよ」



時間の確認をする手立てを持たなかった迂闊さに恥ずかしくなる。

「あれ?フラウット寝ないの?」

「獣人の私はあまり深く寝ないのぉ、夜明け近くにちょっと休むで足りるもん」



ケモ耳をピクピクさせて寝静まってるティリル達を見守っている。

その目は容姿よりもずっと大人に見えた。

「フラウットは何歳?」

「フラでいいよ、んとね?人族なら13くらいかな」





人なら?訝しい顔の俺に反応してフラはぷふふと笑う。

「獣人は丈夫で長生きなんだよ、同じ時の流れで考えちゃだめぇ」

「そ、そっか見た目より大人ってことだよね」



ちょっぴり獣人の町のことを話してくれた。

玩具のような小さな町の話は面白い、林檎のような屋根とビスケットを貼ったような床の話。

枯れた古木に穴をたくさん空けて住んでるリス族の話。

フラは狐族で族長の末娘だということ、オレンジ色の尻尾の婆バは口煩いけど優しいことなど。

まるで絵本の中のようだと思った。



「素敵な所だね、いつか行ってみたいなー」

フラはフフフッと笑い、焚火に薪を足した。

俺はバッグから袋を出してアルモノを刺して炙る、それはプクリと膨らみ甘い香りを漂わせる。

「食べる?熱いから気を付けて」

「なーにこれ?・・・んん?」



フラはちょっと警戒してフゥフゥと冷まし齧った。

「ふわあ!甘~い♪フワフワトロトロ面白くて美味しいねぇ、なんで伸びるの?なにこれぇ」

「マシュマロだよ、焦げたとこが香ばしいでしょ?」



それからビスケットに挟んで渡した。

「んーー!これもおいひぃ♪」

「うん、夜中の罪悪感で余計美味くなるね」



マシュマロがびよーんと伸びてビスケットがサクサク、そして最後にモチモチ。

フラは珊瑚色の尻尾をフワフワと揺らして喜んだ。

(もふりたい!)



サクサクもちもちと楽しむ二人、食感の違いループはキリが無くなる。

それからハーブティで口をすっきりさせて、3時間後に再び寝させて貰った。

交代で起きたバリラが甘い匂いをしきりに気にしてたが、フラは薪の楓の臭いだと嘯いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でひっそりと暮らしたいのに次々と巻き込まれるのですが?

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 旧名「異世界でひっそりと暮らしたいのですが」  俺──柊 秋人は交通事故で死んでしまった。  気付き目を開けると、目の前には自称女神様を名乗る神様がいた。そんな女神様は俺を転生させてくれた。  俺の転生する世界、そこは剣と魔法が飛び交うファンタジー世界!  その転生先はなんと、色鮮やかな花々が咲き乱れる楽園──ではなかった。  神に見放され、英雄や勇者すら帰ることはないとされる土地、その名は世界最凶最難関ダンジョン『死を呼ぶ終焉の森』。  転生から1年経った俺は、その森の暮らしに適応していた。  そして、転生してから世界を観てないので、森を出た俺は家を建ててひっそりと暮らすも次々と巻き込まれることに──……!?

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

聖女も聖職者も神様の声が聞こえないって本当ですか?

ねここ
ファンタジー
この世界では3歳になると教会で職業とスキルの「鑑定の儀」を受ける義務がある。 「鑑定の儀」を受けるとスキルが開放され、スキルに関連する能力を使うことができるようになり、その瞬間からスキルや身体能力、魔力のレベルアップが可能となる。 1年前に父親を亡くしたアリアは、小さな薬店を営む母メリーアンと2人暮らし。 3歳を迎えたその日、教会で「鑑定の儀」を受けたのだが、神父からは「アリア・・・あなたの職業は・・・私には分かりません。」と言われてしまう。 けれど、アリアには神様の声がしっかりと聞こえていた。 職業とスキルを伝えられた後、神様から、 『偉大な職業と多くのスキルを与えられたが、汝に使命はない。使命を担った賢者と聖女は他の地で生まれておる。汝のステータスを全て知ることができる者はこの世には存在しない。汝は汝の思うがままに生きよ。汝の人生に幸あれ。』 と言われる。 この世界に初めて顕現する職業を与えられた3歳児。 大好きなお母さん(20歳の未亡人)を狙う悪徳領主の次男から逃れるために、お父さんの親友の手を借りて、隣国に無事逃亡。 悪徳領主の次男に軽~くざまぁしたつもりが、逃げ出した国を揺るがす大事になってしまう・・・が、結果良ければすべて良し! 逃亡先の帝国で、アリアは無自覚に魔法チートを披露して、とんでも3歳児ぶりを発揮していく。 ねここの小説を読んでくださり、ありがとうございます。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...