公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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反抗期篇

太公望ぶってみた(魚解体微グロ)

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週末、ギルドで海周辺の依頼はないかボードと窓口をに尋ねた。
「あるにはありますが、海竜討伐ですから無理ですね」
眼鏡のオバチャンに一蹴される。


海竜といっても亜種なので小型モンスターである。
しかしBランク以上の依頼なので仕方ない。

「海竜・・・うん、どっちにしろ不味そうだからいいや」
レオは海街のサウスエーグへと釣りに出ることにした。
辻馬車で王都から50分ほど、転生後は初心者なので大人しく有料釣り場へ向かう。


防波堤のような釣り場ハウスで料金を払う。
「一日銀貨5枚だ、魚の買い取りもしてるからガンバレよ」
「ありがとう」


指定された場所で荷を出した。
監視員兼餌売りのおじさんに声をかけて練餌を売ってもらう。


釣り客はあまりいない、お金を払って趣味で釣るというのは貴族だけなのかもしれない。
「静かにできるから良かった」
俺は自作の釣り具をワクワクしながら取り出し練り餌を針につけた。


水面は澄んでいて小さな青魚がたくさん泳いでいる様が見えた。
(鯵1匹くらいは釣りたいなーこの世界に鯵がいるかしらんけど)
市場に似た魚はいたので期待しておこう。


公爵家の食卓に並ぶ魚介はヒラメのムニエルか蒸し海老ばかり、偏り過ぎだと思う。
針を落として30分、練り餌が溶けてたか食べられたか。
「ちぇ、なにもなし。」

再び付けて針を落とし、冷茶を飲んで待つことにした。
初夏の青い空が澄んでとても気持ちが良い、遠く水平線に船が消えていく。
長閑な時間を買ったと思えば良いと俺は考えた、14歳にしては些か爺臭い。


前世でも何もせず海を長時間眺めるのが好きだった、そのせいで振られたりもした。
無意識に小さく鼻歌を歌っていた、うろ覚えのかつて流行りの唄だ。
歌手がハイテンションで歌唱するので、失恋歌とは気が付かない迷曲だ。


監視のおじさんが「ぼうず引いてるぞ」と教えてくれた。
「おっと!・・・」
小さめだが2匹つれていた、初釣果がすごく嬉しかった。
「そりゃ雑魚だからそれを餌に大物狙いなよ」
「そうなんですか?」


おじさんが「角笛魚ホーンが釣れる」と言った、どうやら魚の魔物らしい。
一回り大きい竿と太い糸を貸してくれた、特別に無料だと笑ってた。
魔物相手になるので銛を使うのも有りらしい。マグロ並みサイズもいるので仕方ないという。

遠投して狙えと指導してくれる、後は運と根気らしい。
「根気かー、ははは・・・」

小腹が空いたのでサンドイッチを食べる、おじさんにもお裾分けしたら喜んでた。
「面白いパンだな、食った事ねぇよ」
もりもりとサンドを食べている、チキン南蛮の甘辛ソースとタルタルを気に入って貰えた。


デザートのスモモを分けて食べつつ世間話をした。
ちょっと気が緩んだ時だった、グングンと竿が大きく動いた。
「ぼうず!ゆっくり引け!持久戦だぞ!」
「はい!」


少し引いて緩めてを繰り返す、魚影が見えてきた。
角のようなものが白く光る、なるほど角笛だ。


竿が嫌な音を立てて撓る、折れそうな予感に俺はおじさんの顔を見た。
「安もんだからな、折れてもしょうがねえ」そう言って笑う。


「ねえ、おじさん。もし逃げられたら力業で殺っていいですか?」
「ほげ?物騒なこというなー。まあいい、釣りじゃなくなるけどな」ハハハッと笑う。
他の釣り人達も寄ってきた、魔物狩りに変更したためギャラリーが一気に増える。


ザァアン!!

飛沫を上げて角笛魚が跳ねた。
(ちょ・・・カジキマグロっぽい)

「おじさん、竿お願いします。次に跳ねたら仕留めるので」
ワイヤー付きナイフを数本出して構える、周囲がざわついた。
「おいおい、ひょっとして冒険者か?」


「来るぞ!」
おじさんの声に反応したかのようにそれが跳ねた。
ヒュンヒュンと投擲すれば目とエラに当たる、俺はグイっとワイヤーを交差させエラに掛けた。
引き寄せたそれは魚体が黒く角だけが妙に白かった。


揚がった角笛魚は1.3mくらいだ、背と尻尾に荊のようなトゲがビッシリ生えている。
「まあまあの大きさじゃないか?」おじさんが手際よく血抜きを開始した。
俺はそれをじっくり見学し覚える。


腹を裂きエラから刃をいれ動脈を切り、水を流しつつエラと内臓を抜き取っている。
「最後に尻尾を・・・なるほど」
「熱心だなぼうず」
「ええ、次はぜんぶ自分でやってみたいので」


事務所が買い取ると言ったが断り、半身をおじさん達で食べてくれと譲った。
マグロモドキで鉄火丼!

俺は涎を飲み込む。
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