公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
上 下
3 / 172
反抗期篇

サボり常習犯は食材狩りに出る

しおりを挟む
「くそつまらない」

入学早々、俺は退学したくなった。



上位貴族の子息子女は能面を被ったような連中ばかりだ。
そういう自分も公爵生まれだけど、なんか違うぞお前ら。
揃いもそろって目が死んでいる。



一応卒業証書はなにかの役にたつかと我慢して入学している。
だが粗方の教養はすでに身に着けていた、ほぼやることが無い。
ほかの連中だって幼少から英才教育は終了してる。



「仕方ないさ、家同士の繋がりを求めてきてるだけだからね」
1才上の親友で王太子のガルディがふふっと笑う。
絵にかいたような王子様だよ、こいつマジうらやま!



「はあ、毎日が社交ぱーりぃかよ。俺は午後は抜けるからね」
「またかい?ちょっと付き合って欲しかったんだが」
「なに?」



弟エドのことだった、聖騎士は王太子に着くべきだと陛下が指示したらしい。
「おかげでアレが臍曲げてしまってね」
「ああ……うん。我儘王子だからな。なんでも一番が欲しいバカ」



俺が口添えしたって仕方ないと思うよ?『無能の長男は黙れ』とか言いそう。
ガルディが王太子になった時も荒れていたし、第4王子がなに言ってんだと思う。
癇癪我儘王子は国王なんて無理だろ、国民が死ぬ。
成人したら身分は俺より下かもしれない。



***



午後は裏門から脱出した、もちろん馬車など乗らない。
服装はすでに庶民用に着替えている、とはいえ男だからアスコットを外し上着を替えた程度。
纏めた髪をぐしゃりとすれば平民の完成。



「またですか、ぼっちゃん」
受付嬢?のオバサンが眼鏡をクイクイしつつ俺を見つめる。

「きょうは薬草じゃなくて狩りをしたいんだ」
「では、ゴブかスライムを」
「だめ、それは食えないから受けない」

なぜ食べる前提なんですか?と呆れていた。



「いいでしょ、地道にDランクになったご褒美で」
「ケガしても責任とりませんよ?コカトリス退治1件、農場からです」
誓約書に一筆書いて狩りに出る「重症、死亡になっても自己責任」という契約だ。



ギルドと王家は力関係は拮抗していて、お互い干渉はしない暗黙ルール。
これは各国共通で、ギルマス総督が大賢者スキル持ちのキレ者のお陰だ。
万年低ランク者や新人達はかなり恩恵を賜ってると思う。



身分差による贔屓がない、平民冒険者が一方的に虐げれ剥奪などされない仕組みを作った。


たとえば王侯貴族だからと言って、ギルド依頼で死んでも補償はしてくれない。
瀕死な怪我等は治癒者が助けてくれるが無料ではなくランクごと治療費が異なる。



でないと俺みたいなバカが後を絶たないし、貧乏貴族が無理な依頼を受けて死んだらキリがない。
わざと怪我して保障しろと訴えたアホ貴族が昔いたとか……。



もちろん平民も同じに死亡保証はない、ただ身分を笠にされ損害を被らないだけマシだ。
冒険者は皆平等が鉄則。



***



少しばかりの丸薬と携帯食を窓口で買い出発した。



だがギルド出口で邪魔が入った「魔法使いいりませんかぁ?」
上目遣いアンド腕を絡めて双丘を押し付ける、媚び媚びの痛い視線。
「パチィーン!!」俺は距離を取って乳にビンタした。



「きゃああ!セクハラ!」
「そっちこそセクハラだろ、乳を押し付けんな」
ギャイギャイと煩いが放置して行く、久しぶりの美味しい狩りは邪魔させん。



今度来たら上下左右からビンタしてやる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でひっそりと暮らしたいのに次々と巻き込まれるのですが?

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 旧名「異世界でひっそりと暮らしたいのですが」  俺──柊 秋人は交通事故で死んでしまった。  気付き目を開けると、目の前には自称女神様を名乗る神様がいた。そんな女神様は俺を転生させてくれた。  俺の転生する世界、そこは剣と魔法が飛び交うファンタジー世界!  その転生先はなんと、色鮮やかな花々が咲き乱れる楽園──ではなかった。  神に見放され、英雄や勇者すら帰ることはないとされる土地、その名は世界最凶最難関ダンジョン『死を呼ぶ終焉の森』。  転生から1年経った俺は、その森の暮らしに適応していた。  そして、転生してから世界を観てないので、森を出た俺は家を建ててひっそりと暮らすも次々と巻き込まれることに──……!?

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

聖女も聖職者も神様の声が聞こえないって本当ですか?

ねここ
ファンタジー
この世界では3歳になると教会で職業とスキルの「鑑定の儀」を受ける義務がある。 「鑑定の儀」を受けるとスキルが開放され、スキルに関連する能力を使うことができるようになり、その瞬間からスキルや身体能力、魔力のレベルアップが可能となる。 1年前に父親を亡くしたアリアは、小さな薬店を営む母メリーアンと2人暮らし。 3歳を迎えたその日、教会で「鑑定の儀」を受けたのだが、神父からは「アリア・・・あなたの職業は・・・私には分かりません。」と言われてしまう。 けれど、アリアには神様の声がしっかりと聞こえていた。 職業とスキルを伝えられた後、神様から、 『偉大な職業と多くのスキルを与えられたが、汝に使命はない。使命を担った賢者と聖女は他の地で生まれておる。汝のステータスを全て知ることができる者はこの世には存在しない。汝は汝の思うがままに生きよ。汝の人生に幸あれ。』 と言われる。 この世界に初めて顕現する職業を与えられた3歳児。 大好きなお母さん(20歳の未亡人)を狙う悪徳領主の次男から逃れるために、お父さんの親友の手を借りて、隣国に無事逃亡。 悪徳領主の次男に軽~くざまぁしたつもりが、逃げ出した国を揺るがす大事になってしまう・・・が、結果良ければすべて良し! 逃亡先の帝国で、アリアは無自覚に魔法チートを披露して、とんでも3歳児ぶりを発揮していく。 ねここの小説を読んでくださり、ありがとうございます。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

処理中です...