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第3章
3-21 ハードゲームの予感
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【前回のあらすじ】
オツに呼ばれたリユは、オツがチームに残るためのお願いとして、男子バスケ部の木村主将によるディフェンス技術の指導と体力の強化を提案される。すでに木村主将の了解を得ていて、オツに「美那を本気で助けるつもりなんだろ?」と問われたリユは断れない。そしてコートには、気合の入ったMCのメンバーが入ってくる。
オツと並んで、美那とナオのところに歩いていく。
途中で「頼んだぞ、リユ!」と肩を叩かれる。
俺は横のオツを見る。
オツも顔を向ける。微かに笑顔を浮かべる。真剣な視線もどこか柔らかい。
俺も笑顔で応える。
美那はやや緊張の面持ちで俺たちを見ている。ナオは優しく微笑む。
当然ながら、美那は、俺とオツが何を話していたか知りたそうだ。
「オツから、俺の今後の強化方法についてアドバイスを受けてた」
俺の方から、話をする。
いや、待て。この言い方だと、オツがチームを去るつもりと受け取れかねない?
実際、美那は、唇をぎゅっと閉じて、ビミョーに不安な表情を浮かべている。
「たぶん、大丈夫だ」
俺は美那にだけ聞こえるように、でもできるだけ力強く言って、微笑みかける。木村主将との練習は、俺的に大丈夫かどうか、わからんけど。メニューよりも勧誘の方が……。
美那は、微妙な表情のまま、静かに頷く。
俺がオツの提案を受け入れた以上、オツも辞めることはないはずだ。
まだ聞いていない3つめのは、気にするなって言ってたんだから、どっちにしてもOKということだろう。
いずれにせよ、俺が絶対に辞めさせないからな。安心しろ、美那。
俺の気持ちが伝わったのか、美那がはにかむ。そして、いつもの笑顔で顔を上げる。
「うん。ありがと、リユ。勝つよ」
決意を秘めた瞳で美那が俺を見る。
「もちろんだ」
俺は美那の強いまなざしに気圧される。なんか、美那も一皮向けた感じだよな。
3x3バスケはキャプテンという制度はないらしいけど、やっぱりチームの精神的、戦術的主柱は必要だ。美那はだんだんとそれに相応しくなってきてる。バスケ部の伝説的な存在のオツから、自分に頼らず戦力のひとりとして見ていることを評価する、って言われたくらいだからな。
カッコいいぜ、美那!
青と黄色に赤いラインの入ったボールを力強く突きながら、ペギーが寄ってくる。
「ハァイ! Z—Fourノミナサン、キョウハ、カツ、カラ、ネ!」
片言の日本語でペギーが話しかけてくる。
笑顔の下に隠された闘志を感じる。敵意というのとはちょっと違う。オツと一緒で、ペギーも俺たちの対戦を本当に楽しみにしている。それが伝わってくる。
「ペギー、わたしたちも、あれから、もっと強くなっているから、覚悟してね! あー、ウイ・アー・ストロンガー・ザン・ビフォア」
美那が分かりやすい日本語で言ってから、簡単な英語で言い直す。
「ソー、レッツ・プレイ!」
ペギーが笑顔で応じる。
ルーシーにジャックとテッドが早くもウォームアップを始めている。
ペギーもそこに加わる。
俺たちも急いで用意されたボールを取りに行く。
すると美那が審判のひとりに呼び止められる。
「この試合、Z―Fourは白のユニフォームということになっていますけど」
「あ!」
美那が思わず驚きの声を上げる。
なんと俺たちはスクリプツとの試合に着た緑のユニフォームのままだった。例の件ですっかり忘れてた。
「まあ、公式戦ではないですし、区別がつきますから、そのままでも構いませんが」
「わかりました。用意できたらすぐに変えます」
俺たちも聞いていたから、すぐに壁際の荷物の置いてある場所にダッシュする。
美那とナオは下にもう一枚着ているから、俺たちと一緒にその場で上だけ着替える。それでも、俺とオツが壁になって、一応の目隠しする。
パンツは緑ベースのままだから、ちょっとカッコよくないけど、まあ問題ない。
「やば、すっかり忘れてたよ」
コートに戻りながら、美那が俺に話しかける。
「そうだな。でも、雨降って地固まる、っていうからな」
「うん」
ポジティブな意味が伝わったのか、美那が軽く肩をぶつけてくる。
俺も当て返す。
コイントスはペギーが勝って、MCは攻撃を選んだ。
ウォームアップにもだいぶ慣れてきて、もう美那の助けはいらない。
少し相手を観察する余裕も出てきたぜ!
ルーシーの動きはやっぱり速い。俺の方がさらに速いってホントか?
間近でプレーを見ると、バージョンアップしたジャックは迫力がある。テッドも切れ味が鋭くなっている。
ペーギーは言わずもがな。さらにドリブルのスピードが上がっている。
2分のウォームアップタイムはあっという間に終了だ。
「じゃあ、次は絶対に勝つということで、フォーメーションとフリーを組み合わせたスタイルで行くから」
ウォームアップを終えて、ボールを返してから、美那がみんなに伝える。
「先発は、先輩とわたしとリユで。たぶん向こうはルーシーが先発すると思うから」
「うん、わかった」とナオ。
美那の予想通り、MCの先発は、ペギー、ルーシー、そしてテッド。さっきの試合と同じだ。
ただトップにはペギーが入った。なので俺がチェックボールを担当する。
ほんの瞬間フレンドリーな笑いを見せたペーギーだけど、すぐにマジ顔に戻る。
ゴールに向かって、右がルーシー、左がテッド。フラット・トライアングル的な陣形だ。で、作戦通り、美那がルーシーをマークする。
笛が吹かれ、いよいよ試合開始だ!
審判から受け取ったボールを、一瞬ホールドしてから、ペギーにトスする。
ペギーがドリブルに行く素振りを見せてから、鋭く近寄ってきたルーシーにパス。でも美那はマークを外されてはいない。
ここで、ルーシーが美那に1on1を挑む。
ペギーのドリブルは力強くてスピードがあって、さらにワイドなフロントチェンジが特徴だけど、ルーシーは独特なリズム感と軽やかなボールタッチが得意みたいだ。
そのリズム感に戸惑っている美那の気配を感じる。
と、思ったら、レッグスルーからのロールターンで、出し抜かれてしまう。
あの緩急差は、結構エグい。
それでも、わずかに遅れながら、美那も反応。
スピードに乗ったドリブルで右サイドを回ってゴールに向かうルーシーに美那が食い下がる。
俺はペギーのカットインの阻止に必死。
よく見えないけど、テッドがオツのマークを強引に抜けたっぽい。
ペギーの動きを気にしつつ、さっと振り向くと、ルーシーがノールックで背中からのパスを出している。
テッドにボールが渡ってしまう。
出遅れたオツもテッドのディフェンスに走っている。
後ろから追ったのではポジション的に難しいけど、オツもなんとかゴールへのラインに割り込んだみたいだ。
俺は振り返って、背中でペギーの動きを察知しつつ、状況を見守る。
そこからさらに、トリッキーな動きで美那を引き離したルーシーに、テッドが短いパス。
ルーシーがステップを踏んで、中央から一気にシュートに行く。
一瞬遅れた美那も、まだブロックが可能そうな位置に付いている。
シュートに行ったルーシーに合わせて、美那も飛ぶ。
伸ばした美那の指先が、ルーシーの放ったボールに触れる。
コースがズれて、ボールはボードに当たる。
美那とルーシーのリバウンド争いだ。
ルーシーが確保しかけたボールを、美那が叩く。
ボールはラインを割る。
「グッド・ディフェンス、美那!」
オツが声を掛ける。
美那がオツを見て、ガッツポーズで応える。
なんか、すげー試合になりそうな予感。
オツに呼ばれたリユは、オツがチームに残るためのお願いとして、男子バスケ部の木村主将によるディフェンス技術の指導と体力の強化を提案される。すでに木村主将の了解を得ていて、オツに「美那を本気で助けるつもりなんだろ?」と問われたリユは断れない。そしてコートには、気合の入ったMCのメンバーが入ってくる。
オツと並んで、美那とナオのところに歩いていく。
途中で「頼んだぞ、リユ!」と肩を叩かれる。
俺は横のオツを見る。
オツも顔を向ける。微かに笑顔を浮かべる。真剣な視線もどこか柔らかい。
俺も笑顔で応える。
美那はやや緊張の面持ちで俺たちを見ている。ナオは優しく微笑む。
当然ながら、美那は、俺とオツが何を話していたか知りたそうだ。
「オツから、俺の今後の強化方法についてアドバイスを受けてた」
俺の方から、話をする。
いや、待て。この言い方だと、オツがチームを去るつもりと受け取れかねない?
実際、美那は、唇をぎゅっと閉じて、ビミョーに不安な表情を浮かべている。
「たぶん、大丈夫だ」
俺は美那にだけ聞こえるように、でもできるだけ力強く言って、微笑みかける。木村主将との練習は、俺的に大丈夫かどうか、わからんけど。メニューよりも勧誘の方が……。
美那は、微妙な表情のまま、静かに頷く。
俺がオツの提案を受け入れた以上、オツも辞めることはないはずだ。
まだ聞いていない3つめのは、気にするなって言ってたんだから、どっちにしてもOKということだろう。
いずれにせよ、俺が絶対に辞めさせないからな。安心しろ、美那。
俺の気持ちが伝わったのか、美那がはにかむ。そして、いつもの笑顔で顔を上げる。
「うん。ありがと、リユ。勝つよ」
決意を秘めた瞳で美那が俺を見る。
「もちろんだ」
俺は美那の強いまなざしに気圧される。なんか、美那も一皮向けた感じだよな。
3x3バスケはキャプテンという制度はないらしいけど、やっぱりチームの精神的、戦術的主柱は必要だ。美那はだんだんとそれに相応しくなってきてる。バスケ部の伝説的な存在のオツから、自分に頼らず戦力のひとりとして見ていることを評価する、って言われたくらいだからな。
カッコいいぜ、美那!
青と黄色に赤いラインの入ったボールを力強く突きながら、ペギーが寄ってくる。
「ハァイ! Z—Fourノミナサン、キョウハ、カツ、カラ、ネ!」
片言の日本語でペギーが話しかけてくる。
笑顔の下に隠された闘志を感じる。敵意というのとはちょっと違う。オツと一緒で、ペギーも俺たちの対戦を本当に楽しみにしている。それが伝わってくる。
「ペギー、わたしたちも、あれから、もっと強くなっているから、覚悟してね! あー、ウイ・アー・ストロンガー・ザン・ビフォア」
美那が分かりやすい日本語で言ってから、簡単な英語で言い直す。
「ソー、レッツ・プレイ!」
ペギーが笑顔で応じる。
ルーシーにジャックとテッドが早くもウォームアップを始めている。
ペギーもそこに加わる。
俺たちも急いで用意されたボールを取りに行く。
すると美那が審判のひとりに呼び止められる。
「この試合、Z―Fourは白のユニフォームということになっていますけど」
「あ!」
美那が思わず驚きの声を上げる。
なんと俺たちはスクリプツとの試合に着た緑のユニフォームのままだった。例の件ですっかり忘れてた。
「まあ、公式戦ではないですし、区別がつきますから、そのままでも構いませんが」
「わかりました。用意できたらすぐに変えます」
俺たちも聞いていたから、すぐに壁際の荷物の置いてある場所にダッシュする。
美那とナオは下にもう一枚着ているから、俺たちと一緒にその場で上だけ着替える。それでも、俺とオツが壁になって、一応の目隠しする。
パンツは緑ベースのままだから、ちょっとカッコよくないけど、まあ問題ない。
「やば、すっかり忘れてたよ」
コートに戻りながら、美那が俺に話しかける。
「そうだな。でも、雨降って地固まる、っていうからな」
「うん」
ポジティブな意味が伝わったのか、美那が軽く肩をぶつけてくる。
俺も当て返す。
コイントスはペギーが勝って、MCは攻撃を選んだ。
ウォームアップにもだいぶ慣れてきて、もう美那の助けはいらない。
少し相手を観察する余裕も出てきたぜ!
ルーシーの動きはやっぱり速い。俺の方がさらに速いってホントか?
間近でプレーを見ると、バージョンアップしたジャックは迫力がある。テッドも切れ味が鋭くなっている。
ペーギーは言わずもがな。さらにドリブルのスピードが上がっている。
2分のウォームアップタイムはあっという間に終了だ。
「じゃあ、次は絶対に勝つということで、フォーメーションとフリーを組み合わせたスタイルで行くから」
ウォームアップを終えて、ボールを返してから、美那がみんなに伝える。
「先発は、先輩とわたしとリユで。たぶん向こうはルーシーが先発すると思うから」
「うん、わかった」とナオ。
美那の予想通り、MCの先発は、ペギー、ルーシー、そしてテッド。さっきの試合と同じだ。
ただトップにはペギーが入った。なので俺がチェックボールを担当する。
ほんの瞬間フレンドリーな笑いを見せたペーギーだけど、すぐにマジ顔に戻る。
ゴールに向かって、右がルーシー、左がテッド。フラット・トライアングル的な陣形だ。で、作戦通り、美那がルーシーをマークする。
笛が吹かれ、いよいよ試合開始だ!
審判から受け取ったボールを、一瞬ホールドしてから、ペギーにトスする。
ペギーがドリブルに行く素振りを見せてから、鋭く近寄ってきたルーシーにパス。でも美那はマークを外されてはいない。
ここで、ルーシーが美那に1on1を挑む。
ペギーのドリブルは力強くてスピードがあって、さらにワイドなフロントチェンジが特徴だけど、ルーシーは独特なリズム感と軽やかなボールタッチが得意みたいだ。
そのリズム感に戸惑っている美那の気配を感じる。
と、思ったら、レッグスルーからのロールターンで、出し抜かれてしまう。
あの緩急差は、結構エグい。
それでも、わずかに遅れながら、美那も反応。
スピードに乗ったドリブルで右サイドを回ってゴールに向かうルーシーに美那が食い下がる。
俺はペギーのカットインの阻止に必死。
よく見えないけど、テッドがオツのマークを強引に抜けたっぽい。
ペギーの動きを気にしつつ、さっと振り向くと、ルーシーがノールックで背中からのパスを出している。
テッドにボールが渡ってしまう。
出遅れたオツもテッドのディフェンスに走っている。
後ろから追ったのではポジション的に難しいけど、オツもなんとかゴールへのラインに割り込んだみたいだ。
俺は振り返って、背中でペギーの動きを察知しつつ、状況を見守る。
そこからさらに、トリッキーな動きで美那を引き離したルーシーに、テッドが短いパス。
ルーシーがステップを踏んで、中央から一気にシュートに行く。
一瞬遅れた美那も、まだブロックが可能そうな位置に付いている。
シュートに行ったルーシーに合わせて、美那も飛ぶ。
伸ばした美那の指先が、ルーシーの放ったボールに触れる。
コースがズれて、ボールはボードに当たる。
美那とルーシーのリバウンド争いだ。
ルーシーが確保しかけたボールを、美那が叩く。
ボールはラインを割る。
「グッド・ディフェンス、美那!」
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暖かくも切ない恋の物語です。
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