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第3章
【番外編】緑のたぬき(一話完結)
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小説投稿サイト・カクヨムの『「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコンテスト』用に書いたものです(参加はせず)。
ほとんど会話だけで書いていますが、読者の方はきっと雰囲気がわかってくださると期待しております(感謝!!)。
なお、本編とは直接関係ありません。
——————————————————————————————
緑のたぬき
「ねえ、リユって、狸を見たことある?」
「小学校の時、動物係で世話をしてたぜ。臭いがきつかったけど、可愛かった」
「ああ。それならわたしだって同じ学校だったんだから、知ってるよ。そうじゃなくて、生の、じゃなくて、自然の」
「あの狸だって、怪我をしてたのを保護したんじゃん」
「まあ、そうだけど、そうじゃなくて、自然の中で生きてるやつ」
「実は、この間も、ちらっとだけど見た」
「うそ? どこで」
「いや、このちかく。どっかからすっと出てきて、俺に気づかれたのに気づくと、どこかの家の入り口の扉の下をくぐり抜けて行った。覗いてみたけど、もういなかった」
「この辺にもまだいるんだ……」
「横浜は結構、緑が多いしな。生きて行けんじゃね?」
「そっか。わたしは見たことないけど」
「美那が気づかないだけじゃねえの? まあ俺も滅多には見ないけど。だけどなんで急に、タヌキ?」
「実は、昨日、珠代が面白いからってDVDを貸してくれてさ。超マニアックなやつ」
「ああ、あいつ、映画マニアだもんな。おまけに、ホラーとかそういう系。しかもDVDって……」
「それに、そのDVD、『緑のたぬき』っていう、ドイツのホラー」
「なんだよ、そのカップ麺みたいなタイトル。それに、ドイツのホラーって……微妙に怖そう」
「そうなの。最初の方を観たけど、怖くてすぐやめた。一緒に観る?」
「えー、俺、ホラー系は苦手だもん。お前、それ知ってるよな?」
「知ってるけど。だって、珠代が、どうだった? 面白かったでしょ? って感想を訊いてきて、まだ観てないって言うと、面白いから、絶対観て! ってしつこいんだもん」
「まーなー。あいつ、映画のことになるとほんと節操がないっていうか……俺も前に、これ、森本くんに合うと思うから観た方がいいよ! って勧められた」
「何を?」
「『君の膵臓をたべたい』」
「ああ。あれはまあ普通に恋愛映画じゃん。タイトルだけ見たら、ホラーっぽいけど。ま、わたしも北村匠海くんのファンだから、普通に観たけど」
「え、お前、北村匠海、好きなの?」
「……うん、まあ、最近、結構」
「へえ……」
「なに、その、へえ、って言いかた!」
「いや、ちょっと意外? だって、お前って、もっと背が高くてクールなイケメン風のが好きなのかと思ってた。まあ、北村匠海は北村匠海でカッコいいとは思うけどな。それにやつ、演技うまいもんな。ま、お前は、バスケじゃ決してイケメンってタイプじゃないカイリー・アービング(※NBAの選手)の大ファンだから、誰のファンでもおかしくはないけど」
「カイリーはルックスじゃないでしょ。プレーでしょ」
「だけど、スラムダンクじゃ、お前、流川ファンじゃん」
「そんなこと言ったっけ?」
「最初の練習試合に行くオツさんの車の中で、俺のポジションは五人制バスケで言ったらどこ? って訊いたら、流川のポジションだって言ってさ。俺がかっこいい役じゃんって喜んで言ったら、『流川君がカッコいいのは、プレーとルックスと性格だし!』ってムキになってたぜ。しかも〝君〟まで付けてるし」
「うわー、バレたか……」
「お前って、意外とわかりやすいとこ、あんのな」
「そんなこと、ないでしょ。学校じゃ、明るくてクールで美しい、山下美那で通ってるし」
「まあな、学校じゃな」
「幼馴染だし、リユにはちょっと気を許しちゃうんだよ」
「てか、お前、俺の前じゃ油断しすぎだろ。まあ男として意識してないんだろうけど。この間だってさ、あーんな短いスカートで俺の部屋に来て、しかもベッドに脚組んで座るから、じつは、下着、ちらっと見えてたぞ」
「うそ。うそだ。じゃあ、何色だった?」
「ま、ちらっとだからよくわかんないけど、青か、水色?」
「うわー、見られたー。リユ、ヘンタイ!」
「変態って……ま、俺、青系の下着、結構、好き、だけ、ど……」
「え、自分がじゃなくて、女の人が着けてる下着のこと?」
「ああ、うん……」
「普通、黒とか赤とかピンクとか、場合によっては白とかじゃないの?」
「いや、普通とかよくわかんないけど、俺は好きなの」
「へぇー」
「なに、いまの、〝へぇー〟って言いかた。お前、やっぱリユって変態だとか思っただろ」
「さあ、どうでしょう?」
「ちぇ。ま、いいけど」
「それより、映画どうする?」
「どんな話だよ、それ」
「パッケージに書いてあったあらすじだと、アジアのある国で緑色に発光する狸が発見されて、その狸が人間を襲うようになるんだって。それに興味を持ったドイツ人の研究者がその国で調査を始めて、その原因が生息地に捨てられた産業廃棄物が原因だと突き止めるらしいんだけど、狸はすごく賢くなっていて、その人は発光する狸からも襲われるし、産廃を捨てた企業からも命を狙われる。とか、なんか、そんな話」
「うぇー、なんか、B級、いやC級感、たっぷりだな。ホラーとサスペンスのミックス? 環境問題が背景にあるのがドイツらしいな。でも思ったより面白そうじゃん」
「じゃあ、観る?」
「俺ん家は今日は無理。かーちゃんが今、忙しいから」
「加奈江さん、また締め切り?」
「なんか、急な仕事を頼まれたっぽい」
「そうなんだ。じゃあ、うちでもいいよ」
「園子さん(※美那の母親)は?」
「いるけど、最近はリユのこと、お気に入りだし、大丈夫。もしかしたら、一緒に観るかも」
「よし、じゃあ、1on1して、負けた方がオゴリな」
「なにを?」
「いや、だって、緑のたぬきとか言ったら、食いたくなんね?」
「じゃあ、わたしは赤いきつね」
「お前、そっち派?」
「どっちかっていうと。お母さんも、かな」
「よし、じゃあ、3人分な」
「何点勝負にする?」
「3人分だから、30点だな」
「いいよ。ラインもあるし、2ポイントシュートは有効ね?」
「もちろん」
「ま、そうじゃなきゃ、勝負にならないもんね」
「そんなことねえだろっ。この間だって、学校の体育館であと一歩だったじゃん」
「あの時は、ちょっと前半、油断してたしね」
「くそ。今度こそ、負けねえからな」
「じゃ、リユ、ごちそうさまでした」
「悪いわね、リユくん。こういうのってなんか時々食べたくなるのよね」
園子さんもちょっと楽しそうだから良しとしよう。
ちくしょう、次こそは絶対に勝ってやる!!
おしまい。
ほとんど会話だけで書いていますが、読者の方はきっと雰囲気がわかってくださると期待しております(感謝!!)。
なお、本編とは直接関係ありません。
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緑のたぬき
「ねえ、リユって、狸を見たことある?」
「小学校の時、動物係で世話をしてたぜ。臭いがきつかったけど、可愛かった」
「ああ。それならわたしだって同じ学校だったんだから、知ってるよ。そうじゃなくて、生の、じゃなくて、自然の」
「あの狸だって、怪我をしてたのを保護したんじゃん」
「まあ、そうだけど、そうじゃなくて、自然の中で生きてるやつ」
「実は、この間も、ちらっとだけど見た」
「うそ? どこで」
「いや、このちかく。どっかからすっと出てきて、俺に気づかれたのに気づくと、どこかの家の入り口の扉の下をくぐり抜けて行った。覗いてみたけど、もういなかった」
「この辺にもまだいるんだ……」
「横浜は結構、緑が多いしな。生きて行けんじゃね?」
「そっか。わたしは見たことないけど」
「美那が気づかないだけじゃねえの? まあ俺も滅多には見ないけど。だけどなんで急に、タヌキ?」
「実は、昨日、珠代が面白いからってDVDを貸してくれてさ。超マニアックなやつ」
「ああ、あいつ、映画マニアだもんな。おまけに、ホラーとかそういう系。しかもDVDって……」
「それに、そのDVD、『緑のたぬき』っていう、ドイツのホラー」
「なんだよ、そのカップ麺みたいなタイトル。それに、ドイツのホラーって……微妙に怖そう」
「そうなの。最初の方を観たけど、怖くてすぐやめた。一緒に観る?」
「えー、俺、ホラー系は苦手だもん。お前、それ知ってるよな?」
「知ってるけど。だって、珠代が、どうだった? 面白かったでしょ? って感想を訊いてきて、まだ観てないって言うと、面白いから、絶対観て! ってしつこいんだもん」
「まーなー。あいつ、映画のことになるとほんと節操がないっていうか……俺も前に、これ、森本くんに合うと思うから観た方がいいよ! って勧められた」
「何を?」
「『君の膵臓をたべたい』」
「ああ。あれはまあ普通に恋愛映画じゃん。タイトルだけ見たら、ホラーっぽいけど。ま、わたしも北村匠海くんのファンだから、普通に観たけど」
「え、お前、北村匠海、好きなの?」
「……うん、まあ、最近、結構」
「へえ……」
「なに、その、へえ、って言いかた!」
「いや、ちょっと意外? だって、お前って、もっと背が高くてクールなイケメン風のが好きなのかと思ってた。まあ、北村匠海は北村匠海でカッコいいとは思うけどな。それにやつ、演技うまいもんな。ま、お前は、バスケじゃ決してイケメンってタイプじゃないカイリー・アービング(※NBAの選手)の大ファンだから、誰のファンでもおかしくはないけど」
「カイリーはルックスじゃないでしょ。プレーでしょ」
「だけど、スラムダンクじゃ、お前、流川ファンじゃん」
「そんなこと言ったっけ?」
「最初の練習試合に行くオツさんの車の中で、俺のポジションは五人制バスケで言ったらどこ? って訊いたら、流川のポジションだって言ってさ。俺がかっこいい役じゃんって喜んで言ったら、『流川君がカッコいいのは、プレーとルックスと性格だし!』ってムキになってたぜ。しかも〝君〟まで付けてるし」
「うわー、バレたか……」
「お前って、意外とわかりやすいとこ、あんのな」
「そんなこと、ないでしょ。学校じゃ、明るくてクールで美しい、山下美那で通ってるし」
「まあな、学校じゃな」
「幼馴染だし、リユにはちょっと気を許しちゃうんだよ」
「てか、お前、俺の前じゃ油断しすぎだろ。まあ男として意識してないんだろうけど。この間だってさ、あーんな短いスカートで俺の部屋に来て、しかもベッドに脚組んで座るから、じつは、下着、ちらっと見えてたぞ」
「うそ。うそだ。じゃあ、何色だった?」
「ま、ちらっとだからよくわかんないけど、青か、水色?」
「うわー、見られたー。リユ、ヘンタイ!」
「変態って……ま、俺、青系の下着、結構、好き、だけ、ど……」
「え、自分がじゃなくて、女の人が着けてる下着のこと?」
「ああ、うん……」
「普通、黒とか赤とかピンクとか、場合によっては白とかじゃないの?」
「いや、普通とかよくわかんないけど、俺は好きなの」
「へぇー」
「なに、いまの、〝へぇー〟って言いかた。お前、やっぱリユって変態だとか思っただろ」
「さあ、どうでしょう?」
「ちぇ。ま、いいけど」
「それより、映画どうする?」
「どんな話だよ、それ」
「パッケージに書いてあったあらすじだと、アジアのある国で緑色に発光する狸が発見されて、その狸が人間を襲うようになるんだって。それに興味を持ったドイツ人の研究者がその国で調査を始めて、その原因が生息地に捨てられた産業廃棄物が原因だと突き止めるらしいんだけど、狸はすごく賢くなっていて、その人は発光する狸からも襲われるし、産廃を捨てた企業からも命を狙われる。とか、なんか、そんな話」
「うぇー、なんか、B級、いやC級感、たっぷりだな。ホラーとサスペンスのミックス? 環境問題が背景にあるのがドイツらしいな。でも思ったより面白そうじゃん」
「じゃあ、観る?」
「俺ん家は今日は無理。かーちゃんが今、忙しいから」
「加奈江さん、また締め切り?」
「なんか、急な仕事を頼まれたっぽい」
「そうなんだ。じゃあ、うちでもいいよ」
「園子さん(※美那の母親)は?」
「いるけど、最近はリユのこと、お気に入りだし、大丈夫。もしかしたら、一緒に観るかも」
「よし、じゃあ、1on1して、負けた方がオゴリな」
「なにを?」
「いや、だって、緑のたぬきとか言ったら、食いたくなんね?」
「じゃあ、わたしは赤いきつね」
「お前、そっち派?」
「どっちかっていうと。お母さんも、かな」
「よし、じゃあ、3人分な」
「何点勝負にする?」
「3人分だから、30点だな」
「いいよ。ラインもあるし、2ポイントシュートは有効ね?」
「もちろん」
「ま、そうじゃなきゃ、勝負にならないもんね」
「そんなことねえだろっ。この間だって、学校の体育館であと一歩だったじゃん」
「あの時は、ちょっと前半、油断してたしね」
「くそ。今度こそ、負けねえからな」
「じゃ、リユ、ごちそうさまでした」
「悪いわね、リユくん。こういうのってなんか時々食べたくなるのよね」
園子さんもちょっと楽しそうだから良しとしよう。
ちくしょう、次こそは絶対に勝ってやる!!
おしまい。
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