カイリーユと山下美那、Z(究極)の夏〜高2のふたりが駆け抜けたアツイ季節の記録〜

百一 里優

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第2章

2-20 思わぬ進路相談

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 ふぅー、疲れた。

 美那の家から3分間の帰り道。
 今日1日を振り返ってみると、なんかめちゃいろんなことがあった。
 早朝、有里子さんに起こされて最後の仕事を手伝った。
 横浜への帰り道、碓氷峠にある蒼山さんの店に寄って、有里子さんからボーナスをもらって、奥さんの早紀さんに会って、ハムスターくんたちを買った。
 帰りの高速でも有里子さんと男女の友情とかについて話した。
 家に戻って、Z250の支払いを完了した。
 そうだ、ついにZ250は完全に俺のものになったんだ!
 それにサスケコート! まさか杉浦さんがラインを引いておいてくれるとは‼︎
 それから家に戻って、あ、美那のヌードを見てしまった……でも美那はそれほど怒ってなくてハムスター君たちを喜んでくれた。で、ふたりで夕飯を作って、それから美那の家に上がって、久しぶりに園子さんと対面して、美那の部屋か……。

「ただいまー」
 返事がない。どうやらかーちゃんは風呂に入ってるらしい。
「かーちゃん、開けるよ」と、洗面所の扉の前で呼びかける。
「あー、おかえり。どうぞ」
 かーちゃんは湯船に浸かっているみたいだ。
「美那ん家に行って、園子さんとも会ってきた」
「美那ちゃんからいろいろ様子は聞いてるけど、どうだった?」
「うん。なんか割と明るかった。それと、美那が、あることないこと俺のこと吹き込んだもんだから、すっかり気に入られちゃってる感じ」
「そう。まあ園子さんはそういうところがあるもんね。ひとり娘ともなると、付き合う相手を選びたくもなるでしょうから。よかったじゃない」
「まあ、美那の家に行きやすくなったのはよかったけど」
「けど、なんなのよ」
「でもだからって、美那が俺と付き合うわけじゃねえし」
「まあね、あなたたちは難しいわよね。昔、〝友達以上、恋人未満〟ってCMのコピーがあったけど、あなたたちは、友達以上恋人以上、って感じだからね」
「それ、どこに着地すんだよ」
「さあ? 結婚?」
「それ、いろいろとすっ飛ばし過ぎだろ」
「お風呂、入る? だったらすぐに出るけど」
「いや、いいや。今日は疲れたし、さっきシャワー浴びたし、朝も早かったから、もう寝る。あ、そうだ。実は有里子さんのバイトの届け、忘れてた……」
「また? わたしも忙しかったし、気がつかなかったわ」
「明日、事後になるけど、谷先生が学校に来てたら提出しようと思ってるんだけど、またサインをお願いできる? テーブルの上に置いとくから」
「わかった。もうほんと気をつけなさいよ」
「はーい。明日の朝、風呂入るから、お湯は入れといて」
「わかった」
 手元に何枚かあった学校のバイト届出用紙に、日付欄とかバイト先を空白にして、仕事内容はカメラマン助手と書いて、食卓テーブルの上に置いて、歯を磨いて、部屋に戻って、スマホを充電して、服を脱いで、ベッドに横になった。

 7月30日火曜日。
 気がついたら、朝だ。
 爆睡。
 6時。外は曇り。でも予報では晴れ。
 そうだ、梅雨が明けたんだ!
 うーん。うずうずする。
 よし、サスケコートに行って、それからZ250に乗って、その後、風呂に入って、あとは学校か本屋だな。
 テーブルの上にはバイト届けにかーちゃんの署名・捺印がしてあった。忘れないように登校用バッグにしまっておく。
 バナナと牛乳で軽い朝飯。Z250のカバーをちょっとめくって、あとで出してやるからな、と声をかけて、サスケコートへGo!
 試しに例の大型のネットを組み立ててみる。でかいから引き起こすところは大変だけど、まあひとりでもなんとかなる。
 今日は車庫に向けての2ポイントシュートの練習だな。ラインもあるし、ネットもあるから気兼ねなくできるぜ。
 それからちょっと下手になってしまったドリブルの練習。あー、美那がいたらもっと練習になるんだけどな。それは夕方にお預けだ。
 完全に晴れた夏空の下をランニングして、8時ごろ家に戻る。
 かーちゃんももう起きていて、一緒にまともな朝ごはん。かーちゃんが作ってくれた。
 朝はふたりともパン派なので、目玉焼きとサラダ、ヨーグルト。食後のコーヒーは俺が淹れる。
 それから、Z250を出す。セルを押すけど、若干エンジンがぐずり気味。少ししたら安定した。かーちゃんに声をかけてから、チョイ乗りだ。
 スッゲー、夏。夏。夏!
 たまらーん‼︎
 バイト代も入ったし、もう少し馴れたら、蒼山さんのアレックスにコーヒーを飲みに行くっていうのもいいな。最初はひとりじゃ不安だし、有里子さんを誘ってみるか。でもまずは三浦半島一周とか、かなぁ。
 土曜日はまたライディングスクールだ。今度はバランスコースで、低速でのライディングを鍛えてくれるらしい。晴れてくれよ!
 30分くらいしか乗らなかったけど、すっげー充実感。Z250を撫で撫でして、フィットの後ろにしまう。
 風呂に入ってたら、美那からメッセージ。
――>谷先生、来てた。11時に職員室に来てくれだって。10時55分に職員室前で待ち合わせでどう?
<――了解。サンキュ。書類は用意してある。
――>バスケ部の練習は10時半で終了。みんな帰っちゃうし、バレー部は午後1時から練習開始。もしかすると、ちょっとだけ、体育館で練習できるかもだけど、シューズ持ってくる? あ、もしするなら、ボールもちょっと違うからリユの持ってきて。
<――まじ? 持ってく。
――>オーケー。
 やったー! カイリーも履きたいし、体育館の床はあの絶妙なグリップ感がたまらんもんなぁー。

 久しぶりに制服を着て――といっても終業式から10日くらいしか経ってないけど――、学校に向かう。
 学校がやけに新鮮に感じるな。
 下駄箱で革靴を上履きに履き替える。
 そういや、終業式の日に香田さんがここで待ってたんだっけ。なんかずいぶん前のような気がする。
 10時50分に職員室の前に行くと、すでに制服姿の美那が待っている。
「お待たせ」
「うん。先生、早めでもいいって」
 ふたりで一応、「失礼します」と言って、職員室に入る。
 横浜実山学院は中等部と高等部で1000人以上の生徒がいるから、先生の数も多くて、職員室も結構でかい。ただ、さすがに夏休み期間だから普段の5分の1以下しかおらず、いるのは大抵、部活の顧問や監督をしている先生方だ。あとはたぶん学年にひとり、ふたりとかそんな感じかな。
「谷先生」と、美那が声をかける。
「ああ」と、先生は答えて顔を上げると、俺たちを交互に眺める。
「面談室に行くか?」
「はい。お願いします」と、美那が答える。
 先生の後ろを歩きながら、「なんで面談室?」と、小声で美那に聞く。
「ちょっと込み入った話になるかもしれないし」
「ああ、そうか」
 面談室に入って、谷先生と対面して座る。
「いやー、夏休みに学校にいるのも退屈だよな。まあやることはいっぱいあるんだけど、ほとんど家でできることだしな。当番は当番だから仕方ないけどな」
「おつかれさまです」と、美那。
「で、なんだっけ? 山下と森本か。15番と16番が揃ってお出ましとは。先生たちの間でも話題になってたぞ、森本」
「そうすっか。あ、実は、夏休みのバイトの届けを出すのを忘れてまして」
「なんだ、森本はそんなことか」
「これです」
 俺はやや空欄の多いバイト届けを先生に差し出した。
「これなんだ? 未記入部分が多いじゃないか」
「はい。実はもうバイトをした後で……」
「カメラマン助手? で、いつバイトだったんだ?」
「7月22日から29日です」
「昨日までか。ま、そのくらいいいだろ。お母さんの名前も書いてあるし。バイト先は?」
「それが、フリーのカメラマンの人の助手で、えーと、長野県に行っていました」
「うわー、泊りがけかぁ。どんな写真だ? 変なやつじゃないよな、もちろん」
「それは大丈夫です。長野県にある有名な建築物を撮影する旅行で、機材運びなんかをやってました」
「ほう。よくそんなバイトを見つけたな。まあ何もなかったならいいだろう。なかったんだよな?」
「問題になるようなことは特に……」
「それ以外はなにかあったのか?」
「あ、それはポジティブな方で、いろんな出会いがあって、ちょっと将来の方向性も見えてきたというか」
「ほう、それはよかったじゃないか。うん、じゃあ、日程は事実通りの日付を書き込んで、提出日だけ終業式の日にしておけ。あの時に受け取ったことにしておく」
「ああ、はい。ありがとうございます」
 あの時って? と美那が聞きたそうにしている気配がするけど、今はスルーしておこう。
 俺はバッグからボールペンを出して、空欄に記入していく。
「よし。じゃあ、森本はこれでいいな。山下は?」
「あ、わたしは付き添いみたいなもので……」
「おまえらそんな仲がよかったっけ? 幼馴染とは聞いているけど」
「実はリユ、あ、森本くんが届けを出すのを忘れていたのは、わたしの所為せいみたいなところがあったので」
 顔を上げて先生を見ると、眼鏡めがねが光った。直感力が意外と鋭いんだよな、谷先生。
「どういうことだ?」
 美那は話すかどうか迷っていたみたいだけど、谷先生のこの質問で決意したようだ。
「実は、両親が、離婚に向けて話し合いを始めていまして」
 美那は一度そこで言葉を切る。
「そうなのか。それは気づかなかったな」
「それで、幼馴染ということもあって、彼にいろいろ相談したり、彼のお母さんとも親しいので話をして気晴らしをさせてもらったりとか……」
「そうか、森本の家は離婚していたんだったな」
「はい。ま、このことだけは僕の方が先輩なんで、多少は力になれるみたいです」
「うん。いい友情じゃないか。お互いに大事にしろよ。わかった、山下のご両親の件は、とりあえず聞いた、ということでいいか? それとも何かすぐにでも困ったことでもあるか? あるなら言ってくれ。できることは手伝うから」
「あ、いまはとりあえずないです。ただ、もしかすると、母親が実家に帰るかもしれないので、転校をせざるを得ないということもあるかもしれません」
「そうか。山下はどうなんだ? 実山に残りたいと思っているのか?」
「はい。絶対に実山で卒業したいと思っています」
「うん。わかった。何かあったらすぐに相談しろよ」
「ありがとうございます」
「この際だ、ほかに何かあるか?」
「あ、ほら、リユ、あれ。コースの件」と、美那が肘で突っつく。
「え、あれ? いま言うのかよ」と、小声で返す。
「こういうのは早い方がいいでしょ」と、美那がささやく。
「なんだ、コースの件、って」
 と、谷先生がしびれを切らしたように聞いてくる。
「僕、さっき将来の方向性が少し見えてきたって、言ったじゃないですか」
「ああ、あれな。それはあらためて面談ででも聞こうと思ったが、なんだ、言ってみろ」
「実は、今から理系コースに変更できないか、と思いまして」
「それはなぁ……でも、まずは、どういうことを考えているかを聞こう」
「バイトでいろんな建築物を見て、有名な建築家の方ともたまたま話をしてもらう機会がありまして、建築士とかそういった方面に進みたいと考え始めています」
「うーん。規定ではコース変更はできないことになってるからなぁ。それにお前、理系科目はあんまり良くないよな」
「それはわかってます。だから数学も中学からやり直そうと考えています」
「そうか……前期末もあれだったしな。わかった。ちょっとここで待っててくれ」
 谷先生はそう言い残して、面談室から出て行った。
「あの時、ってなによ?」
「ああ、終業式の日、教室で、前期の後半、お前に引っ張り回されたなぁ、とか色々思い出して、ボーとしてたら、ひとり取り残されてて、その時に谷先生が教室に来て、ちょっと話をしただけ」
「へぇー。だけどさ、なんか、先生、方法がありそうな雰囲気じゃない?」
「まあそんな感じはあるな」
 5分もしないで先生が戻ってきた。資料とかを持ってくるのと思いきや、自販機の飲料を3本持っている。
「好きなのを選べ」と、先生は言って、テーブルの上に飲料を置いた。
 缶コーヒーとミルクティとコーラのペットボトル。
 美那がミルクティを選び、俺はコーラ。
「うん。想定通りだな」と、谷先生は満足げだ。
 先生は缶コーヒーを開けて、さあ遠慮するなと勧めてくれる。
「それで、進路の話だけどな、まず、コースの変更はできない。これは1年の時にちゃんと説明したよな」
「はい」
「うん。ただ、コースの変更はできないが、推薦で学部を選ぶ時に文系コースの生徒でも理系の学部を選ぶことは可能だ」
「そうなんですか⁈」
「ただ、これは簡単じゃない。もちろん森本が希望を出すことはできるけど、それだけでは即、却下だ。条件のひとつめは、2回行われる学力テストで理系コースと同じ科目を受験すること。だから数Ⅲとか数学α、あとは理科の選択科目を受けなければならない。どうだ?」
「数学は外部受験するにしてもやらないといけないので、基礎からやり直します。建築関係なら理科は物理を選んでおいた方がいいでしょうか?」
「そうだな。それに物理なら俺が教えてやれる」
「マジっすか? あ、すみません。よろしくお願いします」
「ま、特別授業ってわけにもいかないから、自分で勉強して質問しに来い」
「はい」
「条件のふたつ目はちょっと難しいんだ。森本が理系学部に推薦願すいせんねがいを出した時点で、理系科目の教員の間で協議することになる。理系コースの生徒に取ってみれば、自分たちの席がひとつ減る可能性があるわけだから、かなり厳密な協議だ。もっとも推薦願の提出は3年の秋だから、その前に学力テストの1回目が2年の冬にある。その時点で、理系科目を選択しているわけだから、ま、お前が理系学部を狙ってることは周知の事実となる。普段の評定については、ちょっとした計算式があって、文系コースでの点数を理系コースに変換する。簡単に言うと、数学の重みを高くする。ということは今までの成績でお前は十分に不利ということなる」
「はい、そうですね……協議というのはなにをするんですか?」
「基本的にはお前の文系コースでの理系科目の評価ってところかな。つまり、おまえが理系学部に適性があるかどうかを話し合う」
「今からでも間に合うんでしょうか?」
「そうだな……正直、いままでの成績だと厳しいよな。でもまあ今後の伸び方次第では、ありえないことではない。これから理系科目の先生方を驚かすような成績を取るしかないな。そういう印象も大切だ。授業の態度とかもな。数学はすぐには無理だとしても、とりあえず物理基礎で俺を驚かせてみろよ」
「はい」
「まあ、あとは外部受験ということも念頭に入れておくしかないな。その覚悟はあるみたいだが」
「はい。ありがとうございます」
「でも、このタイミングで相談してくれてよかった。少しは可能性を増やせるからな。森本、山下に感謝しろよ。山下が言わなけりゃ、後回しにするつもりだったんだろ?」
「ええ、まあ……」
「お前も山下を助けてやってるんだ。お互い様だな。それから、山下。家庭のことは俺も口は挟めないけど、話くらいは聞いてやれる。無理をせずに、なんでも相談に来い」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ、今日のところはこれでいいか?」
 俺たちはうなずくと、立ち上がって、あらためて谷先生にお礼を言って、頭を下げた。

「やっぱ、谷先生って、見た目より優しいよね」
「ああ、いかにも理系っぽいクールな顔なのにな」
「でも、よかったじゃん。少しは可能性ありそうで」
「だな。サンキュー、美那」
「ま、お互い様だろ」
 と、美那は言って、変顔でおどけてみせる。
「さ、体育館でちょっと遊んでいこうよ!」
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