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第1章
1-24 理不尽な要求?(1)
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俺は休憩室の入り口に背を向けて座っていて、オツさんは俺の斜め前で選手のリストをうつむいて眺めている。
ドアが開くと同時に、俺は振り返る。
「じゃーん」と、美那とナオさんが声を揃える。
緑色がベースのホーム用(?)ユニフォームを着ている。
うわー、ちょーかっこいいじゃん!
それに、ふたりともチョーかわいいじゃん!
オツさんが顔を上げる。
目を見開いて、口を開けたマヌケ顔だ。
「おまえたち、それ……」
「今日勝つことを見込んで、キャプテンの権限でもう注文しちゃいました」
と、美那が笑顔で言う。
オツさんはどんな顔をしていいのか困っているみたいだ。
ナオさんがオツさんの横に行く。そして紙袋からプレゼント用にパッケージされたユニフォームを取り出す。
「航太さんの誕生日は、わたしたちが出会ったときには過ぎてしまっていたから、これは誕生日プレゼントの代わりです」
ちょっと恥ずかしそうに言うナオさんに笑顔で差し出されたら、オツさんだって受け取らないわけにはいかない。
「あ、ありがとう。ナオ……」
怒るどころか、感激しているし。
「あ、これリユの」
美那が素っ気なく俺の分を渡す。
「お、サンキュ。俺も着てこよ」
「リユ、それはあとにしてメンバー先に決めないと。田中さんたちも待ってるでしょ」
「ああ、そうだな」
俺は仕方なくパッケージを開けて、しげしげとZ―Fourのユニフォームを眺める。
めちゃ、いいじゃん!
番号は25か。
なんでだろ。
美那は11番か。
ナオさんは12番。
オツさんはナオさんに手伝ってもらってパッケージを開けている。
取り出すと、番号は4。
「なあ、美那、なんで俺は25番で、おまえは11なの?」
「リユのはバイクにちなんだやつ。3桁にはできなかったから、Z25で我慢して」
「おー、気が利くじゃん、美那! そっかぁ、うれしいよ。で、美那のは?」
「わたしの? 怒んないでね。カイリー・アービングの高校の時の番号」
「それ、ずりー。俺も11番が良かった、いや、やっぱ25でいい。25がいい」
「でしょ? いろいろ考えたんだから! それから、オツさんのは5人制バスケのセンターの代表的な背番号。ナオさんのはバレーの木村沙織選手が付けていた番号なんだって」
オツさんはナオさんにユニフォームをTシャツの上から当てられて、照れまくっている。
「先輩、そろそろメンバー選びしません?」
「おお、そうだった。悪い……」
俺はカツサンドの続きを食べる。
美那もバナナに手を伸ばす。
「今の時間に考えたんだが、社内バスケ部は、14番の大学バスケ部2年の軟テ女子と、12番の陸男がいいと思う。あとは6番ラグビーと、1試合目に出てた7番の、中学女子バスケ部と高校女子サッカー、サニーサイド歴2年、のふたりでどうだ?」
「7番サッカー女子5年か。サッカーやってたんだな。どうりで横の動きが鋭いと思った。でもそれだと、初心者は6番ラグビーだけだな」と、俺。
「そうなんだが、リユとナオの今日のプレーを考えると、それでいいんじゃないかと思ってな。ミナ、大会では経験者とか初心者ってどうやって決めてるんだ?」
「大会事務局に問い合わせたんですけど、わりと適当みたいですよ。目安としては、経験者は、中学以上でバスケ部所属とか同好会2年以上とかの経歴で、公式戦出場経験あり。未経験者は、継続的にバスケをしたことがなくて、一般向けの大会にも出場経験が1回しかないとか、そんな感じみたいです。自己申告なので、それもどこまで守られるかはわかりません」
「誤魔化してくるチームもありそうだな。それならなおさら、さっきのでいいんじゃないか?」
「そうですね。そうしましょう。体力の問題も、こっちが3戦とも延長戦で戦って決勝ラウンドに進んで、相手はぜんぶ21点先取であっさり勝ち上がってきたってこともありうるわけだし」
「よし、じゃあ、それで田中さんに伝えてくる」
オツさんが部屋を出て行くと、「先輩、めちゃ喜んでたね」と、美那がナオさんに話しかける。
「うん。よかった。フライングにぜんぜん怒らなかった」
「あれだけの試合をすれば、先輩も納得だよ」
食い終わった俺は、ソファに寝そべった。
「おれ、ちょっと寝るわ」と、美那に声を掛ける。
「うん、そうして。あ、ユニフォーム、ここで着ちゃえば? わたしたち、あっち向いてるから」
「そうか。じゃあ」
美那がテーブルに置いてあった俺のユニフォームを持ってきてくれた。
俺はふたりが見ていないのを確認して、着替えをすませた。
「もういいぞ」
「おー、意外といいじゃん!」
「なんだ、その、意外って」
「似合ってる、って。次の試合も期待してます!」
「ああ」
横になってもなんか眠れないまま目をつぶってじっとしてたら、誰かが上に何かを掛けてくれた。
美那の匂いがする……。
いつの間にか熟睡していたらしい。
「おい、そろそろ起きろ」と、ユニフォーム姿のオツさんに起こされた。
掛けられたジャージを見たら、やっぱり美那のだった。
3人が座っていたテーブルに行く。
「美那、これサンキュ」と、ジャージを渡す。
「あ、うん」と、美那が受け取る。
なんか最近、美那のやつ、変わったな。
前も思った気がするけど、なんていうか、ちょっとお淑やかになった?
女性らしい感じ?
やっぱナオさんの影響かな。
俺たちがユニフォーム姿でコートに戻ると、練習中だったサニーサイドの人たちが驚いた顔を見せる。
そりゃ、さっきまではバラバラのTシャツに短パンだったもんな。オツさんも最初の挨拶で、「ユニフォームもまだない」とか何とか言ってたし。
律儀にもオツさんは、田中さんと鈴木さんにユニフォームについて説明しに行った。たぶん、「女子2人が勝手に用意していて、自分も知らなくて」とか、言ってるんだろうな。
向こうのチームと一緒にウォームアップをしていて、これはヤバイなと思った。
14番軟テ女子8年は、鈴木さんと同レベルだろうと思ってたら、やっぱりその通りだった。
12番陸男7年は、2試合目の10番高バス女子より全然うまい上に、ダッシュ力がすごい。
それに7番中バス・サッカー女子5年と6番ラグビーだ。このふたりは動きのスピードには要注意だな。7番は2ポイントも。
Zのスターティングは、オツ、ミナ、ナオ。
俺は温存? だよな。
サニーサイドは、14番軟テ女子8年、12番陸男7年、7番サッカー女子5年。
うげ、ぜんぶ、経験者じゃんか。エゲツな……。
ま、向こうも俺たちの実力を完全に認めたってわけだ。
コートの中に俺たちZ―Fourの緑のユニフォームが輝いている。
すげえ、新鮮な光景だ。
早く俺も、このユニフォームで、あそこに立ちたいっ!
ところが、ゲーム開始から、サニーサイドの一方的なペースになってしまう。
14番軟テ女子、12番陸男のフレッシュなコンビのスピードに、美那でさえ対応が遅れがち。
オツも動き出しが遅い。
特にまだ横の動きの苦手なナオは、まったくついていけてない。
レイアップシュートの見本市状態。
ディフェンスが緩くて、2ポイントも14番軟テ女子に2本決められ、どんどん離されていく。
3分をすぎたところで、早くも7点差。
(6対13)
ボールがラインを割ったタイミングで、ナオと俺が交代。
見てろよ。Z25の俺が流れを変えてやる!
チェックボールを美那から俺、オツへと速いパス回し。
オツからカットインした美那にパス。
並行して走る俺へのパスフェイクで14番軟テ女子を振り切ると、美那がレイアップでしっかりゴール。
(8対13)
さっきの試合で活躍したせいかもしれないけど、マークがきつい。
もしかするとユニフォームがカッコよ過ぎるから、かもしれない。
7番サッカー女子からボールを奪ったものの、14番軟テ女子をドリブルで抜けない。
フォローに来た美那にパス。
美那がドリブルからオツに。
オツが高さを生かしてオバーハンドレイアップを決める。
(9対13)
ゴールしたボールを14番軟テ女子がキャッチ。
アークの外で14番のパスを受けた12番陸男が、ドリブルで直線的に切り込んでくる。
美那がディフェンスに入ると、7番サッカー女子にパス。
オツが立ちはだかる。
俺がマークについている14番軟テ女子はちょこまか動き回り、7番サッカー女子からパスを受ける。
俺がディフェンスするも、走りこんできた12番陸男にトス、そのままシュートを決められてしまう。
陸男、速い。
(9対14)
オツがゴールのボールを拾う。
美那と俺が動き回るが、14番軟テ女子と7番サッカー女子に付かれ、ふたりとも振り切れない。
オツさんもパスの出し場に困る。
美那と俺はアイコンタクトでサイドチェンジ。
14番と7番を一瞬困惑させる。
ようやくオツが美那にパス。
美那がペネトレーションを狙うが、12番陸男がディフェンス。
シュートにたどり着けない。
フェイントを入れて俺にパス。
ショットクロック12秒が迫る。
7番サッカー女子を越える、とりあえずのジャンプシュート。
リングに弾かれる。
リバウンドを12番陸男に確保されてしまう。
もうすぐハーフタイム。これ以上点を取られて離されたくない。
俺たちは、向こうのフェイントを巧みに入れたパスに振り回される。
疲労が蓄積していく。
そしてまたもや14番軟テ女子にシュートを決められてしまう。
(9対16)
ここでハーフタイム。
「向こうは女子ふたりでポイントを稼いでくる上に、美那にはシュートをさせないようにしているな。女子の2倍ポイントを有効に利用してやがる」と、オツ。
「やっぱりそうですよね。シュートに行かないで、ついパスを出したくなる感じだった」と、美那。
「シュートに入れそうだ、と思うとディフェンスの圧が強くて、パスは特に航太さんにしやすかった」と、ナオ。
「俺は前の試合よりもずっとマークがきつい感じだった。振り切ってもまた別のやつが来て、追い込まれていく感じ」
「美那のシュートと、リユの2ポイントを防ごうとしているのか。前の2試合でだいぶ研究されたな」と、オツさんが分析する。「突破口があるとすれば、リユのシュートは外れたものの、相手を撹乱したあの時の美那とリユのパス回しだな」
「じゃあ、わたしとリユで地上戦をかき回して、チャンスがあればシュート。先輩が行けそうなときは回す。そのあたりを混ぜていきましょう。先輩が2ポイントを決めてくれればいいのに……」
「俺はロングが苦手でな。すまん。3x3では有効だし、もっと練習しないとな」
「先輩、苦手とか言ってないでどんどん打ってください。今日は2ポイントを2本決めること。キャプテンからの命令。でないと、先輩からナオさんへの連絡は禁止!」
「おい、ちょっと待て。それはプライベートなことだし、美那にそんなことを命令されるいわれはないぞ。理不尽だろ」
ドアが開くと同時に、俺は振り返る。
「じゃーん」と、美那とナオさんが声を揃える。
緑色がベースのホーム用(?)ユニフォームを着ている。
うわー、ちょーかっこいいじゃん!
それに、ふたりともチョーかわいいじゃん!
オツさんが顔を上げる。
目を見開いて、口を開けたマヌケ顔だ。
「おまえたち、それ……」
「今日勝つことを見込んで、キャプテンの権限でもう注文しちゃいました」
と、美那が笑顔で言う。
オツさんはどんな顔をしていいのか困っているみたいだ。
ナオさんがオツさんの横に行く。そして紙袋からプレゼント用にパッケージされたユニフォームを取り出す。
「航太さんの誕生日は、わたしたちが出会ったときには過ぎてしまっていたから、これは誕生日プレゼントの代わりです」
ちょっと恥ずかしそうに言うナオさんに笑顔で差し出されたら、オツさんだって受け取らないわけにはいかない。
「あ、ありがとう。ナオ……」
怒るどころか、感激しているし。
「あ、これリユの」
美那が素っ気なく俺の分を渡す。
「お、サンキュ。俺も着てこよ」
「リユ、それはあとにしてメンバー先に決めないと。田中さんたちも待ってるでしょ」
「ああ、そうだな」
俺は仕方なくパッケージを開けて、しげしげとZ―Fourのユニフォームを眺める。
めちゃ、いいじゃん!
番号は25か。
なんでだろ。
美那は11番か。
ナオさんは12番。
オツさんはナオさんに手伝ってもらってパッケージを開けている。
取り出すと、番号は4。
「なあ、美那、なんで俺は25番で、おまえは11なの?」
「リユのはバイクにちなんだやつ。3桁にはできなかったから、Z25で我慢して」
「おー、気が利くじゃん、美那! そっかぁ、うれしいよ。で、美那のは?」
「わたしの? 怒んないでね。カイリー・アービングの高校の時の番号」
「それ、ずりー。俺も11番が良かった、いや、やっぱ25でいい。25がいい」
「でしょ? いろいろ考えたんだから! それから、オツさんのは5人制バスケのセンターの代表的な背番号。ナオさんのはバレーの木村沙織選手が付けていた番号なんだって」
オツさんはナオさんにユニフォームをTシャツの上から当てられて、照れまくっている。
「先輩、そろそろメンバー選びしません?」
「おお、そうだった。悪い……」
俺はカツサンドの続きを食べる。
美那もバナナに手を伸ばす。
「今の時間に考えたんだが、社内バスケ部は、14番の大学バスケ部2年の軟テ女子と、12番の陸男がいいと思う。あとは6番ラグビーと、1試合目に出てた7番の、中学女子バスケ部と高校女子サッカー、サニーサイド歴2年、のふたりでどうだ?」
「7番サッカー女子5年か。サッカーやってたんだな。どうりで横の動きが鋭いと思った。でもそれだと、初心者は6番ラグビーだけだな」と、俺。
「そうなんだが、リユとナオの今日のプレーを考えると、それでいいんじゃないかと思ってな。ミナ、大会では経験者とか初心者ってどうやって決めてるんだ?」
「大会事務局に問い合わせたんですけど、わりと適当みたいですよ。目安としては、経験者は、中学以上でバスケ部所属とか同好会2年以上とかの経歴で、公式戦出場経験あり。未経験者は、継続的にバスケをしたことがなくて、一般向けの大会にも出場経験が1回しかないとか、そんな感じみたいです。自己申告なので、それもどこまで守られるかはわかりません」
「誤魔化してくるチームもありそうだな。それならなおさら、さっきのでいいんじゃないか?」
「そうですね。そうしましょう。体力の問題も、こっちが3戦とも延長戦で戦って決勝ラウンドに進んで、相手はぜんぶ21点先取であっさり勝ち上がってきたってこともありうるわけだし」
「よし、じゃあ、それで田中さんに伝えてくる」
オツさんが部屋を出て行くと、「先輩、めちゃ喜んでたね」と、美那がナオさんに話しかける。
「うん。よかった。フライングにぜんぜん怒らなかった」
「あれだけの試合をすれば、先輩も納得だよ」
食い終わった俺は、ソファに寝そべった。
「おれ、ちょっと寝るわ」と、美那に声を掛ける。
「うん、そうして。あ、ユニフォーム、ここで着ちゃえば? わたしたち、あっち向いてるから」
「そうか。じゃあ」
美那がテーブルに置いてあった俺のユニフォームを持ってきてくれた。
俺はふたりが見ていないのを確認して、着替えをすませた。
「もういいぞ」
「おー、意外といいじゃん!」
「なんだ、その、意外って」
「似合ってる、って。次の試合も期待してます!」
「ああ」
横になってもなんか眠れないまま目をつぶってじっとしてたら、誰かが上に何かを掛けてくれた。
美那の匂いがする……。
いつの間にか熟睡していたらしい。
「おい、そろそろ起きろ」と、ユニフォーム姿のオツさんに起こされた。
掛けられたジャージを見たら、やっぱり美那のだった。
3人が座っていたテーブルに行く。
「美那、これサンキュ」と、ジャージを渡す。
「あ、うん」と、美那が受け取る。
なんか最近、美那のやつ、変わったな。
前も思った気がするけど、なんていうか、ちょっとお淑やかになった?
女性らしい感じ?
やっぱナオさんの影響かな。
俺たちがユニフォーム姿でコートに戻ると、練習中だったサニーサイドの人たちが驚いた顔を見せる。
そりゃ、さっきまではバラバラのTシャツに短パンだったもんな。オツさんも最初の挨拶で、「ユニフォームもまだない」とか何とか言ってたし。
律儀にもオツさんは、田中さんと鈴木さんにユニフォームについて説明しに行った。たぶん、「女子2人が勝手に用意していて、自分も知らなくて」とか、言ってるんだろうな。
向こうのチームと一緒にウォームアップをしていて、これはヤバイなと思った。
14番軟テ女子8年は、鈴木さんと同レベルだろうと思ってたら、やっぱりその通りだった。
12番陸男7年は、2試合目の10番高バス女子より全然うまい上に、ダッシュ力がすごい。
それに7番中バス・サッカー女子5年と6番ラグビーだ。このふたりは動きのスピードには要注意だな。7番は2ポイントも。
Zのスターティングは、オツ、ミナ、ナオ。
俺は温存? だよな。
サニーサイドは、14番軟テ女子8年、12番陸男7年、7番サッカー女子5年。
うげ、ぜんぶ、経験者じゃんか。エゲツな……。
ま、向こうも俺たちの実力を完全に認めたってわけだ。
コートの中に俺たちZ―Fourの緑のユニフォームが輝いている。
すげえ、新鮮な光景だ。
早く俺も、このユニフォームで、あそこに立ちたいっ!
ところが、ゲーム開始から、サニーサイドの一方的なペースになってしまう。
14番軟テ女子、12番陸男のフレッシュなコンビのスピードに、美那でさえ対応が遅れがち。
オツも動き出しが遅い。
特にまだ横の動きの苦手なナオは、まったくついていけてない。
レイアップシュートの見本市状態。
ディフェンスが緩くて、2ポイントも14番軟テ女子に2本決められ、どんどん離されていく。
3分をすぎたところで、早くも7点差。
(6対13)
ボールがラインを割ったタイミングで、ナオと俺が交代。
見てろよ。Z25の俺が流れを変えてやる!
チェックボールを美那から俺、オツへと速いパス回し。
オツからカットインした美那にパス。
並行して走る俺へのパスフェイクで14番軟テ女子を振り切ると、美那がレイアップでしっかりゴール。
(8対13)
さっきの試合で活躍したせいかもしれないけど、マークがきつい。
もしかするとユニフォームがカッコよ過ぎるから、かもしれない。
7番サッカー女子からボールを奪ったものの、14番軟テ女子をドリブルで抜けない。
フォローに来た美那にパス。
美那がドリブルからオツに。
オツが高さを生かしてオバーハンドレイアップを決める。
(9対13)
ゴールしたボールを14番軟テ女子がキャッチ。
アークの外で14番のパスを受けた12番陸男が、ドリブルで直線的に切り込んでくる。
美那がディフェンスに入ると、7番サッカー女子にパス。
オツが立ちはだかる。
俺がマークについている14番軟テ女子はちょこまか動き回り、7番サッカー女子からパスを受ける。
俺がディフェンスするも、走りこんできた12番陸男にトス、そのままシュートを決められてしまう。
陸男、速い。
(9対14)
オツがゴールのボールを拾う。
美那と俺が動き回るが、14番軟テ女子と7番サッカー女子に付かれ、ふたりとも振り切れない。
オツさんもパスの出し場に困る。
美那と俺はアイコンタクトでサイドチェンジ。
14番と7番を一瞬困惑させる。
ようやくオツが美那にパス。
美那がペネトレーションを狙うが、12番陸男がディフェンス。
シュートにたどり着けない。
フェイントを入れて俺にパス。
ショットクロック12秒が迫る。
7番サッカー女子を越える、とりあえずのジャンプシュート。
リングに弾かれる。
リバウンドを12番陸男に確保されてしまう。
もうすぐハーフタイム。これ以上点を取られて離されたくない。
俺たちは、向こうのフェイントを巧みに入れたパスに振り回される。
疲労が蓄積していく。
そしてまたもや14番軟テ女子にシュートを決められてしまう。
(9対16)
ここでハーフタイム。
「向こうは女子ふたりでポイントを稼いでくる上に、美那にはシュートをさせないようにしているな。女子の2倍ポイントを有効に利用してやがる」と、オツ。
「やっぱりそうですよね。シュートに行かないで、ついパスを出したくなる感じだった」と、美那。
「シュートに入れそうだ、と思うとディフェンスの圧が強くて、パスは特に航太さんにしやすかった」と、ナオ。
「俺は前の試合よりもずっとマークがきつい感じだった。振り切ってもまた別のやつが来て、追い込まれていく感じ」
「美那のシュートと、リユの2ポイントを防ごうとしているのか。前の2試合でだいぶ研究されたな」と、オツさんが分析する。「突破口があるとすれば、リユのシュートは外れたものの、相手を撹乱したあの時の美那とリユのパス回しだな」
「じゃあ、わたしとリユで地上戦をかき回して、チャンスがあればシュート。先輩が行けそうなときは回す。そのあたりを混ぜていきましょう。先輩が2ポイントを決めてくれればいいのに……」
「俺はロングが苦手でな。すまん。3x3では有効だし、もっと練習しないとな」
「先輩、苦手とか言ってないでどんどん打ってください。今日は2ポイントを2本決めること。キャプテンからの命令。でないと、先輩からナオさんへの連絡は禁止!」
「おい、ちょっと待て。それはプライベートなことだし、美那にそんなことを命令されるいわれはないぞ。理不尽だろ」
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