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第1章
1-18 バッシュ・デビュー!(2)
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「ナオさんについて感想を率直に言わせてもらえば……」と、美那。
「ミナ、正直に言って」と、ナオさん。オツさんもアゴの動きで促す。
「ハンドリングやドリブルはまだまだ。だけど体の使いかたとか接近戦とかすごく上がってる。びっくりした」
「そう?」
ナオさんの表情が明るくなる。
「俺もそう思った。ミナを弾き飛ばしそうな勢いだった」と、俺
「そうだ。だいぶバスケットボール・プレーヤーらしくなってきた」と、オツさん。
おや、オツさんとナオさん、お揃いのアシックスの白になってるじゃん!
横に座っていた美那に無言で知らせる。
「ほんとだ」と、美那がささやく。
「なんだ、なにコソコソ言ってんだ」と、オツさん。
美那が俺のほうを向いて、ニヤッとする。膝で俺の膝を軽くつつく。ふたりで足をオツさんのほうに突き出す。
「ああ、シューズな」と、オツさんが照れる。「チームで白で統一するのもいいかと思ってな」
ナオさんが幸せそうに微笑み、美那にうなずく。
今度は美那がふたりの写真を撮って、みんなに送る。オツさんもさっきの写真を送ってくれた。
「じゃあ、お願いできますか?」と、シニアのリーダーがやってきた。
オツさんが審判で、美那がタイムキーパーと得点表示をして、俺とナオさんはボール係。
動きこそさすがに速くないが、パスやシュートの精度はなかなかのものだ。1チーム8人が随時交代しながらだけど、10分を4クウォーターきっちり戦った。相当長いこと、やっているんだろう。
練習の後半は、初回と同じように2対2でゲーム形式の練習。
初戦は、ミナ&リユ対オツ&ナオ。
動きで翻弄する俺たちに高さで対抗するオツ&ナオ。ミナ&リユの勝利だ。でもジャンプシュートに対するナオさんの高いブロックは脅威だ。
第2戦は、オツ&ミナ対ナオ&リユという経験者VS未経験者の対戦。
前回は惨敗だったが、今回は違った。
俺がオツさんやミナをドリブルで抜くことができて、ナオさんの高さを生かしたパスを送れれば、なんとかゴールに迫れる。
オツさんがディフェンスに入ったときには高さの優位性が失われて、ナオさんのシュート精度は下がるけど、確実にうまくなっている。
俺とナオさんでなんとか1点ずつは取った。間違いなく前進してる。
最後は、ナオ&ミナ対オツ&リユの対決だ。
点数的には俺たち男組が圧倒したけど、美那は俺以上にナオさんの特徴を生かしていた。俺がナオさんに付くと高いボールのパスでナオさんのシュートをアシスト。逆にオツさんがナオさんに付いたときには、パスフェイントを入れたりして、俺をドリブルで突破してシュートを決める。勉強になります。
3戦終了して、ナオさんだけ全敗で凹んでいる。ただこの前と違って泣いてはいない。自分なりに手応えがあった感じだ。
オツさんがまた車で来ていたので、ファミレスに寄った。
それぞれ自分の反省点とメンバーのプレーの感想を言う。
一番驚いたのが、オツさんの美那に対する評価だ。
「ミナは動きが前回とまったく違ってたな。サスケコートでのリユとの練習がかなり効いてるんじゃないか? すごい良くなった。これなら部活のほうも期待できると思う」
「そうですかね? 自分じゃあんまり実感ないですけど。ドリブルを特訓したリユの動きがどんどん鋭くなってきて、それに対抗したのがよかったのかなぁ」
「ほんと、リユ君、びっくり。わたし、焦る。航太さん、これからもっと教えてください」
「ああ。そうだな。やっぱりミナとリユみたく毎日やらんとな……」
「はい。お願いします」
オツさんのは、なんか毎日会う口実のように聞こえなくもないが、チーム全体の力を高めるためにはナオさんにも頑張ってもらわねば。俺ももっと頑張るぞ。
オツさんたち、今日はこれから用事があるとかで、俺と美那は新橋まで送ってもらった。たぶんドライブデートだろう。
まだ5時半で空は明るい。
「どうする、このまま帰る? それともどっか行く?」
と、美那が何気なく訊いてくる。
「え、どっかって?」
「六本木とか青山とか渋谷とか?」
「別にいいけど。渋谷なら東横で帰りも楽なんじゃね? よく知らねえけど」
「どこでも大差ないよ。じゃあ、青山とかいい?」
「うん」
どうやら美那は最初から帰りにどこかに行くつもりだったらしい。
「ミナ、正直に言って」と、ナオさん。オツさんもアゴの動きで促す。
「ハンドリングやドリブルはまだまだ。だけど体の使いかたとか接近戦とかすごく上がってる。びっくりした」
「そう?」
ナオさんの表情が明るくなる。
「俺もそう思った。ミナを弾き飛ばしそうな勢いだった」と、俺
「そうだ。だいぶバスケットボール・プレーヤーらしくなってきた」と、オツさん。
おや、オツさんとナオさん、お揃いのアシックスの白になってるじゃん!
横に座っていた美那に無言で知らせる。
「ほんとだ」と、美那がささやく。
「なんだ、なにコソコソ言ってんだ」と、オツさん。
美那が俺のほうを向いて、ニヤッとする。膝で俺の膝を軽くつつく。ふたりで足をオツさんのほうに突き出す。
「ああ、シューズな」と、オツさんが照れる。「チームで白で統一するのもいいかと思ってな」
ナオさんが幸せそうに微笑み、美那にうなずく。
今度は美那がふたりの写真を撮って、みんなに送る。オツさんもさっきの写真を送ってくれた。
「じゃあ、お願いできますか?」と、シニアのリーダーがやってきた。
オツさんが審判で、美那がタイムキーパーと得点表示をして、俺とナオさんはボール係。
動きこそさすがに速くないが、パスやシュートの精度はなかなかのものだ。1チーム8人が随時交代しながらだけど、10分を4クウォーターきっちり戦った。相当長いこと、やっているんだろう。
練習の後半は、初回と同じように2対2でゲーム形式の練習。
初戦は、ミナ&リユ対オツ&ナオ。
動きで翻弄する俺たちに高さで対抗するオツ&ナオ。ミナ&リユの勝利だ。でもジャンプシュートに対するナオさんの高いブロックは脅威だ。
第2戦は、オツ&ミナ対ナオ&リユという経験者VS未経験者の対戦。
前回は惨敗だったが、今回は違った。
俺がオツさんやミナをドリブルで抜くことができて、ナオさんの高さを生かしたパスを送れれば、なんとかゴールに迫れる。
オツさんがディフェンスに入ったときには高さの優位性が失われて、ナオさんのシュート精度は下がるけど、確実にうまくなっている。
俺とナオさんでなんとか1点ずつは取った。間違いなく前進してる。
最後は、ナオ&ミナ対オツ&リユの対決だ。
点数的には俺たち男組が圧倒したけど、美那は俺以上にナオさんの特徴を生かしていた。俺がナオさんに付くと高いボールのパスでナオさんのシュートをアシスト。逆にオツさんがナオさんに付いたときには、パスフェイントを入れたりして、俺をドリブルで突破してシュートを決める。勉強になります。
3戦終了して、ナオさんだけ全敗で凹んでいる。ただこの前と違って泣いてはいない。自分なりに手応えがあった感じだ。
オツさんがまた車で来ていたので、ファミレスに寄った。
それぞれ自分の反省点とメンバーのプレーの感想を言う。
一番驚いたのが、オツさんの美那に対する評価だ。
「ミナは動きが前回とまったく違ってたな。サスケコートでのリユとの練習がかなり効いてるんじゃないか? すごい良くなった。これなら部活のほうも期待できると思う」
「そうですかね? 自分じゃあんまり実感ないですけど。ドリブルを特訓したリユの動きがどんどん鋭くなってきて、それに対抗したのがよかったのかなぁ」
「ほんと、リユ君、びっくり。わたし、焦る。航太さん、これからもっと教えてください」
「ああ。そうだな。やっぱりミナとリユみたく毎日やらんとな……」
「はい。お願いします」
オツさんのは、なんか毎日会う口実のように聞こえなくもないが、チーム全体の力を高めるためにはナオさんにも頑張ってもらわねば。俺ももっと頑張るぞ。
オツさんたち、今日はこれから用事があるとかで、俺と美那は新橋まで送ってもらった。たぶんドライブデートだろう。
まだ5時半で空は明るい。
「どうする、このまま帰る? それともどっか行く?」
と、美那が何気なく訊いてくる。
「え、どっかって?」
「六本木とか青山とか渋谷とか?」
「別にいいけど。渋谷なら東横で帰りも楽なんじゃね? よく知らねえけど」
「どこでも大差ないよ。じゃあ、青山とかいい?」
「うん」
どうやら美那は最初から帰りにどこかに行くつもりだったらしい。
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