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歯ブラシ
しおりを挟む禍を転じて福と為す。
いやぁ、昔の人はいいこと言ったね! あ、昔といってもこの世界の昔じゃなくて、前世の方の昔の人なんだけど。
部屋のドアをノックされた時は、あんまりなタイミングに自分の不運さを呪ったけど。でも、あれのおかげで今、俺はこんなに愉しいモノを見ることができているんだ。セバスチャンには感謝しかないな。
「はっ、あ……!」
俺が座った執務机。その椅子に深く腰掛けつつ、俺がいつも使っているベッドの方を見る。
そこには、四つん這いなりながら尻をこちらに向けて、その後肛にぐちゅぐちゅと歯ブラシを自分で突き立てるウェルの姿があった。
「あっ、あっ、こんなこと、……だめ、なのにぃ……っ!」
うわ言めいた喘ぎを漏らしながら、びくびくと身体を揺らすウェル。
四つん這いの姿勢で、尻をこちらに向けるようにと指示したので、ここからはウェルの表情は見えない。が、涙交じりのこの声音からして、ウェルは今きっと顔をぐしゃぐしゃにして泣いているんだろう。あとで泣き顔はたっぷり堪能してやろう。
「あ、ンああっ……! んっ、くぅ……!」
腰だけを高く上げてうつ伏せたウェル。その後肛は真っ赤な色に染まり、くっぱぁと口を開いて、嬉しそうに歯ブラシを咥えこんでいる。
腰だけを高くかかげた姿勢のおかげで、俺の位置からは陰茎も丸見えだ。その陰茎もすっかり勃ちあがって、ウェルが自分の後肛に歯ブラシをぬぷぬぷと出し入れするたびに、先端からビュッ、ビュッ、と間欠泉のように透明な先走りを飛ばしている。
「…っアぁッ!!…ハアッ、ぁ…かゆいっ、かゆいのが、きもちいのが、ひぅっ……とまらないぃっ……!」
ウェルの両手に握られた歯ブラシの毛はとてもやわらかいので、痛みはないだろう。だが、しなりと弾力があるので、こするような動きをすればしっかりと絡めとる動きをする。そんな歯ブラシの毛に、先ほどから痒みと快楽が発生しているところをこすり続けているので、ウェルの後肛はすっかりびしょ濡れだった。もっとそばにいけば、じゅぷじゅぷと言う水音すら聞くことができるだろう。
「んァっ…ひぅッ! か、かゆい、かゆいぃッ! 奥が、奥がぁっ…!」
うむ。ウェルのとろけるような悲鳴のBGMは大変すばらしい、俺の書類仕事もはかどるというものだ。毎日こういうBGMが聞けたらいいのにな。
にしても、ウェルにこんなシチュエーションでこの歯ブラシを使ってもらえるなら、もっと凝った意匠にでもしておけば良かったかな。こう……金箔張りとかにしたり、柄の部分に宝石とか入れ込んでも良かったかな。完全に本来の目的を見失ってる気がしなくもないね!
だがいっそ、柄の部分に宝石でも入っているゴツゴツした形状であれば、今のウェルのためになったかもしれない。
「あァっ、かゆい、かゆいぃ……ッ!」
歯ブラシの構造とは、先端に毛がはえており、持ち手はほっそりとしたシンプルなものだ。
つまり、今ウェルは自分の後肛に歯ブラシを埋めているものの、痒い場所をかけるのはほんの一部分しかないのだ。だが、それなのに全体に痒みと快楽が生じている。
なので、ウェルはその先端の毛で胎内をこするため、自分の両手で激しく、じゅぷじゅぷと水音がするほどに歯ブラシを出し入れし続けなければいけないのである。
「うあっ、あっ…! ひぐっ、ひぅっ…!」
胸を飾るのは、女物のピンク字に黒レースのブラジャーをつけている。ひきしまった胸板にまったく不釣り合いなそれは、だが不思議と違和感よりも卑猥さを際立たせている。
そしてさらに、自分の後肛に歯ブラシを両手で突き立て、四つん這いの姿勢でそれをグチュグチュと出し入れさせているウェル。先端のブラシの毛が腸壁をこするたびに、ビクビクと太ももを震わせている。
その開いた両足の間からはすっかり立ち上った陰茎が見える。陰茎の先端からは、透明な先走りがずっと垂れ続けているせいで、おねしょでもしたようにシーツに小さな水たまりを作っていた。
「――――よし、終わった」
そんなウェルの姿を目前にした俺は、見事に今までで最短のスピードで書類仕事を終わらせることができたたのだった。
うむ。我ながら、にんじんを鼻先にぶら下げられた馬のごときスピードであった。
「っ、あ、アぁ、んぅうっ! かゆい、きもちいい、かゆいぃっ……!」
「ウェル、終わったぞ。一人ではやはり満足できないようだな」
「っん、ァ、ロストさまぁ……やだ、こんな姿、みないでくださいぃ……!」
ウェルの元にいくと、俺の予想にたがわず、そのウェルの顔は涙と涎でぐっしょりと濡れていた。頬は紅潮しきり、口からは犬みたいに舌先がのぞいてハァハァと荒い息をついている。
その頭をよしよしと撫でてやってから、俺はウェルの後肛に入っていた歯ブラシに手をかけ―――、
一気に引き抜いた。
「ひっ、ァあああぁっ、ああァッ!?」
手で触れている歯ブラシの毛が、ゴリゴリゴリィッ!、とウェルの胎内をえぐるようにこすったのが分かった。毛がめり込むほどの勢いで、歯ブラシにより痒みと快楽が続いている胎内を擦られたウェル。
瞬間、ウェルの口から舌がぴん、と伸ばされて、若草色の目が零れ落ちそうなくらいに見開かれた。
高くかかげていた腰がガクガクと人間のものとは思えない動きで、激しく痙攣する。開かれた足の間の陰茎は、一度も触れていないというのに、ビュルビュルと白濁した精液が噴き上がった。
「ァ……あぁ……ぁ……っ」
四つん這いで上につき出された下半身は、無意識にカクカクとゆれている。
ウェルの腰がカクカクと揺れると同時に、足の間の陰茎から、尿道に残っている白濁した残滓を、ぴゅっ、ぴゅうっ、とシーツの上にこぼしていた。
「……ぁ……ひ、ぅ……」
「頑張ったなウェル。もう今日はいいからこのまま休め」
そんなウェルのみっともない姿に満足し、ようやく俺は魔眼の効力をオフにしてやる。
ウェルは胎内の痒みと快楽が消えたことによる安堵か、はたまた、ただ深すぎる絶頂の余韻に思考が追いつかなかったのか――そのまま、気を失うようにゆっくりと目を閉じたのだった。
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