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アルラウネ②
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ご褒美タイムがやってきた!
まず真っ先に向かったのは、人ならざる者が棲まう巨城、デカス城。
はやる気持ちを抑えつつ、入城してすぐさま地下施設へと駆け降りた。
デカス山の天然洞窟を元に造った地下施設は、規格外の体格を誇る竜種ですら楽々格納できる巨大空間が広がり、使い魔達の指定帰還スポットとなっていた。
ここは、使い魔達が過ごしやすいよう、洞窟の状態をなるべく維持したまま残してある。
天井を見上げると、岩壁に何本も突き刺さっている宿り木で眠っていたハーピー達が、主人の帰還に喜び、鳴きながら飛び回り始めた。
「まだ、こいつらが残っているだけマシか」
次々と舞い降り、絡み付ついてくるハーピー達を追い払い、更に先へ急いだ。
岩壁に複数設置してあるガルヴォルン製の大きい扉の中でも、一番豪華な装飾が施された扉を勢いよく開け放つ。
砂浜にビーチ。青い空に澄み切った海。そして、辺り一面には水平線がつづいている。
それは、とても洞窟内とは思えない光景だ。
端的に表すとすれば、そこは島国のリゾート地というのが適切だろう。
実際には、海と幻覚する人工プールがあるだけなのだが。そして、お洒落な水上コテージがある。
ここは、気に入った女型使い魔専用の指定帰還スポットで、プライベートルームだった。
テツオは【探知魔法】で反応のあった水上コテージのひとつへ【転移】。
間取りは、桟橋からリビングに続き、寝室があるだけの簡素な作り。
設計者の思いにより、余分なスペースを極力排除した結果だ。
さて、反応の主は、天蓋付きベッドの上で呑気に寝転がっていた。
テツオは、寝室入り口の白い木柱をコンコンと叩く。
「待たせたな、アルラウネ」
アルラウネはこちらに気付いた途端、烈火の如く怒りだした。
「ニンゲンめっ!よくもこんな場所に!森へ帰セッ!」
「おいおい、それが命の恩人にとる態度か?
あのままだったら、お前は竜に殺されていたんだぞ」
実際、殺されてたし。
「それが運命なら受け入れるだけダッ!」
アルラウネが手を伸ばすと、硬質化した木の実が弾丸のように発射される。
だが、テツオは一切避けない。そもそも避ける必要が無いのだ。
結局のところ、木の実はその場でパラパラと床に落下した。
「お前は俺のモノになった。その運命を受け入れろ」
「そんな!何で攻撃が当たらなイ?」
「お前自ら外したんだ。
使い魔は契約により、主人を攻撃する事が出来ない」
「待テ!何で服を脱グ?」
テツオは全裸になり、ゆっくりとベッドへ向かう。
「まだ気付いていないのか?お前はもう俺を受け入れる準備が出来ているんだ」
「嘘ダ!」
「と言いつつも、お前はずっと俺の股間から目が離せない。そして…………」
アルラウネは胸の辺りを人差し指で軽く押されると、そのままベッドへ包まれるように倒れ込んだ。
「お前は、一体いつから、自分が全裸じゃないと、錯覚していた?」
「えっ?」
アルラウネはテツオから目を離し、自分の身体へ恐る恐る視線を落とした。
そして、剥き出しになった胸を見て、大きく目を見開いた。
花弁や蔓、蔦といった服を構成していた植物が、いつの間にかシーツ上に散らばり、まるで美術品のようにベッドを彩っている。
「何デッ?」
「お前の本能が、寵愛を受けようと勝手に身体が反応してるんだ。つまり、お前は何も拒めない」
テツオは、抵抗できない全裸のアルラウネの上に勝ち誇るように跨った。
アルラウネは険しい顔をしているが、身動きが全く取れない。
ニンゲンが、今まさに動けない自分へキスをしようと、ゆっくりと近付いてくる。
捕食対象のニンゲンなんかに支配される憤りと屈辱。
「うぐぐーッ!」
「グヒグヒ、可愛らしい唇ゲットだじょー」
「んんーッ!」
ところが、人間の唇が触れた途端、身体の中に何かが流れ込んできた。
それは、濃厚で芳醇な魔力だった。
全身が高揚し、幸福に包み込まれる。
死と隣り合わせの森では感じる事の無い絶対的な安心感。
騙されてはいけない。これは、使い魔に落ちた者への呪縛なのだ。
「フヘヘ、トロンとした顔しやがって。キス一発で落ちてるじゃねぇかよ!」
人間がいやらしく笑いながら、私の胸を揉んでいる。
最低で最悪だ。
それなのに、私の意思と関係なく、全身が喜んでいる。
全て、まやかしに過ぎない。
どんどん身体が麻痺していく。私がよく使う麻薬植物の効果と同じだ。
「もうビチャビチャじゃねーか。いくらなんでも感じ過ぎだろ?イヒヒ、もう挿れちまうか」
挿れてもらえる!嬉しい!
違う!挿れては駄目だ!
欲しい!離れたく無い!
違う違う!
「酸があるから、危なイ!」
私は何を心配していル?
「うへへ、大丈夫、大丈夫」
人間は、何の遠慮もなく私の脚を広げ、何の抵抗も無く私の膣内へ挿入した。
「ああアーーッ!」
気持ちいい!凄い!これはもう無理だ!
抗えるワケない!逆らえるワケない!
キスとは比べ物にならないほど、強烈な魔力が身体を突き抜ける。
コレを知ってしまったら、もう…………離れられないぃ。
気がつくと、ご主人様から離れたくない一心で必死にしがみ付いていた。
私の股から大量の液体が漏れ出している。
ああ、私の酸がご主人様を傷つけてしまったかもしれない。
恐る恐るご主人様の下半身を見ると、硬度と速度を維持したまま私の中を出たり入ったりしていた。
無事どころの話では無い。元気いっぱいだ。
「うはぁ、気っ持ちえぇ。これが、アルラウネのカラダかぁ」
「ご主人様、大丈夫なノ?……ですカ?」
「うひひ、当たり前さね。使い魔は主人を決して傷付ける事は出来んのよぉ。
つまり、酸は出ない。
それより、やっとご主人様と認めたようだな。よし、褒美をやろう!
気をしっかりもてよ、ピストン三倍だぁー」
いきなりとてつもない速度で、腰を振り出すご主人様。
まるでおもちゃのように私の身体を激しく乱暴に揺さぶり、最後は腰を奥までねじ込んで、爆発したかと思う程、勢いよく大量に射精した。
その一撃で頭の中が真っ白になった。
————夢を見ている。
そこは森の奥底。
邪悪な大樹の片隅に、ただの花の精だった頃の私がいた。
森の全てが、悪魔に呪われてしまった。
日の光は決して届かず、このままではいずれ私は消え去ってしまう。
嘆き、怯える事しか出来ない無力な存在。
底なしの闇の中、死臭漂う残滓を養分にして生き延び、いつしか血肉を喰らう妖魔アルラウネと変わり果てていた。
年月を経て、ついに森を駆け巡るようになり、久方振りに再開した賢者ドルイド様が、強くなった私を見て嘆く。
救ってやれず済まない、と。
意味が分からない。
私は、あの暗闇から生き延びてこれたのに。
この森の中では、悪魔にさえ逆らわなければ、消される事は無い。
————救う?
強い光に照らされている。
眩しくて、暖かくて、すっごく気持ちがいい。
私は日の光が大好きだ。
少女が宙を舞い、日の光を全身に浴び、楽しくて笑っている。
少女は、花の精だった頃の私。闇に堕ちる前の私。
ようやく、気付いた。
私は、…………助けて欲しかった。
ドルイド様、私は、救って欲しかったんです。
「おいおい、またロリになっちまったぞ!おい!コラ!」
————頬を叩かれ、私は目が覚めた。
「中の蔓がいい具合に絡み付いてよぉ、気持ち良かったのによぉ」
「あ、あっ、アッ、あフッ」
どうやら、意識を失っていたらしい。
その間もずっとご主人様は、私を抱いてくれていた。
大量の魔力が注がれ、私の身体は蕩けに蕩けている。
不意に、目から何かが流れ落ちた。
それは、花の精だった頃の私ならよく知っているモノ。
とても熱いその液体は、何故なのか流れ続けて止まる気配がない。
「うおっ、何で泣くんだよ。強く叩き過ぎたか?それとも、急に身体が縮んだから、俺のが太過ぎて痛いのか?」
「これが私、花の精アルラウネの本当の姿なノ」
「知ってんよ、前に見せただろ。頭おかしくなったんか?
んな事より俺ん中で、ロリ適正が目覚めてきたんかもしれん。貧乳にめっちゃムラムラしてきた」
暗闇から私を救ってくれたご主人様。
「年齢不詳の妖魔といえ、大人びてるといえ、見た目完全に小学生やん。いうて小五くらいか?金髪ティーンモデルやん。こんなんええんか?ええんか!犯しまくりやぞ!オッ?出し入れしまくりやぞ!オッ?」
私の全てを受け入れてくれたご主人様。
「あぁ、上がってきた。よしフィニッシュ、イクぞ」
身体が小さいから、ご主人様にすっぽり包まれている感覚。
何かぶつぶつと言いながら、性器を色んな角度から捩じ込むご主人様。
快楽に何度も気を失いそうになりながら、最後の魔力を全身で受け止めた。
ドルイド様、私もう幸せ過ぎるよぉ。
ご主人様は、私をベッドに投げ捨て、プールサイドの椅子に寝転がり、酒とかいう飲み物を飲みながら、また何か独り言をぶつぶつ呟いている。
「パツキンなのに毛先ピンクとかギャルっぽいし、身体もエロいし、よく見たら結構整った顔やし、しかも、ロリ系と切り替え自由やし、香草、麻薬と植物系全般活用可能やし、コレ、大当たり引いたかもな。
ん?お前、何、顔赤くしちゃってんの?」
「生まれてから、褒められた事なんて一度も無かったかラ」
「そうか、これから色々経験したらいい。でも、この城には、お前以外にハーピーしかいないんだよなぁ。
余った魔力でガチャでもしとくか。
よし、場所を替えるぞ」
ガチャとは何だろうか?
ご主人様の【転移】により、どこか広い空間へやってきた。
全裸だった私は急ぎ、植物装衣を身に纏う。
ご主人様が、どこからか禍々しい魔玉を取り出し、なんの躊躇なくソレに魔力を込め始めた。
瞬く間に、ご主人様の周囲をドス黒い闇が取り囲んでいく。
人間がここまで邪悪な魔力に耐えられるなど聞いた事がない。
なんて危険な行為だ。
すると、闇に取り込まれ黒い靄と化したご主人様がこちらへ振り向き、不気味に笑い出した。目が赤く光っている。
もしかして、ご主人様は人間じゃない?
「まさか!そんな事が?しかし、だとしたら?いや、間違いない。フハ、フハハハハ!」
宙に浮かび上がった魔法陣が回転しだす。
閃光が迸ると、光の向こうに複数の黒い影が浮かんでいた。
「まさか、再び会えるとは、な」
召喚魔法陣より、インキュバスが三体、サキュバス一体、リリム一体が出現した。
え?人間って、一瞬で悪魔五体を召喚できるものなの?
「お兄ちゃーん!また会えたねぇー」
「坊や、嬉しいわぁ」
「まさか、ご主人様に再びご召喚頂けるとは」
あられもない格好をした淫魔と夢魔が、ご主人様へ一直線に飛び付いた。
インキュバス三体は地に降り立ち、片膝を着いて平伏している。
形はどうあれ、悪魔達はご主人様に絶対の忠誠を誓っているようだ。
「死んだ筈のお前達を、再び召喚出来たのは想定外だった。
まさか、名前を付ける事にそんな効果があったとはな」
「えー、そうだったんだぁ。アタシはミルク」
「ワタシはプリンよねぇ」
「我々は、レッド、ブルー、グリーンが名前だったのですね」
「ハッハッハ、インキュバスにまで、名付けたつもりは無かったんだがな。
ともかく、お前達にはまた役に立ってもらうぞ」
「恐れ多く」
「はぁい、またいっぱい可愛がってね」
「次は死なせないでよぉ、坊や」
ご主人様が再び目を不気味に光らせて笑いだした。
凄まじい魔力が私の身体を震えさえる。
正直、怖い。
危険地帯で生き延びた私に、匹敵する力を持つ悪魔を多数従え、それでもまだ魔力を無尽蔵に残しているなんて、まるでその昔、森を蹂躙した魔王のようだ。
私は、とんでもない人間の使い魔になってしまったのかもしれない。
だからといって、今更森へ戻る事は出来ない。
私は既に、身も心も全てご主人様のモノなのだ。
「…………ご主人様、私にも名前を付けて下さイ」
私は頭を下げ、ご主人様に懇願した。
しばらく反応が無かったので、恐る恐る見上げると、彼は平伏す私をじっくり眺めながら、ニヤニヤしているではないか。
そして、みるみるうちに股間が膨らんでいった。
半裸に近い格好をしている私の、特に露出した箇所に、ご主人様の熱い視線を感じる。
ようやく、気付いてしまった。
花が甘い蜜を出して虫を誘うように、私の本質は、人間を誘惑するようにできている。
自分自身、気付かないうちに、ご主人様の気を惹こうとしていたのだ。
これが、アルラウネの性。
「あら、この子、いいの持ってるじゃなぁい。すっごくいい匂い」
「本当だぁ、男を虜にする芳香と蜜ってヤバぁ」
「よし、いいだろう。お前の名前を考えるから場所を変えるぞ」
「えー、待ってぇ兄ちゃあん。アタシ達も連れてってよぉ」
「坊や、淫魔と夢魔の技能に、この子の素質も加えたら、すっごいエッチになりそうよ?」
「ふむぅ。魅力的な提案だな。
よし、四人でエッチしながら名前を決めようか」
その後、水上コテージへ移動してからの記憶が一切無い。
それでも、ベッド上でまだ気絶しているプリンとミルクが、全身ずぶ濡れになっているので、ここで何があったのかはハッキリと分かる。
私自身も、下半身がガクガクで、身体に力が入らない。
ふと、影に気付いて上を見上げると、ご主人様が宙に浮いていた。
「起きたかね」
返事をしようとすると、口の中が何かの液体でいっぱいになっていた。
「喜べ。三体計十五発の荒業を乗り越え、お前の名はついに決定した。植物系、いや、スイーツ系使い魔に相応しいその名前は……」
私はゴクリと口の中にたっぷりあった液体を飲み込んだ。
「苺ちゃんだ」
私の名前はイチゴ。
名付けられた瞬間、私の身体の芯が燃えるように熱くなった。ご主人様から魔力が耐えず流れてくる感覚がハッキリと分かる。
決して逃れられない絶対的支配に入ったという事だ。
でも、それが堪らなく嬉しい。
嬉しい!嬉しい!
怖い事なんて何も無い!
「何故こいつらが、未だ気絶状態から目覚めないか分かるか?」
「ふぇ?」
「つまりは、そういう事だ」
ご主人様のあそこが、再び私の中にほんの少し入っただけなのに、私は激しく絶頂してしまった。
瞬時に身体が理解する。
ご主人様との魔力パスがより密接に繋がった為、感度が異常な程、高まっているのだと。
「ウハハ、この反応を見るのが楽しいんだよ」
気が遠くなり気絶するまでの間、ご主人様は楽しそうに笑い続けていた。
ご主人様は、きっと人の姿をした魔王に違いない…………
まず真っ先に向かったのは、人ならざる者が棲まう巨城、デカス城。
はやる気持ちを抑えつつ、入城してすぐさま地下施設へと駆け降りた。
デカス山の天然洞窟を元に造った地下施設は、規格外の体格を誇る竜種ですら楽々格納できる巨大空間が広がり、使い魔達の指定帰還スポットとなっていた。
ここは、使い魔達が過ごしやすいよう、洞窟の状態をなるべく維持したまま残してある。
天井を見上げると、岩壁に何本も突き刺さっている宿り木で眠っていたハーピー達が、主人の帰還に喜び、鳴きながら飛び回り始めた。
「まだ、こいつらが残っているだけマシか」
次々と舞い降り、絡み付ついてくるハーピー達を追い払い、更に先へ急いだ。
岩壁に複数設置してあるガルヴォルン製の大きい扉の中でも、一番豪華な装飾が施された扉を勢いよく開け放つ。
砂浜にビーチ。青い空に澄み切った海。そして、辺り一面には水平線がつづいている。
それは、とても洞窟内とは思えない光景だ。
端的に表すとすれば、そこは島国のリゾート地というのが適切だろう。
実際には、海と幻覚する人工プールがあるだけなのだが。そして、お洒落な水上コテージがある。
ここは、気に入った女型使い魔専用の指定帰還スポットで、プライベートルームだった。
テツオは【探知魔法】で反応のあった水上コテージのひとつへ【転移】。
間取りは、桟橋からリビングに続き、寝室があるだけの簡素な作り。
設計者の思いにより、余分なスペースを極力排除した結果だ。
さて、反応の主は、天蓋付きベッドの上で呑気に寝転がっていた。
テツオは、寝室入り口の白い木柱をコンコンと叩く。
「待たせたな、アルラウネ」
アルラウネはこちらに気付いた途端、烈火の如く怒りだした。
「ニンゲンめっ!よくもこんな場所に!森へ帰セッ!」
「おいおい、それが命の恩人にとる態度か?
あのままだったら、お前は竜に殺されていたんだぞ」
実際、殺されてたし。
「それが運命なら受け入れるだけダッ!」
アルラウネが手を伸ばすと、硬質化した木の実が弾丸のように発射される。
だが、テツオは一切避けない。そもそも避ける必要が無いのだ。
結局のところ、木の実はその場でパラパラと床に落下した。
「お前は俺のモノになった。その運命を受け入れろ」
「そんな!何で攻撃が当たらなイ?」
「お前自ら外したんだ。
使い魔は契約により、主人を攻撃する事が出来ない」
「待テ!何で服を脱グ?」
テツオは全裸になり、ゆっくりとベッドへ向かう。
「まだ気付いていないのか?お前はもう俺を受け入れる準備が出来ているんだ」
「嘘ダ!」
「と言いつつも、お前はずっと俺の股間から目が離せない。そして…………」
アルラウネは胸の辺りを人差し指で軽く押されると、そのままベッドへ包まれるように倒れ込んだ。
「お前は、一体いつから、自分が全裸じゃないと、錯覚していた?」
「えっ?」
アルラウネはテツオから目を離し、自分の身体へ恐る恐る視線を落とした。
そして、剥き出しになった胸を見て、大きく目を見開いた。
花弁や蔓、蔦といった服を構成していた植物が、いつの間にかシーツ上に散らばり、まるで美術品のようにベッドを彩っている。
「何デッ?」
「お前の本能が、寵愛を受けようと勝手に身体が反応してるんだ。つまり、お前は何も拒めない」
テツオは、抵抗できない全裸のアルラウネの上に勝ち誇るように跨った。
アルラウネは険しい顔をしているが、身動きが全く取れない。
ニンゲンが、今まさに動けない自分へキスをしようと、ゆっくりと近付いてくる。
捕食対象のニンゲンなんかに支配される憤りと屈辱。
「うぐぐーッ!」
「グヒグヒ、可愛らしい唇ゲットだじょー」
「んんーッ!」
ところが、人間の唇が触れた途端、身体の中に何かが流れ込んできた。
それは、濃厚で芳醇な魔力だった。
全身が高揚し、幸福に包み込まれる。
死と隣り合わせの森では感じる事の無い絶対的な安心感。
騙されてはいけない。これは、使い魔に落ちた者への呪縛なのだ。
「フヘヘ、トロンとした顔しやがって。キス一発で落ちてるじゃねぇかよ!」
人間がいやらしく笑いながら、私の胸を揉んでいる。
最低で最悪だ。
それなのに、私の意思と関係なく、全身が喜んでいる。
全て、まやかしに過ぎない。
どんどん身体が麻痺していく。私がよく使う麻薬植物の効果と同じだ。
「もうビチャビチャじゃねーか。いくらなんでも感じ過ぎだろ?イヒヒ、もう挿れちまうか」
挿れてもらえる!嬉しい!
違う!挿れては駄目だ!
欲しい!離れたく無い!
違う違う!
「酸があるから、危なイ!」
私は何を心配していル?
「うへへ、大丈夫、大丈夫」
人間は、何の遠慮もなく私の脚を広げ、何の抵抗も無く私の膣内へ挿入した。
「ああアーーッ!」
気持ちいい!凄い!これはもう無理だ!
抗えるワケない!逆らえるワケない!
キスとは比べ物にならないほど、強烈な魔力が身体を突き抜ける。
コレを知ってしまったら、もう…………離れられないぃ。
気がつくと、ご主人様から離れたくない一心で必死にしがみ付いていた。
私の股から大量の液体が漏れ出している。
ああ、私の酸がご主人様を傷つけてしまったかもしれない。
恐る恐るご主人様の下半身を見ると、硬度と速度を維持したまま私の中を出たり入ったりしていた。
無事どころの話では無い。元気いっぱいだ。
「うはぁ、気っ持ちえぇ。これが、アルラウネのカラダかぁ」
「ご主人様、大丈夫なノ?……ですカ?」
「うひひ、当たり前さね。使い魔は主人を決して傷付ける事は出来んのよぉ。
つまり、酸は出ない。
それより、やっとご主人様と認めたようだな。よし、褒美をやろう!
気をしっかりもてよ、ピストン三倍だぁー」
いきなりとてつもない速度で、腰を振り出すご主人様。
まるでおもちゃのように私の身体を激しく乱暴に揺さぶり、最後は腰を奥までねじ込んで、爆発したかと思う程、勢いよく大量に射精した。
その一撃で頭の中が真っ白になった。
————夢を見ている。
そこは森の奥底。
邪悪な大樹の片隅に、ただの花の精だった頃の私がいた。
森の全てが、悪魔に呪われてしまった。
日の光は決して届かず、このままではいずれ私は消え去ってしまう。
嘆き、怯える事しか出来ない無力な存在。
底なしの闇の中、死臭漂う残滓を養分にして生き延び、いつしか血肉を喰らう妖魔アルラウネと変わり果てていた。
年月を経て、ついに森を駆け巡るようになり、久方振りに再開した賢者ドルイド様が、強くなった私を見て嘆く。
救ってやれず済まない、と。
意味が分からない。
私は、あの暗闇から生き延びてこれたのに。
この森の中では、悪魔にさえ逆らわなければ、消される事は無い。
————救う?
強い光に照らされている。
眩しくて、暖かくて、すっごく気持ちがいい。
私は日の光が大好きだ。
少女が宙を舞い、日の光を全身に浴び、楽しくて笑っている。
少女は、花の精だった頃の私。闇に堕ちる前の私。
ようやく、気付いた。
私は、…………助けて欲しかった。
ドルイド様、私は、救って欲しかったんです。
「おいおい、またロリになっちまったぞ!おい!コラ!」
————頬を叩かれ、私は目が覚めた。
「中の蔓がいい具合に絡み付いてよぉ、気持ち良かったのによぉ」
「あ、あっ、アッ、あフッ」
どうやら、意識を失っていたらしい。
その間もずっとご主人様は、私を抱いてくれていた。
大量の魔力が注がれ、私の身体は蕩けに蕩けている。
不意に、目から何かが流れ落ちた。
それは、花の精だった頃の私ならよく知っているモノ。
とても熱いその液体は、何故なのか流れ続けて止まる気配がない。
「うおっ、何で泣くんだよ。強く叩き過ぎたか?それとも、急に身体が縮んだから、俺のが太過ぎて痛いのか?」
「これが私、花の精アルラウネの本当の姿なノ」
「知ってんよ、前に見せただろ。頭おかしくなったんか?
んな事より俺ん中で、ロリ適正が目覚めてきたんかもしれん。貧乳にめっちゃムラムラしてきた」
暗闇から私を救ってくれたご主人様。
「年齢不詳の妖魔といえ、大人びてるといえ、見た目完全に小学生やん。いうて小五くらいか?金髪ティーンモデルやん。こんなんええんか?ええんか!犯しまくりやぞ!オッ?出し入れしまくりやぞ!オッ?」
私の全てを受け入れてくれたご主人様。
「あぁ、上がってきた。よしフィニッシュ、イクぞ」
身体が小さいから、ご主人様にすっぽり包まれている感覚。
何かぶつぶつと言いながら、性器を色んな角度から捩じ込むご主人様。
快楽に何度も気を失いそうになりながら、最後の魔力を全身で受け止めた。
ドルイド様、私もう幸せ過ぎるよぉ。
ご主人様は、私をベッドに投げ捨て、プールサイドの椅子に寝転がり、酒とかいう飲み物を飲みながら、また何か独り言をぶつぶつ呟いている。
「パツキンなのに毛先ピンクとかギャルっぽいし、身体もエロいし、よく見たら結構整った顔やし、しかも、ロリ系と切り替え自由やし、香草、麻薬と植物系全般活用可能やし、コレ、大当たり引いたかもな。
ん?お前、何、顔赤くしちゃってんの?」
「生まれてから、褒められた事なんて一度も無かったかラ」
「そうか、これから色々経験したらいい。でも、この城には、お前以外にハーピーしかいないんだよなぁ。
余った魔力でガチャでもしとくか。
よし、場所を替えるぞ」
ガチャとは何だろうか?
ご主人様の【転移】により、どこか広い空間へやってきた。
全裸だった私は急ぎ、植物装衣を身に纏う。
ご主人様が、どこからか禍々しい魔玉を取り出し、なんの躊躇なくソレに魔力を込め始めた。
瞬く間に、ご主人様の周囲をドス黒い闇が取り囲んでいく。
人間がここまで邪悪な魔力に耐えられるなど聞いた事がない。
なんて危険な行為だ。
すると、闇に取り込まれ黒い靄と化したご主人様がこちらへ振り向き、不気味に笑い出した。目が赤く光っている。
もしかして、ご主人様は人間じゃない?
「まさか!そんな事が?しかし、だとしたら?いや、間違いない。フハ、フハハハハ!」
宙に浮かび上がった魔法陣が回転しだす。
閃光が迸ると、光の向こうに複数の黒い影が浮かんでいた。
「まさか、再び会えるとは、な」
召喚魔法陣より、インキュバスが三体、サキュバス一体、リリム一体が出現した。
え?人間って、一瞬で悪魔五体を召喚できるものなの?
「お兄ちゃーん!また会えたねぇー」
「坊や、嬉しいわぁ」
「まさか、ご主人様に再びご召喚頂けるとは」
あられもない格好をした淫魔と夢魔が、ご主人様へ一直線に飛び付いた。
インキュバス三体は地に降り立ち、片膝を着いて平伏している。
形はどうあれ、悪魔達はご主人様に絶対の忠誠を誓っているようだ。
「死んだ筈のお前達を、再び召喚出来たのは想定外だった。
まさか、名前を付ける事にそんな効果があったとはな」
「えー、そうだったんだぁ。アタシはミルク」
「ワタシはプリンよねぇ」
「我々は、レッド、ブルー、グリーンが名前だったのですね」
「ハッハッハ、インキュバスにまで、名付けたつもりは無かったんだがな。
ともかく、お前達にはまた役に立ってもらうぞ」
「恐れ多く」
「はぁい、またいっぱい可愛がってね」
「次は死なせないでよぉ、坊や」
ご主人様が再び目を不気味に光らせて笑いだした。
凄まじい魔力が私の身体を震えさえる。
正直、怖い。
危険地帯で生き延びた私に、匹敵する力を持つ悪魔を多数従え、それでもまだ魔力を無尽蔵に残しているなんて、まるでその昔、森を蹂躙した魔王のようだ。
私は、とんでもない人間の使い魔になってしまったのかもしれない。
だからといって、今更森へ戻る事は出来ない。
私は既に、身も心も全てご主人様のモノなのだ。
「…………ご主人様、私にも名前を付けて下さイ」
私は頭を下げ、ご主人様に懇願した。
しばらく反応が無かったので、恐る恐る見上げると、彼は平伏す私をじっくり眺めながら、ニヤニヤしているではないか。
そして、みるみるうちに股間が膨らんでいった。
半裸に近い格好をしている私の、特に露出した箇所に、ご主人様の熱い視線を感じる。
ようやく、気付いてしまった。
花が甘い蜜を出して虫を誘うように、私の本質は、人間を誘惑するようにできている。
自分自身、気付かないうちに、ご主人様の気を惹こうとしていたのだ。
これが、アルラウネの性。
「あら、この子、いいの持ってるじゃなぁい。すっごくいい匂い」
「本当だぁ、男を虜にする芳香と蜜ってヤバぁ」
「よし、いいだろう。お前の名前を考えるから場所を変えるぞ」
「えー、待ってぇ兄ちゃあん。アタシ達も連れてってよぉ」
「坊や、淫魔と夢魔の技能に、この子の素質も加えたら、すっごいエッチになりそうよ?」
「ふむぅ。魅力的な提案だな。
よし、四人でエッチしながら名前を決めようか」
その後、水上コテージへ移動してからの記憶が一切無い。
それでも、ベッド上でまだ気絶しているプリンとミルクが、全身ずぶ濡れになっているので、ここで何があったのかはハッキリと分かる。
私自身も、下半身がガクガクで、身体に力が入らない。
ふと、影に気付いて上を見上げると、ご主人様が宙に浮いていた。
「起きたかね」
返事をしようとすると、口の中が何かの液体でいっぱいになっていた。
「喜べ。三体計十五発の荒業を乗り越え、お前の名はついに決定した。植物系、いや、スイーツ系使い魔に相応しいその名前は……」
私はゴクリと口の中にたっぷりあった液体を飲み込んだ。
「苺ちゃんだ」
私の名前はイチゴ。
名付けられた瞬間、私の身体の芯が燃えるように熱くなった。ご主人様から魔力が耐えず流れてくる感覚がハッキリと分かる。
決して逃れられない絶対的支配に入ったという事だ。
でも、それが堪らなく嬉しい。
嬉しい!嬉しい!
怖い事なんて何も無い!
「何故こいつらが、未だ気絶状態から目覚めないか分かるか?」
「ふぇ?」
「つまりは、そういう事だ」
ご主人様のあそこが、再び私の中にほんの少し入っただけなのに、私は激しく絶頂してしまった。
瞬時に身体が理解する。
ご主人様との魔力パスがより密接に繋がった為、感度が異常な程、高まっているのだと。
「ウハハ、この反応を見るのが楽しいんだよ」
気が遠くなり気絶するまでの間、ご主人様は楽しそうに笑い続けていた。
ご主人様は、きっと人の姿をした魔王に違いない…………
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