時間を戻して異世界最凶ハーレムライフ

葛葉レイ

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アーニャ

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北の盾ノールブークリエ】ホームでは宴会が既に始まっていた。
 前回より規模が大きくなり、人数も倍以上多い。
 団員が新たに百名以上増えたのと、新領地へ行く為の人材をホームに呼び戻した事もあり、どうしても外せなかった重要任務に就いている団員達を除いても、総勢二百人以上が集っていた。

 こんなに団員がいると、もう誰が誰だか分からなくなるな。

 百人座れる食堂のキャパシティを大幅に超えてしまっている。
 なので、今回は食堂から続く中庭にテーブルを並べ、宴会場として開催していた。

 中庭には、身長の倍以上はある巨大なキャンプファイヤーが焚かれ、大盛り上がりの団員達の顔を明るく照らしている。
 すでに酔っ払いは多数だ。

 クラン所属のシェフだけでは、これだけ多人数の料理を賄いきれないので、今夜は特別に街一番の酒場バッファロー・テリーの店員達に来てもらっていた。
 料理の味は、どれもが間違いない美味しさだ。
 恐らく店主テリーには、酒が進む料理スキルが備わっているのかもしれない。

 バッファロー・テリーのウェイトレスを務めるお姉ちゃん達、略してテリーズはいつにも増して露出度が高く、ビキニとショートパンツだけの過激セクシースタイルだ。
 色んな肉がはみ出しまくってやがるぜ!
 三人とも見たことがある可愛い子達だ。
 一回ずつお相手して欲しいところだが、相当経験豊富そうだし、多分、口も軽そうだからヤッてしまったら話のネタにされかねない。
 目で楽しむくらいが、丁度いいんだろう。

 食堂側の出入り口にもたれ掛かり、エロく動き回るテリーズの肢体を眺めていたら、背後からビチャッと肩を叩かれる。
 慌てて振り返るとトイレを済ませた後のヴァーディが立っていた。
 ビチャッてなんだよ?
 俺の五万ゴールドもした服を手拭きに使いやがって!

「おいテツオ!おせぇじゃねぇか!
 みんな待ってたんだぞ!」

 本当かよ。
 みんなエロムチなテリーズと、テリーの料理に夢中じゃないか。

「それにしても、おめぇいい服着てるじゃねぇか!
 馬子にも衣装だな、ハハハ!
 ほら、団長の元へ早く行きな」

 ヴァーディに背中を押され、演説用に作られた立台の元へ向かう。
 ヴァーディはそのままフラフラとテリーズの元へ酒を貰いに行き、ついでに尻を触り、頬に強烈なビンタを食らっていた。
 俺も触りたいなぁ。

 団長の元へ着くと、モーガンの爺様とリヤドが見た事無い笑顔で立っている。
 こいつらの目線もどうやらテリーズの様だ。
 今夜はテリーズ鑑賞会なのか?

「どいつもこいつも鼻の下を伸ばして困ったもんだ」

 呆れた団長ソニアが座ったまま、手元のグラスを一口であおる。
 強そうな酒の匂いが鼻を刺激した。
 クランには女性団員が二十人くらい在籍している。
 俺も貴族になるのだから、立ち振る舞いには気を付けよう。

「さぁ、始めるか」

 団長が立台に登り、パンパン!と大きく手を叩いて注目を集める。

 まず、ソニアは新団員の入団を歓迎した。
 流れで教育係の副団長モーガンを紹介する。
 団長から既に伝えてあるが、団の規約をしっかりと守るようモーガンが更に念を押す。

 次に、俺がお立ち台に呼ばれた。
 団長が腐敗した貴族に苦しめられた歴史を語り、俺の働きがきっかけで解決した事を簡単に説明する。
 そして団初の貴族、侯爵マーキスが誕生した事を発表した。

 大きな拍手と歓声が中庭に鳴り響く。
 音楽隊がファンファーレを鳴らすと、水や火や光などの様々な放出魔法が、空に向けて大量に撃ち上げられた。
 闇夜に幻想的な光景が照らし出され、酔っ払いまでもが魅入っている。
 なんて綺麗なんだ。

 しばしその光景に目を奪われていると、【隠密ステルス 】スキルで近づいていたカンテ、ヴァーディに背後から発泡酒を浴びせられた。
 やられた!
 完全に気を抜いていた。

 正面からリヤドにまで酒を掛けられる。
 え?お前そんな事するタイプなの?
 五万もする服がビチャビチャだよ、もう。
 全身ずぶ濡れだ。

 モーガンはソニアを避難させ、離れた位置で大笑いしている。
 会場中が酒の掛け合いで盛り上がりだした。
 二百人で一斉に酒をぶちまけ合うって一体幾ら無駄にするつもりなんだよ。

 高みの見物が癪だったので、【水魔法】を発動させソニアとモーガンに向けて水球をぶつけ、びしょ濡れにしてやった。
 道連れだ。

「お!テツオ、やるじゃねーか!
 おい爺様!風邪引くんじゃねーぞ?
 ハハハハハ!」

 ヴァーディが異様に喜んでいるが、逆にリヤドとカンテはビビりだした。
 爺様に手を出したら不味かったのか?
 そういうの、やめてほしい。

 モーガンが凄いスピードでヴァーディの首根っこを捕まえブンブン振り回す。

「やーめーろー!じーじーいー」

 あのヴァーディが子供扱いだ。
 最後はポイッと投げ捨てられ、空の酒樽に頭から突っ込んだ。
 死んでないよね?

「爺様は狂戦士バーサーカーだ。
 決して怒らせてはいけない。
 前団長も怒らせて、一発でのされたらしいからな」

 リヤドが俺にボソッと耳打ちする。
 何だよ、そんな怖いの?この爺さん。
 見てみるか。

【解析】

 モーガン
 年齢:53
 LV:62
 HP:3050
 MP:80

 え?
 レベル高ぇ!
 リリィが確かレベル65だったから英雄に匹敵するレベルがある。
 というか体力3000超えって、人間の限界突破してない?
 戦士長アムロドより体力150高いぞ?
 人間でもこの高みにまで到達出来るのか。
 爺様に敬意を表したい。

 それよりも年齢五十三歳で爺扱いはないんじゃないか?
 いや、十三歳で成人の世界だから仕方ないか。
 いかんいかん、数値はあくまで目安であって、いちいち左右されたら駄目だ。

 ヴァーディが派手に吹っ飛ばされ、周囲が静まり返ったので、リヤドが手を上げる。
 その合図で音楽隊が穏やかな曲調に切り替えると、大半が落ち着いたのか各々歓談や食事に戻っていった。

 ただ、暴れ足りないのか半数はまたどんちゃん騒ぎを再開する。
 ヴァーディが事あるごとにモーガンにのされるのは子供の頃からだそうで、どうやら日常茶飯事らしい。
 モーガンなりの可愛がりだ。

 魔法で服をさっと乾かしたが、酒の匂いまでが取れないのでジャケットを脱いで、食事を取る事にする。
 バッファローテリーの料理の美味そうな匂いに刺激され、急激に腹が減ってきたようだ。

「ガハハ!やっぱりホームは最高だなぁ!」

 どこかで聞いた事があるような声がする。
 ふと声のする方を見ると、見た事ある三人組が立っていた。
 誰だっけ?

「やはり、クランに入ってくれたんだな」

「えっと、どちらさんですか?」

「なんと!我らを覚えていないと申すか?」

 魔法使い風の男が、天を仰いでいる。
 大袈裟な奴だな。

「俺らだよ!兄ちゃん!スーレの村でボコった戦士を覚えてないか?」

 あ、思い出した。
 スーレの三馬鹿か。
 嫌な事は忘れたい派なんだよね、俺。

「思い出してくれたみたいで安心したぜ。
 あれから数日も経ってないのに、もう金等級ゴールド昇格して、しかも貴族になるだなんて、俺が睨んだ通り、あんた凄い奴だったんだな!」

 戦士のおっさんに続いて、ナイフ使いが話しかけてくる。
 せっかくの宴会がおっさんに侵食されちゃうよー。

「私はナイフ使いじゃなくて、【射手シューター】スキルを持つ斥候スカウトなのだ。
 いや、そうじゃなくて、我ら三人も新領土へ行ってテツオ殿の力になりたいと思っている。
 どうか今後ともよろしく」

「こちらこそよろしくお願いしまーす」

 一応、さっと感謝を述べて話を終わらせる。
 腹が減ってるんだ、食事をしよう。

 話はまだ終わってない、と戦士が詰め寄ってくる。
 だから怖いんだってばぁ、いかつい顔のおっさんが近寄ってきたらさぁ。
 あからさまに不機嫌な顔で振り返ると、おっさんが困った顔になる。
 あ、良くないのは俺の方か。

「実は兄ちゃんにどうしても会いたいって奴を連れてきたんだ
 もちろん、危険は伝えたんだぞ?」

 ん?何を言っているんだ?
 おーい、とナイフ使いが誰かを呼ぶと、奥からとトテテッと女の子が駆け寄ってきた。
 こ、この子は!

「ア、アーニャ?」

 なんでこんなところにアーニャが?
 スーレ村の道具屋の娘がなんでここにいるんだ?
 これはまずいと、アーニャの腕を引っ張って食堂へ向かう。
 背後にソニアの視線を感じた気がしたが、止むを得まい。

「テツオ様、会いたかったです」

 食堂に入ると、すぐにアーニャが抱きついてきた。
 ま、まずいって。
 誰もいないところに移動して、

【転移】

 クランホームにある自室に転移する。
 残念ながら何も手配していないので、テーブル、椅子、ベッドしかない。
 ベッドには枕どころか布団も無い。

 何があったのか聞くと、アーニャは俺を探して宿屋へ行き、あの三馬鹿に話を聞き出し、サルサーレに丁度帰還する際に同行したという。

「きっかけは空です」

「空?」

「テツオ様に連れていってもらった空から、小さなスーレ村を見たあの時から、もっと広い世界が見てみたいって思ってしまったのです」

 俺のせいか。
 非日常的な景色を見せて、田舎じゃ満足出来ない体にしてしまったのだ。
 田舎娘が都会への憧れを抱く事は良くある話だしな。
 だが、クランに入るのはちょっと無茶じゃないか?

「でも、アーニャが冒険者になるのは俺は心配だ。
 広い世界なら、これから先、俺がどれだけでも見せてあげるぞ?」

 そう説得してみたが、アーニャの気持ちは固かった。
 例の三馬鹿とこちらに向かう道中、魔物に襲われ怪我をしたあいつらを、後衛から道具を使って回復させ、命を救ったらしい。
 後方支援なら役に立てると、息巻いている。

「でも、テツオ様が駄目って言うならやめますけど……」

 茶色の癖毛をクルクルと指で弄りながら、俺の反応を伺うアーニャ。
 この癖、結構好きだなぁ。
 腕を組み、暫し思考する。

 後方支援か……
 それならまだ安全か。
 怖くなったら辞めさせたらいいしな。

「許可しよう。
 だが、まずはここでしっかりと訓練してからだぞ!」

「やったぁ!
 ありがとうございます、テツオ様!」

 満面の笑みを浮かべ、俺に飛びかかって抱きつきキスをしてくる。
 アーニャのえくぼが堪らなく可愛い。

 アーニャの顔を両手を挟み、二人の関係は内緒だと念を押す。
 あと、危険時にすぐ駆けつけれるよう、耳には魔石ピアスをつけておく。
 念には念を、だ。

 これでスーレに行くより、クランにいる方が後輩団員を呼び出し指導するとかの名目で、アーニャとエッチしやすくなるだろう。

 もしスーレの村に危険が迫ったとしても、もうアーニャやエナは居ないんだから、そこまで心配する必要も無いしな。

「抱いて欲しいです、テツオ様ぁ」

 安心したのか、甘えた声を出して俺にもたれ掛かってきた。
 ずっと奥手だと思っていたが、こんな事を言えれるようになったのか。

 急にムラっときて、アーニャを押し倒した。

 危険を冒してここまで会いに来てくれたんだから、たっぷりと可愛がってやろうではないか。
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