時間を戻して異世界最凶ハーレムライフ

葛葉レイ

文字の大きさ
上 下
12 / 146

デカス山脈

しおりを挟む
「お、おはよう。やっぱり宿にいたのね」

 不意に後ろから声を掛けられ、振り返ると見知った女がいた。
 どうやら強制イベント発生のようだ。
 確かスカーレットとかいうお姫様だったか。

「貴方これからどちらへ行くつもりかしら?」

 スカーレットを無視して歩き出す。

「ちょっ、ちょっと待ってよ!」

 引き止めるように腕を組んでくる。
 胸が当たって悪い気はしないが、触らぬ神に祟りなしだ。
 軽く距離を取る。

「お姫様は勇者を探してるんですよね?
 俺なんかと一緒にいても見つかりませんよ?」

「勇者は……もういいの。
 貴方といればいつか会える気がするし。
 それに…………貴方の事もっと知りたいし」

 最後なんか小声で言ったぞ?
 困ったな。
 マジで着いて来るつもりか?
【転移】で撒く事も可能だが。
 ……ふむう。

「まぁ、いいでしょう。
 少しだけパーティを組んでもいいですよ。
 その代わりに、この世界の事色々教えてもらいますね」

「本当!?ありがとう!
 ……えっと、私の事はリリィと呼んでちょうだい!
 それで…………貴方のお名前は何ていうの?」

「テツオです」

「テツオかぁ、いいお名前ね。
 私、自分より強い人に敬語使われるの癪だから敬語はやめてね。
 じゃあ改めて、宜しくテツオ」

 可愛い笑顔が朝日のせいか眩しい。
 素材はいいんだよなぁ。
 高貴なオーラもびんびんに感じるし。

「じゃあ、敬語は使わん。
 ちょっとそこで待ってろ」

 さっと宿屋に行って戻ってくる。

「おい、行くぞ!」

「いきなり言葉使い悪くなったわね。
 まぁ、いいんだけど。
 で、どこに行くつもり?」

 俺は、西に向かって指を指した。


 ————————



 そこは雪国だった。

 完全に舐めていた。
 デカス洞窟を抜けると雪山に繋がっていたようで、寒波に凍えながら何故か頂上を目指していた。

 これは…………意地である。

 俺に着いてくると言った以上、それ相応の覚悟を見せてもらわねばならない。
 これはリリィへの試練である。

 そこへいくとサーベルウルフは雑魚だった。
 リリィに全て一撃で倒されてしまうという体たらく。
 まぁ、レベル65の聖騎士が、レベル10程の狼にビビる道理もない。
 サーベルウルフの牙をいそいそ集めていると、リリィに依頼品だと一発でバレてしまったが、

「か、金になるのかなー?これー?」

 と、華麗にかわした。

 デカス山脈は険しく鋭い山が連なっている。
 眼下に雲海が広がる断崖絶壁の細い足場を、恐る恐る渡るリリィ。
 下から吹き上げる強風で、スカートが捲れ上がるが、本人は必死で気付いていない。
 眼福眼福。

「引き返すなら今のうちだぞー?」

「引き返せるわけないじゃない!これどこまで行くのよ!」

「もちろん、頂上までだ」

「えー」

 上品な話し方は何処へやら。
 確かに道のりは厳しい。
 急勾配に加えて、殆ど雪に覆われ、道らしき道も無い。
 剥き出しの岩が行く手を阻み、元より人が登る山では無いのだろう。
 岩石を魔法で砕きながら道を作る。

 リリィを見ると唇や足が紫がかってきていた。
 彼女の活動限界は近そうだ。

 しばらく登ると、両岸を急な岩壁に挟まれた谷に着いた。
 ゴルジュというんだったか。
 少し落ち着けそうかもと、リリィが少なからず安堵している。
 上を見上げると、岩壁がどこまで続いているか分からないくらい高い。

 ん?何か岩が動いた気がしたが。

【探知】

 成る程な。

「おい、先へ急ぐぞ」

 少し休みたいと文句を言うリリィを急かし、先に歩かせる。
 不意に岩壁が突如動き出し、何本かの巨大な毛むくじゃらの足がリリィに襲いかかった。
 寒さで体が悴んでるのか、それに対する反応が遅い。
 残念。
 太い足に吹き飛ばされ、そのまま向かい側の岩壁に叩きつけられた。
 更に、予め発射された糸に絡め取られ、グルグル巻きになるというこの手際の良さは熟練の技。
 もはや職人芸ともいえよう。
 岩壁に擬態する3メートルはあろう巨大蜘蛛に、彼女はあっさりと捕まってしまった。

「キャー!蜘蛛苦手なのよー」

 糸のミイラとなったリリィが、隙間から叫んでいる。
 英雄といえどこんなもんか。

【解析】
 ゴルジュスパイダー
 LV:48
 HP:1600
 MP:130

 蜘蛛もそこそこ強いが、まともにやればリリィの方が強い筈なんだがなぁ。
 擬態からの蹴り、糸吐きのコンボ技が凶悪だ。
 あ、噛まれた。
 このままじゃ、蜘蛛の毒によりやられてしまうだろう。
 助けるか。

火球ファイアボール

 火の塊が周囲の雪を巻き上げながら、凄い速度で飛んでいき、蜘蛛の胴体に直撃した。
 が、甲羅の様に体を纏う岩肌が、【火球】を弾き飛ばす。
 あの岩は、擬態でもあり、防御でもあるのか。
 などと関心している場合じゃない。
 早く退治しなければ。

土魔法:水晶剣クリスタルソード

 案外突き詰めると、土魔法は便利だ。
 選べる素材に限りはあるが、大きさや形をある程度自由に創り出す事が出来る。

 空中に、計10本の光り輝く水晶の剣が浮かび上がる。
 手を振り抜くと同時に、蜘蛛の胴体に10本の剣が全て突き刺さった。
 岩レベルの硬度では防ぎようがない。
 岩壁にへばり付いたまま、標本の如く串刺しになり、ゴルジュスパイダーは呆気なく絶命した。

 落下してくる繭と化したリリィを受け止め、絡み付いた糸を剥ぎ取ってやる。
 あらん?
 ダメだ。かなり衰弱していて危機的状態だ。

 仕方ないな。
 特別に風呂に入れてやろう。

 一瞬で透明な水晶の壁で四方を囲み、浴槽を創り出して温水を貯めた。
 リリィを裸にして、一緒に浴槽に入る。
 雲海を望む素晴らしいロケーションに、可愛らしい裸のお姫様。
 男なら誰もが羨むシチュエーションだろう。

 冷え切っていたリリィの身体は、徐々に体温を取り戻し、ほんのりと頬がピンク色となってくる。
 これも偏に、俺が後ろから、丹念におっぱいをマッサージしたお陰であろう。
 すると、何という事でしょう。
 もたれ掛かる体勢から、顎を上げ、キスを求めてくるではありませんか。
 これは流石の匠も、拒む訳にはいかなくなりました。
 そのまま匠の匠を挿入する匠。
 つう、とお湯に一筋の赤い線が浮かび上がってくるのは、匠だからこそ為せる技。

 なんか処女多くね?
 慌てて【回復】を掛け、痛みを取り除く事に成功。
 ゆっくりと馴染むようにピストンを繰り返す。
 堪らず身体をくねらせて逃げようとするリリィの尻をホールドして、乱暴にフィニッシュ!


 ふう、ヤッてしまった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...