時間を戻して異世界最凶ハーレムライフ

葛葉レイ

文字の大きさ
上 下
6 / 146

森の魔女

しおりを挟む
 …………どれだけ進んだろうか。
 曲がりくねった道をくねくねしながら暗闇の中を歩いていく。
 時間の感覚がどんどん分からなくなってくる。
 道中、巨大な蜘蛛や大蛇に襲われたが、【探知】により把握済みで焦る事もなく、即時に発動させる【火壁ファイアウォール】を突破できるものはいなかった。

 ようやくして暗闇を抜けると、大きな川にぶつかった。
 川の向こうはやはり森だが坂になっている道があり、抜けた先には洋館の様な建物が見える。
 ここからではよく見えないな。
 川を渡ろうと周囲を見渡してみるが橋などは見当たらない。

【土魔法】で足場を創るか?
 それとも【風魔法】で飛ぶか?
 いや待てよ?確か【転移】って魔法もあったよな?

【転移】

 一瞬で対岸に移動した。
 まさに瞬間移動だ。
 魔法って凄い!
 これを戦闘に組み込めばめちゃくちゃ強いんじゃないか?
 意気揚々と坂を駆け上がっていく。

 こんな怖い森なのに、あの洋館には誰か住んでいるのだろうか?
 橋も架かってないし、既に廃墟なのかもしれない。
 坂も半ばといったところで、突如、周囲がピリついた。
 放電か?
 何もない空間にバチバチと電気を発生させながら、黒い闇が円を描いて、ヴヴヴ……と広がっていく。

 その闇から現れたのは、透き通る程の真っ白い肌に、腰まではある長い銀髪、スラリとしたスタイルに黒い衣を纏う、真っ赤な目が印象的なお姉さんだった。
 吊り目がちな鋭い眼でこちらを睨んでいる。

 な、何なんだ?

「ふぅ、眠っておったのに。
 ここより先はわらわの棲み家ゆえ、通すことは罷り成らぬ。
 わらわは眠い、帰るがよい」

 館の主人は俺になんの興味もなく眠そうにしている。
 そうだよな、人ん家勝手に入ったら駄目だよな。
 空中に浮いているお姉さんの回りが、またピリついて、再び黒円が広がったと思ったら、

「ん?
 わらわの花や小鬼共の反応が……
 そうか、貴様じゃな?」

「え?いや、突然襲われたというか」

「償うが良い」

 会話できる状態にない!
 お姉さんの目がブゥンと赤く光った刹那、巨大な鎌の様な風刃が、首筋を狙って襲いかかる!

 あっぶねっ!
 間一髪、【転移】で距離をとる。
 急ぎ【風の付与魔法ウィンドエンチャント】【火の付与魔法ファイアエンチャント】を掛け、お姉さんに向けて魔法陣を展開、臨戦態勢をとった。

「今のを避けるとは、少しはやるようじゃの」

 お姉さんがぶつぶつと何かしら呟くと、左右の木々から、多数の枝が伸びてくる。

火壁ファイアウォール】発動!

 しかし、数本の枝は火の壁をもろともせず突き抜けて巻き付いてくる!

「え?そんなっ!」

 手足をばたつかせもがいていると、お姉さんの周りに、いつの間にか複数の黒い穴が空いていた。
 その黒穴から、鋭い槍が多数生えてくる。
 何だ、アレは?

「【闇の魔槍ダークジャベリン】食らうがよい」

 このままじゃマズイ!

時間遡行クロノスフィア

 強い!このお姉さん!
 時間を戻さなければ死んでいた。
 戦闘が始まる直前に時を戻し、次はこっちから先に仕掛けてやる。

「償うが良い」

「お姉さんごめんなさい!」

火の魔槍ファイアスピア

 お姉さんの使った魔法を真似して発射してみる。
 これは躱せないだろう。

 ズドドドドッ!

 直撃したと思ったら、霧がモヤモヤと漂っていた。
 え?霧になって無効化?
 そんなんアリか?
 霧が集まり、再びお姉さんの姿形に実体化していくじゃないか。

闇の拘束ダークバインド

 既にお姉さんの次なる【魔法】が発動していたようだ。
 黒い鎖環が、俺の両手両足をきつく縛り上げる。

「グググ……」

 付与魔法でガードしてる筈なのになんでこんな簡単に食らう?
 魔法の力量差?

闇の召喚術ダークサモン

 お姉さんの魔法陣から、悪魔を象った黒い影が現れ、それは凄まじいスピードで、俺に向かって襲いかかってきた。

【転移】発動、間一髪避けれたが、お姉さんはすでにこちらに向けて魔法を発動済みだ。
 常に先手を取られている。

「【闇の追跡弾ダークバレット】」

 黒い弾丸が【転移】を繰り返す俺に、その都度軌道を変え、無限に追ってくる。
時間遡行クロノスフィア】を発動するのは簡単だが、何とか突破口を見付けたい。
 一体どうしたら?あ、しまった!
 召喚された影に後ろから羽交い締めにされてしまい、身動き取れない俺目掛けて、追跡する弾丸が迫る!

時間遡行クロノスフィア

 結局、時間を戻してしまった。これではいつまで経ってもお姉さんを攻略できない。
 何か対抗手段はないだろうか?
【闇系魔法】を多用する相手には、【光魔法】?試してみるか。

光の防壁ライトウォール】【光の矢ライトアロー】発動!

「償うが……」

 台詞中に申し訳無いが先制攻撃だ!
 お姉さんに光の矢が突き刺さる!
 今回も霧となり回避されるが、もう実体化するタイミングは分かっている。

 お姉さんの背後に【転移】し、光の壁を創り出し実体化した瞬間に閉じ込めた。
 咄嗟に振り返るお姉さんの顔は驚愕に満ちている。
 更に魔法陣を発動し追撃!

光の聖槍ホーリーランス

 回避もできず、次々と襲い掛かる光の衝撃が、お姉さんを何度も貫き小爆発を繰り返す。
 ついにお姉さんは頭をがっくりと下げて動かなくなった。終わったか?

「ふふふ、森の魔女にこれだけのダメージを与えるとはやるではないか」

 ムクリと起き上がるや、目を見開き、俺に眼光を飛ばす。

闇の魅了チャーム……
時間遡行クロノスフィア】発動!

 今のは魅了状態にされる魔法だ。
 危ないとこだった。
 状態異常系にはもう正直掛かりたくはない。
 先に仕掛けてやる!

「ふふふ、森の魔女に、む?貴様!?」

闇の魅了チャーム】発動!

「な…………
 先に魅了を……かけるとは……」

「魔女に魅了が効くわけが……ない……」

 効かないのか?辛そうに見えるが。

「くう……貴様、もしや時間干渉しておるな?」

 お姉さんは魅了に耐えながら、話掛けてくる。

「え?」

 どうして分かったんだ?そもそも分かるものなのか?

「やはりそうか。
 ええい、負けじゃ負けじゃ、わらわの負けじゃ!
 好きにいたせ!」

 え?負けを認めるの?全然勝った気しないんだけど。

 お姉さんの目がとろんとしている。魅了状態になったのかな?

「貴様……名は?」

 魅了状態なのに貴様呼びなんだ!

「テツオです。ワタライテツオ」

 俺はこの世界で初めて自己紹介をした。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...