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3.弱肉強食
しおりを挟む岩の中に隠れた後も、外からは兄弟たちが食われる音が聞こえる。
非道ではあるが兄弟たちを見捨てたことに対して罪悪感は感じなかった。
ついさっき生まれて、兄弟であるとの自覚もないまま死んでいくのだから。
罪悪感よりも大きく俺にのしかかるのは_______
死への恐怖だ。
さっき死んだ時とは違う。
溺死するときには眠っていて意識がなかったから、死への恐怖なんてなかった。
あったのは死んだという結論だけだった。
30分も経っただろうか。外から奴の気配がようやく消えた。
何なんだ此処は。それにあのテロップは何だよ。
まるでRPGゲームみたいな_______。
「キュイッ(ステータス)」
半信半疑でそう小さく呟くと、目の前に再びテロップが浮かぶ。
【ステータス】
名前:_____
種族:クロコダイルベビー
年齢:0
Lv 1/10
HP:20
MP:5
筋力:6
知力:9
俊敏:7
防御:4
精神:2
[スキル]
・噛みつき lv1 ・水泳 lv1
・潜水 lv1 ・成長加速
[称号]
・転生者
[ギフト]
・水神の祝福
まさかとは思っていたが、本当に出るなんて......。
現実逃避したい気分に苛まれる。
地球のどっか奥地に生まれたのかと思ったら異世界なんてふざけんなよ。
しかもなんだよ《水神の祝福》って。
俺は早く水中生活から卒業したいんだよ。名前からして嫌な予感しかしない。
何か解説はないのかとテロップを口で突く。
《水神の祝福》
水神に祝福された証
スキル《成長加速》の取得、
水中にいる場合ステータス二倍の恩恵を得る。
嫌な予感が的中した。
俺をなんとしてでも水中に居させたいのかよ。
...............だが、俺が他の兄弟たちより早く泳げたのはこれのステータス二倍のお陰なんだろう。そこは感謝しなければならない。それが水中以外にも適用されれば万々歳なんだがな。
もう一つ気になったことがある。
レベルが10までしか上がらないって所だ。
これはあくまで俺の推測だが、レベルが最大まで上がったら何か進化みたいなものが起きるのではないだろうか。
まぁ、RPGみたいな世界だからそんな摩訶不思議なことが起きてもおかしくない。
きちんと老死するまで生きるには強くなるしかない。俺はあのハイソードスネークとやらに食われて死ぬのはごめんだ。
さっきのでわかった、この世界は弱肉強食。
強くならなければならないんだ。
ついさっきまで本当に平和な世界にいたが、本当に恵まれていたのだとわかった。
まずはレベルを最大に上げることを目標に動こう。それが強くなる第一歩だ。
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