3 / 14
3.ラインハルト・ミューズガルド
しおりを挟む「あ、貴方は........」
「.........怪我は?」
「え?」
「怪我はないか?」
謎のイケメンは剣をしまいながら僕に問いかける。
僕を助けてくれたし、優しい人なのか、な?
「は、はい!大丈夫です!ありがとうございますっぃた.......!」
無事を示そうと思い慌てて立ち上がるが先ほど躓いた時に足を捻ったようで思わず声に出る。
「見せてみろ」
「え⁉︎あ、いやっこれくらいなら大丈夫です!問題なく歩けますし...」
フードを被り直しこちらに近づく謎のイケメンに手を横に振りながらその場で歩いてみせる。
「そうか.......だが、近くの集落までかなり距離がある。少し見せてくれ」
「はい...ありがとうございます」
靴を脱ぎ、触診してもらう。
人に足を触られるのってなんだか恥ずかしいな......。しかもこんなイケメンだし...。
お兄さんはしばらく触った後、僕に手を貸して立ち上がらせる。
「まだ軽傷なようだがここは道が険しい。......貴方はどこからきたんだ?」
「あ、え~っと......お兄さんと日本語通じてるけど此処って日本なのかな?いや、でもこのゴブリンたちもいるし...異世界とか?」
お兄さんの問いかけにうまく答えられず、小声でぶつぶつと独り言を呟く。
「日本?まさか地球から来たのか⁉︎」
「え、お兄さん日本のこと知ってるの?」
お兄さんが驚いた様子で僕の肩を掴む。
かなりの力で掴まれたため顔を顰めると慌てて離し、少し息を吐いた。
「そうか、だから俺を......。いや、説明が先か。....申し遅れました、俺っ..いや、私の名はラインハルト・ミューズガルドと申します」
「え、あっ僕は青原一樹と言います。....えっと、敬語...じゃなくても大丈夫ですよ?」
慌てて敬語に直すお兄さん、ラインハルトさんにそう伝える。
それを聞くとお兄さんはほっとしたように息を吐いた。
「そう言ってくれて助かる。敬語は苦手なのでな...。何から説明しようか」
「えっと、ここは何処なんですか?」
「此処はファルデマー王国とグリべヴァ帝国の国境にある森林だ。普段は国境に駐在している両国の兵士がこの辺りの魔物は借り尽くしているはずなんだが...。間に合ってよかったよ」
「ラインハルトさんは兵隊さんなんですか?」
「いや、俺は冒険者だ。此処には偶然立ち寄ったんだが........運が良かったよ」
「そうですね、ラインハルトさんがいなかったら僕は今頃...」
もしもの未来を想像して身震いする。
本当に良かった。ラインハルトさんに感謝しないと。
「この辺りにいたら国境兵たちにとやかく言われかねない。話は歩きながらしよう」
「はい!」
差し出された手を支えにしながら森の中を歩く。
ひとまず彼についていけば安心、なのかな?
22
お気に入りに追加
283
あなたにおすすめの小説
日本で死んだ無自覚美少年が異世界に転生してまったり?生きる話
りお
BL
自分が平凡だと思ってる海野 咲(うみの
さき)は16歳に交通事故で死んだ…………
と思ったら転生?!チート付きだし!しかも転生先は森からスタート?!
これからどうなるの?!
と思ったら拾われました
サフィリス・ミリナスとして生きることになったけど、やっぱり異世界といったら魔法使いながらまったりすることでしょ!
※これは無自覚美少年が周りの人達に愛されつつまったり?するはなしです
独占欲強い系の同居人
狼蝶
BL
ある美醜逆転の世界。
その世界での底辺男子=リョウは学校の帰り、道に倒れていた美形な男=翔人を家に運び介抱する。
同居生活を始めることになった二人には、お互い恋心を抱きながらも相手を独占したい気持ちがあった。彼らはそんな気持ちに駆られながら、それぞれの生活を送っていく。
美醜感覚が歪な世界でも二つの価値観を持つ僕に死角はない。
左側
BL
美醜感覚が日本とは異なる、男だけのファンタジー異世界。
主人公はいわゆる転生者。
前世の美醜感覚を思い出し、今世の美醜感覚も残っている。
だからあの男も、その男も、みんなストライクゾーンにきっちり入る。
自分が『格好良い』なのを良い事に、色んな男に声を掛けて楽しい生活を送る話。
※二つの価値観を持った後の主人公は、単なる面食い節操無しリバ(タチ寄り)です。
※急にRシーンになるかも知れません。
※結構嫌がられる描写があるかも知れません。
※付けた方が良いタグがあればお知らせください。
ムッツリ眼鏡、転生したらモブのボスになりました(汗)
狼蝶
BL
モブおじさんになりたい自称ムッツリ眼鏡、青津。彼は自転車通学中に交通事故に遭い、最近ハマっていた『モブ族の逆襲』という漫画のしかもモブ族の長に転生してしまっていた!!
運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる