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6.女官長との会話・2
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「ゴホン。……ご納得されたなら、自室へお戻りになっていて下さい。採寸係を向かわせます」
「あのそれと!」
「まだ何かあるのですか」
うんざりされても、これだけは伝えなければ、落ち着いて採寸を受けることすらできはない。
「ごめんなさい、女官長。あの、私の服が……その、この服もだけれどあの元々ではあるけれど、そのそれ以上に洗い替えも少なくて着回しがギリギリで。古びてきて色々と解れてきてしまっているの。直したいから、縫い糸と刺繍糸を貰えないかしら」
ローラとしては、これ以上ないほど下手に出たつもりだったのだが、それでも足りなかったようだ。
女官長の顔が驚愕に染まっている。
「ご自分で直される? いえ、それ以前に、そう言った服の方が着ていて楽だと言われていたのではなかったですか。着替えるように言われても、我を通されたと」
「? いいえ、特にそういうことはありません。誰かに好みを聞かれたこともありませんし。いつものように、部屋を留守にしている間に入れ替えられていた服を着ているだけです。それとあの、もう二年ほど新しい古着? に入れ替えられていることもなくなっているので、その……」
ローラが言葉を紡ぐ度に、呆れた様子を深める女官長の視線に耐えられなかった。
元々が小国の出でしかない亡き側妃が産んだ後ろ盾のない名ばかり王女。もうすぐ王城を出て行く事になりようやくスッキリすると思ったのに最後の最後まで要求するのかと思われているのかと、心がぎゅっと痛くなった。
あまりの恥ずかしさに、返事も待たずにローラは「やっぱりいいです」と慌てて退席した。
逃げるように自室に戻ったローラを追いかけてくる者はいなかった。
その日はいくら待てども採寸にやってくる者もおらず、ローラはひとり、部屋の姿見の前に立ってあの棒を使って素振りを続けた。
それまでぼんやりと不安に包まれた想像をするばかりであった己の未来について、真剣に考えながら。
「ゴホン。……ご納得されたなら、自室へお戻りになっていて下さい。採寸係を向かわせます」
「あのそれと!」
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うんざりされても、これだけは伝えなければ、落ち着いて採寸を受けることすらできはない。
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ローラとしては、これ以上ないほど下手に出たつもりだったのだが、それでも足りなかったようだ。
女官長の顔が驚愕に染まっている。
「ご自分で直される? いえ、それ以前に、そう言った服の方が着ていて楽だと言われていたのではなかったですか。着替えるように言われても、我を通されたと」
「? いいえ、特にそういうことはありません。誰かに好みを聞かれたこともありませんし。いつものように、部屋を留守にしている間に入れ替えられていた服を着ているだけです。それとあの、もう二年ほど新しい古着? に入れ替えられていることもなくなっているので、その……」
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あまりの恥ずかしさに、返事も待たずにローラは「やっぱりいいです」と慌てて退席した。
逃げるように自室に戻ったローラを追いかけてくる者はいなかった。
その日はいくら待てども採寸にやってくる者もおらず、ローラはひとり、部屋の姿見の前に立ってあの棒を使って素振りを続けた。
それまでぼんやりと不安に包まれた想像をするばかりであった己の未来について、真剣に考えながら。
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