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12.そうして私達はみんな幸せになりました()
しおりを挟む「ふふ。では、我がシシャック領が次に打って出る新規事業にもそのドーラ様の御力を、どうぞお貸しくださいませ」
「おぉ! 詳しい話を聞かせて貰おう。……稼げるんだろうな?」
「勿論。そのつもりです」
蓮の花の美しさを活かして観光客を呼び、薬師ギルドお墨付きの効果がある特別なお茶や、いろんな蓮のデザートを売り出し、美味しい蓮根料理で歓待する。
つまり、シシャック領の観光地化計画である。
お泊りできる施設を作る事には躊躇した。
希望する声は沢山貰っていたけれど、初期費用がかかるのは遠慮したかったんだ。
でも確かに、隣の国へ抜ける大きな街道からちょっと逸れてるんだけど、ちょっと逸れるだけで美味しいご飯が食べられて、季節によっては綺麗な花の咲く幽玄な景色も見れちゃう事があって、しかも疲れが取れる特別なデザートまであるってなったら、皆、そっちのルート選ぶよね?
実際に、蓮茶各種や蓮根でんぷん粉を売り出したことで仕入れもできるということで、巡回ルートに組み込んでくれるようになった商隊も増えてきた。
立ち寄った人達から、『(季節によっては)綺麗な花が咲き乱れてて』、『その茶は疲れを取ってくれて』、『美味しい菓子や料理になる』って聞かされた人たちとしてはさ、一度くらいは行ってみたくなるってもんだよね?
それでも、一度来て満足して終わりっていうんじゃ流行が過ぎたら過疎っちゃう。
プラスαな部分が欲しかったんだけど、綺麗でセクシーな空間っていうのは、これまでのこの世界には無いコンセプトだもん。いけるんじゃないかな。蓮の健康効果のリラックス効果とか血行促進とかあんなことやそんなことに結びつけることだってできるだろうし。なんなら新しいカップル専用のデザートとか開発しても良いかも。
そしたらリピーターも長期滞在も見込めちゃうよね? 夢が広がるわぁ。
乙女ゲーム内の悪役令嬢に転生して十八年。婚約破棄イベントも完璧に乗り越えたらしい私は、浮き浮きした気持ちで元婚約者殿と熱い握手を交わした。
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