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本編
第八話 ぺしゃんこのパンと水っぽいオムレツ
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■
朝6時。いつもと同じ決められた時間に、その人はいつもと同じメニューの朝食を摂っているところだった。
ただし、今日は少しいつもと違う様子である。
「最近、我が家の料理長は体調が悪いのだろうか」
目の前に並んでいるのは、フリッツにとって見慣れたいつもの朝食メニューそのものだ。
焼きたてのパン、ふわふわのオムレツ、瑞々しい野菜のサラダは作りたてのドレッシングが掛けられている。
見た目だけはこれまでと同等に見えるそれらの朝食だが、口に運んでみると、表面の皮にパリっとした歯ごたえもなく中身は噛みしめるまでもなくペシャンコになる。なにより焼きたてにも関わらず小麦の香ばしい香りがしないのだ。まったくしない訳ではないが薄い。以前のパンを知っているからこそ悲しくなる。オムレツもバターの香りが薄く全体がどこか水っぽい。卵のねっとりとしたコクも感じられない。サラダに使ってある野菜たちもどこか味が薄い。ドレッシングに至ってはキリリと味を引き締めるいうより酢の酸味が強すぎて腹立しいレベルだ。
つまり、すべてが別物レベルで、味が違う。しかもすべてのレベルが下がっている。
憮然とした表情のまま手にした珈琲を口元へ運んで、その香りが焦げったいだけのものであることに気が付いて、フリッツは結局それをテーブルに戻した。
「いいえ。そのような申告は受けておりません」
同じ位表情を失くした執事のトーマスが、フリッツの言葉を否定した。
この執事はフリッツがシーランという家名と伯爵位を賜った際に、実家であるアーベル侯爵家から連れて来た。
元は侯爵家でフリッツに付けられた侍従で、フリッツの生活のリズムや好みを全て把握してくれているので助かっていた。
出会った頃から表情の薄い男であったが、今朝のトーマスはいつもと何かが違っていた。
怒っている。
薄い表情のままでも伝わってくるそれに、フリッツこそが怒りたかった。
だが、フリッツには一々使用人の機嫌のような取るに足らないことを取沙汰するつもりはない。そんな暇はない。
元々、決められた仕事を終えた後ならば、たとえサボっていたとしてもフリッツは構わないと思っていたせいもある。
だがそれは、決められた仕事を、きちんと熟していたならばの話だ。
「そうか。……そうだな、本人には分からない体の不調という事もあるかもしれない。声を掛けてやってくれないか」
言われなくとも気が付いてやっておけという圧力を言外に籠めながら伝える。
しかし、その圧に気が付いている様子にも拘らず、トーマスはあっさりとそれを否定した。
「いいえ。その必要はございません、旦那様」
「何故だ?」
まさか眉ひと筋すら揺らさずにトーマスから拒否されるとは思いもしなかったフリッツは、熟考も自省もせずに脊髄反射的に問い掛けた。
「何故、とは?」
それでも、トーマスはまったく動じることなくフリッツの前に立っていた。
どうやらトーマスには料理長の不調が判っていないらしいと判断して、フリッツはひとつずつ噛んで含めるようにして、目の前に置かれた朝食について所見を述べた。
フリッツの説明を頷きながら聞くトーマスを見て『分かっていたのではないか』という疑念が浮かびはしたものの、それでも何も言われないことに、違和感は増していくばかりだ。
「これほどに食事の質が落ちている。私が家に入れている収入は変わっていない筈だが、王都の物価が突然上がってしまったのだろうか。……いや、食事だけではない。それ以外に関しても何かこう、全体的に生活の質が下がった気がするのだが」
ついでとばかりに訊ねる。先日、長年勤めあげていた侍女が入れ替わったせいもあるのだろうが、シェービングクリームの香りや泡立ちがどこか違う気がする。使用する直前に都度都度練り上げるものだし、人によって微妙に変わってしまうのは仕方がないのかもしれないが、それだけが理由ではない気がしてきた。
フリッツの言葉が切れた所から一拍おいて、揚々とトーマスは同意を表した。
「それはそうですね。当然のことと存じます」
「やはり物価が?」
「いいえ。むしろ我が伯爵家の中に資産が余り出しておりますね」
「ならば! 何故、前のレベルの物を仕入れない? もしもの時の資産は避けてある。生活費としての資金を貯蓄に回す必要はないだろう」
会話が成り立っているようで、まったく成り立っていないことに痺れを切らして、フリッツは怒りのまま言葉を連ねた。
「私共は旦那様のご指示に従ったまで。いえ、今更旦那様がご指示を撤回されたとしても元のレベルに戻すことは叶いませんが」
不吉な予感に、フリッツは目を眇めた。
この数カ月で自分が使用人たちに対して出した指示といえば、ひとつしかない。
「……どういう意味だ?」
「ご指示に従って、ヴォーン商会との取引を取り止めました。その結果が今のこの状態です。この王都……いえ、国内で取り扱われている最高級品はすべてヴォーン商会の手を経由して市場に出回っております。そことの取引をしないで貴族として相応しい生活必需品を集めること自体が、無理なのです」
ある程度は予想がついていたものの、想像を遥かに超えた回答内容にフリッツは鼻白んだ。
「なるほど。あの悪徳商人の嫌がらせか」
フリッツは、実父であるアーベル侯爵から『火急、話し合いたいことがある』と呼び出された実家で、母まで揃って寄ってたかって異口同音に責められたあの日のことを思い出して苦い顔をした。
『お前はなんてことを仕出かしたんだ!』
『どうしてくれるの? ヴォーン商会が無くなったら、あの香水もあのファンデーションも手に入らないのよ!』
『お前……エレナ、今はそれどころじゃないんだ。フリッツ、お前はヴォーン商会がこの国で一番である事の意味を知らなさすぎる。』
『……そのお話でしたか』
『そうだ、その話だ。お前はもっと賢いと思っていたのに。確かにお前は医学においては最高レベルの知識と技術を持っているのだろう。しかし国の流通や経済に関してはあまりにも知らない。医師には不必要だと思っていたが、しかし、私はもっときちんとそれをお前に教えるべきだった』
『馬鹿らしい。悪徳商人が排除されればこの国はもっと見通しがよくなるだろうに』
『フリッツ!』
フリッツは、自分の家族たちがあれほどの俗物であるとは思わなかったと強く失望した。そうして、キャンキャンと子犬のように吠える家族をおいて帰ってきたのだ。
あれ以来、どれだけ呼び出しを受けようとも一切の連絡を絶っている。
それにしても、とフリッツは水っぽいオムレツを前にして予てよりの疑問を口にした。
「たかが一商会にそれほどの力があるのか? 金を積めば売るのが商売人というものだろう」
愛すべき偏屈者である主人からの返答に、トーマスは『これはやはり、理解できないというより理解したくないのだろうな』と自身の考察が正しかったのだと悦に入ると共に絶望の溜息を吐いた。
たぶんきっと、偏屈な部分を持つ主人にこの説明を理解させるには長い時間が掛かるに違いないと覚悟はしていたのだ。
だが実際に、主人の一切の説得も説明も受け入れまいとする態度を前にして、頭が痛い。
しかしいつまでも理解されないままでは困るのだ。このままではせっかく育て上げた伯爵家の使用人たちが櫛の歯が欠けるようにして減っていってしまう。実際のところ既に数名が辞めていたし、辞意を伝えられてもいた。懸命に引き留めに掛かっているが、主人の意識が変わらなければ無理だろう。
「いいですか、旦那様。そもそもヴォーン商会というのは……」
せっかく偏屈な主人に理解できるよう会話の下地を作り、言いたいだけ言わせて使用人の声に耳を傾けさせる準備が整ったというのに、トーマスが逸る心を抑えてどれだけ時間が掛かろうとも納得させてみせると話の口火を切ったところで、最悪の邪魔が入った。
「フリッツ! フリッツ!!」
バァンと派手に、両手で扉を撥ね開けるようにして、フリッツの婚約者マリアンヌが飛び込んできた。
侯爵令嬢に相応しい所作も、訪ねてくる旨を伝える前触れも何も無しだ。
貴族らしいマナーに煩い彼女にしては珍しい行動に、フリッツは面食らった。
いつもの令嬢らしい笑みを捨て去った顔は怒りに歪んでいる。
「あなた、何をしたのよ! なんてことをしてくれたの?!」
「どうしたんだい、マリアンヌ。一体、なんの事だ」
朝6時。いつもと同じ決められた時間に、その人はいつもと同じメニューの朝食を摂っているところだった。
ただし、今日は少しいつもと違う様子である。
「最近、我が家の料理長は体調が悪いのだろうか」
目の前に並んでいるのは、フリッツにとって見慣れたいつもの朝食メニューそのものだ。
焼きたてのパン、ふわふわのオムレツ、瑞々しい野菜のサラダは作りたてのドレッシングが掛けられている。
見た目だけはこれまでと同等に見えるそれらの朝食だが、口に運んでみると、表面の皮にパリっとした歯ごたえもなく中身は噛みしめるまでもなくペシャンコになる。なにより焼きたてにも関わらず小麦の香ばしい香りがしないのだ。まったくしない訳ではないが薄い。以前のパンを知っているからこそ悲しくなる。オムレツもバターの香りが薄く全体がどこか水っぽい。卵のねっとりとしたコクも感じられない。サラダに使ってある野菜たちもどこか味が薄い。ドレッシングに至ってはキリリと味を引き締めるいうより酢の酸味が強すぎて腹立しいレベルだ。
つまり、すべてが別物レベルで、味が違う。しかもすべてのレベルが下がっている。
憮然とした表情のまま手にした珈琲を口元へ運んで、その香りが焦げったいだけのものであることに気が付いて、フリッツは結局それをテーブルに戻した。
「いいえ。そのような申告は受けておりません」
同じ位表情を失くした執事のトーマスが、フリッツの言葉を否定した。
この執事はフリッツがシーランという家名と伯爵位を賜った際に、実家であるアーベル侯爵家から連れて来た。
元は侯爵家でフリッツに付けられた侍従で、フリッツの生活のリズムや好みを全て把握してくれているので助かっていた。
出会った頃から表情の薄い男であったが、今朝のトーマスはいつもと何かが違っていた。
怒っている。
薄い表情のままでも伝わってくるそれに、フリッツこそが怒りたかった。
だが、フリッツには一々使用人の機嫌のような取るに足らないことを取沙汰するつもりはない。そんな暇はない。
元々、決められた仕事を終えた後ならば、たとえサボっていたとしてもフリッツは構わないと思っていたせいもある。
だがそれは、決められた仕事を、きちんと熟していたならばの話だ。
「そうか。……そうだな、本人には分からない体の不調という事もあるかもしれない。声を掛けてやってくれないか」
言われなくとも気が付いてやっておけという圧力を言外に籠めながら伝える。
しかし、その圧に気が付いている様子にも拘らず、トーマスはあっさりとそれを否定した。
「いいえ。その必要はございません、旦那様」
「何故だ?」
まさか眉ひと筋すら揺らさずにトーマスから拒否されるとは思いもしなかったフリッツは、熟考も自省もせずに脊髄反射的に問い掛けた。
「何故、とは?」
それでも、トーマスはまったく動じることなくフリッツの前に立っていた。
どうやらトーマスには料理長の不調が判っていないらしいと判断して、フリッツはひとつずつ噛んで含めるようにして、目の前に置かれた朝食について所見を述べた。
フリッツの説明を頷きながら聞くトーマスを見て『分かっていたのではないか』という疑念が浮かびはしたものの、それでも何も言われないことに、違和感は増していくばかりだ。
「これほどに食事の質が落ちている。私が家に入れている収入は変わっていない筈だが、王都の物価が突然上がってしまったのだろうか。……いや、食事だけではない。それ以外に関しても何かこう、全体的に生活の質が下がった気がするのだが」
ついでとばかりに訊ねる。先日、長年勤めあげていた侍女が入れ替わったせいもあるのだろうが、シェービングクリームの香りや泡立ちがどこか違う気がする。使用する直前に都度都度練り上げるものだし、人によって微妙に変わってしまうのは仕方がないのかもしれないが、それだけが理由ではない気がしてきた。
フリッツの言葉が切れた所から一拍おいて、揚々とトーマスは同意を表した。
「それはそうですね。当然のことと存じます」
「やはり物価が?」
「いいえ。むしろ我が伯爵家の中に資産が余り出しておりますね」
「ならば! 何故、前のレベルの物を仕入れない? もしもの時の資産は避けてある。生活費としての資金を貯蓄に回す必要はないだろう」
会話が成り立っているようで、まったく成り立っていないことに痺れを切らして、フリッツは怒りのまま言葉を連ねた。
「私共は旦那様のご指示に従ったまで。いえ、今更旦那様がご指示を撤回されたとしても元のレベルに戻すことは叶いませんが」
不吉な予感に、フリッツは目を眇めた。
この数カ月で自分が使用人たちに対して出した指示といえば、ひとつしかない。
「……どういう意味だ?」
「ご指示に従って、ヴォーン商会との取引を取り止めました。その結果が今のこの状態です。この王都……いえ、国内で取り扱われている最高級品はすべてヴォーン商会の手を経由して市場に出回っております。そことの取引をしないで貴族として相応しい生活必需品を集めること自体が、無理なのです」
ある程度は予想がついていたものの、想像を遥かに超えた回答内容にフリッツは鼻白んだ。
「なるほど。あの悪徳商人の嫌がらせか」
フリッツは、実父であるアーベル侯爵から『火急、話し合いたいことがある』と呼び出された実家で、母まで揃って寄ってたかって異口同音に責められたあの日のことを思い出して苦い顔をした。
『お前はなんてことを仕出かしたんだ!』
『どうしてくれるの? ヴォーン商会が無くなったら、あの香水もあのファンデーションも手に入らないのよ!』
『お前……エレナ、今はそれどころじゃないんだ。フリッツ、お前はヴォーン商会がこの国で一番である事の意味を知らなさすぎる。』
『……そのお話でしたか』
『そうだ、その話だ。お前はもっと賢いと思っていたのに。確かにお前は医学においては最高レベルの知識と技術を持っているのだろう。しかし国の流通や経済に関してはあまりにも知らない。医師には不必要だと思っていたが、しかし、私はもっときちんとそれをお前に教えるべきだった』
『馬鹿らしい。悪徳商人が排除されればこの国はもっと見通しがよくなるだろうに』
『フリッツ!』
フリッツは、自分の家族たちがあれほどの俗物であるとは思わなかったと強く失望した。そうして、キャンキャンと子犬のように吠える家族をおいて帰ってきたのだ。
あれ以来、どれだけ呼び出しを受けようとも一切の連絡を絶っている。
それにしても、とフリッツは水っぽいオムレツを前にして予てよりの疑問を口にした。
「たかが一商会にそれほどの力があるのか? 金を積めば売るのが商売人というものだろう」
愛すべき偏屈者である主人からの返答に、トーマスは『これはやはり、理解できないというより理解したくないのだろうな』と自身の考察が正しかったのだと悦に入ると共に絶望の溜息を吐いた。
たぶんきっと、偏屈な部分を持つ主人にこの説明を理解させるには長い時間が掛かるに違いないと覚悟はしていたのだ。
だが実際に、主人の一切の説得も説明も受け入れまいとする態度を前にして、頭が痛い。
しかしいつまでも理解されないままでは困るのだ。このままではせっかく育て上げた伯爵家の使用人たちが櫛の歯が欠けるようにして減っていってしまう。実際のところ既に数名が辞めていたし、辞意を伝えられてもいた。懸命に引き留めに掛かっているが、主人の意識が変わらなければ無理だろう。
「いいですか、旦那様。そもそもヴォーン商会というのは……」
せっかく偏屈な主人に理解できるよう会話の下地を作り、言いたいだけ言わせて使用人の声に耳を傾けさせる準備が整ったというのに、トーマスが逸る心を抑えてどれだけ時間が掛かろうとも納得させてみせると話の口火を切ったところで、最悪の邪魔が入った。
「フリッツ! フリッツ!!」
バァンと派手に、両手で扉を撥ね開けるようにして、フリッツの婚約者マリアンヌが飛び込んできた。
侯爵令嬢に相応しい所作も、訪ねてくる旨を伝える前触れも何も無しだ。
貴族らしいマナーに煩い彼女にしては珍しい行動に、フリッツは面食らった。
いつもの令嬢らしい笑みを捨て去った顔は怒りに歪んでいる。
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