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第五章 婚約志望者の秘密
2.違う意味で焦ってる
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今日もリーナは眠そうだ。
リーナには、実家の酒場の手伝いがある。だから、夜眠るのが遅いせいで朝も遅い。
学校に来てからしばらくは、むにゃむにゃ言っている。いつも授業中だるそうにしてて成績トップなんだから、面白いよな。
あ、よだれ垂れそうになってあわててる。
見ててあきない。ほんと面白い。
……癒されてる場合じゃない。
どうしたらいいんだ?
ロザリーを、ちらっと見てみる。なんか目が合って、深刻そうな顔で頷かれた。
いや通じ合ってねえから。頷いてる場合じゃないから。
ロザリーがアリスの居所を知ったっていうことは、ロザリーの本当の家、ハルデンツェルト公爵家がその居所を知ったということ。
公爵家では、ロザリーのことがバレていないか、そっちの方を心配しているはずだ。
この半年程何もなかったから、アリスが何か知っていて話したとは思っていないはず。そのはずだと思いたい。
……これは、親父に相談案件だな。
これで何かあったら、アリスの立場が完全にカーライル伯爵家、ひいては政変推進派ということになってしまう。
まだ、貴族の学校が始まれば、接触の機会はある。
説得のチャンスは、まだある。あると思いたい。
実家と縁を切り、その腕で身を立てる貴族もたまにいる。まして彼女は、隠されてはいるが、庶子だ。絶対に家督なんか継がない。
いい嫁ぎ先も、絶対に探してもらえない。
そのまま言うこと聞いてちゃダメだ。
カーライル家の言いなりになんかなっていたら、俺たちを引っ掻き回すために散々利用される。
その間にきわどいこともやらされる。
罪を一人で被ることになるかもしれない。
庶子なんて引き取る方が珍しいんだ。捨て駒だと気づかないとダメなんだ。
なんならカーライル伯爵家丸ごと捨て駒にするぞ。
もっと上のやつらは。
わかってんのかアリス。
……わかんないよな。
なあ、様子見してる場合じゃないんだ。
俺やロザリーと同学年、それだけで、捨て駒に、なるんだぞ。
アリス。ハンカチ、みんなに貸してたよな。
リーナのいじめは見てるだけだったけど、積極的に意地悪を言ったことは一度もない。
ロザリーが泣き出した時にはカイルと医務室に行った。
カイルが泣いた時はハンカチを貸していた。
とにかく気のつく、一歩引いた立場にいる印象。
それだけだ。悪いやつじゃ、ないんだ。
貴族魔法学園は、貴族ならば必ず行くべきところだ。ロザリーもさすがに行くだろう。リーナも希望すればなんなら飛び級でもいける。俺もつてがあるから大丈夫。
……みんなで行って、説得するか?
いや、その前に、どこかで、会えないか?
歴史の授業が、頭の上を流れていく。
正直、だりぃ。基礎もいいとこだ。こんなの5歳で覚えたっての。
かたん。ばた、ばた。
あ、やっと終わった。次は剣術か。
正直、剣術の授業で学ぶものはない。
こっそり、白の騎士団の人たちに鍛えてもらう方がよっぽどいい。
よし、さぼるか!本当に用事あるし!たまになら目立たないだろう。
「司祭様!俺、今日用事あるんで剣術休みます!」
「あ、待ってニムルス君。お父さんが来ているよ」
司祭様が示した先には、門の前で立っている親父の姿だった。
あ、もう知ってるんだ。さすが、情報早いな。
リーナには、実家の酒場の手伝いがある。だから、夜眠るのが遅いせいで朝も遅い。
学校に来てからしばらくは、むにゃむにゃ言っている。いつも授業中だるそうにしてて成績トップなんだから、面白いよな。
あ、よだれ垂れそうになってあわててる。
見ててあきない。ほんと面白い。
……癒されてる場合じゃない。
どうしたらいいんだ?
ロザリーを、ちらっと見てみる。なんか目が合って、深刻そうな顔で頷かれた。
いや通じ合ってねえから。頷いてる場合じゃないから。
ロザリーがアリスの居所を知ったっていうことは、ロザリーの本当の家、ハルデンツェルト公爵家がその居所を知ったということ。
公爵家では、ロザリーのことがバレていないか、そっちの方を心配しているはずだ。
この半年程何もなかったから、アリスが何か知っていて話したとは思っていないはず。そのはずだと思いたい。
……これは、親父に相談案件だな。
これで何かあったら、アリスの立場が完全にカーライル伯爵家、ひいては政変推進派ということになってしまう。
まだ、貴族の学校が始まれば、接触の機会はある。
説得のチャンスは、まだある。あると思いたい。
実家と縁を切り、その腕で身を立てる貴族もたまにいる。まして彼女は、隠されてはいるが、庶子だ。絶対に家督なんか継がない。
いい嫁ぎ先も、絶対に探してもらえない。
そのまま言うこと聞いてちゃダメだ。
カーライル家の言いなりになんかなっていたら、俺たちを引っ掻き回すために散々利用される。
その間にきわどいこともやらされる。
罪を一人で被ることになるかもしれない。
庶子なんて引き取る方が珍しいんだ。捨て駒だと気づかないとダメなんだ。
なんならカーライル伯爵家丸ごと捨て駒にするぞ。
もっと上のやつらは。
わかってんのかアリス。
……わかんないよな。
なあ、様子見してる場合じゃないんだ。
俺やロザリーと同学年、それだけで、捨て駒に、なるんだぞ。
アリス。ハンカチ、みんなに貸してたよな。
リーナのいじめは見てるだけだったけど、積極的に意地悪を言ったことは一度もない。
ロザリーが泣き出した時にはカイルと医務室に行った。
カイルが泣いた時はハンカチを貸していた。
とにかく気のつく、一歩引いた立場にいる印象。
それだけだ。悪いやつじゃ、ないんだ。
貴族魔法学園は、貴族ならば必ず行くべきところだ。ロザリーもさすがに行くだろう。リーナも希望すればなんなら飛び級でもいける。俺もつてがあるから大丈夫。
……みんなで行って、説得するか?
いや、その前に、どこかで、会えないか?
歴史の授業が、頭の上を流れていく。
正直、だりぃ。基礎もいいとこだ。こんなの5歳で覚えたっての。
かたん。ばた、ばた。
あ、やっと終わった。次は剣術か。
正直、剣術の授業で学ぶものはない。
こっそり、白の騎士団の人たちに鍛えてもらう方がよっぽどいい。
よし、さぼるか!本当に用事あるし!たまになら目立たないだろう。
「司祭様!俺、今日用事あるんで剣術休みます!」
「あ、待ってニムルス君。お父さんが来ているよ」
司祭様が示した先には、門の前で立っている親父の姿だった。
あ、もう知ってるんだ。さすが、情報早いな。
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