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第二章 悪役令嬢視点 断罪は終わらない

12.帰り道の異変

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そうして、店を出てしばらく。
ロダンさんとディアスさんが、私のお店での接客について、あれこれ話していた。うわ、恥ずかしい。

居酒屋の改革も、進んでいるらしい。
カウンター席を遠くに設けることで、一人でごはんを食べにくるお客さんも、居心地は改善したみたいだ。
酔い加減を見て、店員が水を差し出すサービスも始めたらしい。

私の手から離れたからね。この世界に対応できるお店になっていくだろう。
ほんと、異世界知識チートする才能は、私にはなかったみたいだ。

肩の力が抜ける。
最近は、家に帰るまで体力がなくなることはあまりなくなった。
何かコツを掴んでから、少しだけ体が楽になったんだ。そのかわりに、家に帰るとなぜか魔力が切れている。魔法使ってないのに。なんで。


ふぅ、と、ため息をつく私を、エリサさんがそっと撫でてくれた。
優しいひと。私、こんなひとになりたいな。


馬車は、ゆっくりと走っていく。

細い路地から、大通りに出ようとした時だった。
がたんと、急に馬車が止まる。

え、なに。何か道に障害物?

「ロザリーちゃん、私から離れないで」

エリサさんが、そっと馬車の後ろの窓を覗く。ディアスさんは、前の方を覗いていた。

「……予想より数が多いな。馬車は捨てた方がいい」

「そうね。前方を切り抜けましょうか」

「ああ、後ろは頼む」


え?え?なに?


「あの……お二方、いかがなさいましたかな?」

「ロダン殿、御者の方に戦闘経験は」

「元冒険者ですから、それなりには。しかし今は武器も持っておりません。……まさか」


ロダンさんが青くなる。


「ええ。数は前方八、後方五。馬車に立て籠もれる人数ではありません。道は開きますのでご安心を。一気に出ます」

そう言うが早いか、ディアスさんはバンと激しい音で馬車の戸を開け、外に躍り出た。がきぃん、ざしゅっ、と、なにかの、おとが、ひびく。


「さあ早く!ロダン、ロザリー、出るわよ!」

エリサさんが、普段とは雰囲気の随分違う張りのある声を上げた。
私たちは、エリサさんに馬車から引きずり降ろされるように降りた。足がすくんで動けなかったからだ。

見ると。

ディアスさんが、前方の敵を殆ど屠っていた。

黒いフードを被り、布で口を隠した男たちが、たくさん転がっていた。

死んではいない、と思うけど、生臭い血の匂いが辺りに充満している。吐きそうになった。

「その娘をよこせぇ!」

後ろから声がする。


ぞっとした。狙いは、私か。
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