最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明

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51話

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汗がダラダラと出て、止まらない。

『おい、シオン!?大丈夫か!?』

「オワタ……オワタ」

『しっかりしろー!!!』


今日一のコメント欄の流れ。

今日一のコメント欄の荒れ具合。
恐ろしい程に、荒れに荒れまくっている。

Twitterの通知もピコンピコンしてる。

オワタ……オワタ……。


ガクガクブルブル。
恐れていたことが発生してしまった。

炎上。

世間に人気のある芸能人、配信者が最も恐れているものだと僕は思っている。

肯定的なコメントが多いものを『バズる』と表現することが多いが、炎上はその逆。

『〇ねぇ』


『ふざけんなシオン!俺のミオたんを返せ!』


『コバンザメがよぉ!!』


『名前だけのリーダーがよくも!!』


演奏している時の穏やかだったコメント欄から一変。

それ以上の視聴者とコメントの嵐で、荒れに荒れてる。

本来であれば、このコラボ配信は世間一般的に言えば、普通のコラボだと思っている。

だけど、ミオの視聴者は他の歌い手と違う点があった。

それが、圧倒的な男性人気だということ。

顔は映さないが、後ろ姿とかは普通に映っている投稿が多い。
特にミオの場合、年齢よりも随分と若く見えることからも、1部の男性視聴者の性癖に刺さっているみたいだった。

これはVTuberに特に多いことだけど、世の中には『推しに処女性を求めるファン』、通称ユニコーンと呼ばれる者が存在している。

これは、女性VTuberに多い傾向にあるが、なぜか、本当に何故か、ミオにもユニコーンが存在している。

これは、ミオの投稿動画のコメント欄を見れば明らかな事だけど、明らかにそういったコメントを残す視聴者が確認できている。


そして、そのユニコーンの中には、過激派と呼ばれる人もいる。

男性とコラボするだけで、発狂してしまう。

配信序盤から、削除されたコメントや誹謗中傷のコメントが、多分ユニコーンだ。

そのユニコーンが、なぜかミオの視聴者には多すぎる。


分かりきってたこと、覚悟してたことだけど、自分のミスで、ユニコーンの怒りをさらに買うことになってしまった……。


「オワタ……オワタ……」

『しっかりしろシオン!』

「はっΣ(°■°)」

意識が飛びかけていた。
というか、どこかに行ってしまってた……。

今頼れるのは、自分だけ。
情けない姿はミオに見せられない。

「ごめんミオ。取り乱してた」

「うん……かなり……」

「でも、良い機会だ。ここでハッキリしておこう」

「大丈夫……?」

ニコッと笑って涙をうかべたミオの頭を撫でると、僕は配信画面に体を向ける。

「配信を切り忘れてしまって、すみません。今あった通り、僕とミオはお付き合いさせていただきます。もしも意見があるようなら、ミオではなく、僕にお願いします!絶対にミオに誹謗中傷コメント、批判コメントをするようなら、それは僕が許しません!」

ユニコーン?負けるか!戦ってやる!

いつまでも【白夜】に頼られる僕で居たくない!
好きな人くらい、自分で守らないと!

「これで配信を終了します。ご視聴頂きありがとうございました」


そして荒れるコメント欄を尻目に、しっかり配信終了したことを確認する。


よし、切れてる。


「はあああああああ」

ドッと疲れが来た。


「ごめん……本当に……ごめんなさい……私の……視聴者の……せいで」

ボロボロと涙を流し続けるミオ。

「ミオのせいじゃない。それに、僕は戦うって決めたんだ。好きな人くらい僕に守らせてよ」

「シオンくん……」

「さっきも言ったけど、ミオとの時間は心地よかったんだ。それこそ、【白夜】のみんなといる時とは違って穏やかな空間だったんだ」

まるで、俺たちといる時は穏やかじゃない言い方だなって、ツッコミが聞こえてきたような気がしたけど、気にしない……。

「本当に……私でも……いいの?」

「むしろ、今のままのミオが良いよ」

「あり……ありがと……ぅ」

「これからよろしくお願いします」

「よろしぅ……お願い……します」

ギュッと抱きしめあった。



『あのー、良い感じなとこすまんが、ちょっと良いか?』

「「あ」」


タケルとの通話が切れていなかった……。
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