最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明

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49話

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「はい、というわけでコラボ配信始まます!」

「始まます」

「今のは噛んだだけなので、スルーさせて貰えませんか?」

「始まます」

「はい!始めまーす!!」


コラボ配信にはピッタリということで、ミオのマンションにやってきた。

いつものレコーディングスタジオみたいな部屋だ。

カメラは僕が使っていたのが高性能だったから、それを使っている。

今回は僕もミオも、顔にモザイクをしっかりかけている。

僕のアカウントで配信をやっている訳だけど、コメント欄もいつもより視聴者数の増加が激しい。

『ガチやったんか……』


『ミオたんの初LIVE……なのに男とコラボ……』


『おっと、ガチ恋勢さんこんにちわ……』


『コメントは削除されました』


『コメントは削除されました』


コメント欄は案の定荒れまくっている。

大体の削除されたコメントは主にミオの視聴者が多いようだ。

「そういえば、ミオさんは初めてLIVEするんですね」

「ん…」

「もうちょっとなんか喋ってみませんか?初めてで緊張してるかもしれませんが、、話せばなんとかなりますよ!」

「違う……シオンくんが……隣にいるから……緊張する」

「ん!?ああ、ファンって言ってくれましたもんね」

その発言は1部視聴者の反感を買う。
というか、もう買ってるんだって!

「ん……」

「僕も『歌姫』と称されるミオさんとの初コラボに、とても緊張してます。進め方とか分からないんですけど、視聴者さんもご理解頂けると嬉しいです」


『コラボだと緊張するよなぁ』


『どっちから誘ったんだろな』


『それ俺も思った』


「コラボですか?動画に関しましては、ミオさんの方から誘いがありました。僕としても、世界的人気の『歌姫』ということもあって、とても嬉しかったですね」


『いや、お前の方が人気だろ!?』


『【白夜】のリーダーなんだから、お前の方が人気なんだよなぁ』


「そう思われるじゃないですか。実は【白夜】の方には、僕とコラボしたいといったありがたい誘いが来ていますが、僕個人、『シオン』としてのコラボ依頼は、ミオさんが初めてだったんです」


『あーなるほど』


『手っ取り早いのは【白夜】に送った方が良いと思うわな』


『さすがミオたん!』


『コメントは削除されました』


「今回のコラボ配信については、コラボ動画を投稿した記念として聴いてくれた視聴者の皆さんへの感謝も兼ねて、ミオさんが配信を行ってくれるとの事で、無事に始めることが出来ました」


『生ミオたん可愛い』


『顔は見えてねえだろwww』


『辛うじて銀髪は見える!美人だと予想した!』


ほっ、何とかなってるかな。

改めて、ミオの視聴者は過激な人が多い。
いや、それもそのはずだよね。

初の生配信が、男とのコラボだなんて。、

ガチ恋勢が黙ってはない……。


今も『コメントは削除されました』って通知が20個に1つはくる。

しかし、僕の心配りとは別に、ミオの不満気な顔。

頼む、今日は空気を読んで……。

「ねぇ」

「どうしました??」

「なんで敬語なの?」

「え、えっと……」

……ミオって……呼んでくれないの?」

その上目遣いはずるい!!!

モザイクをかけて画面に顔が映らないようにしているけど、僕の焦ってる様はバッチリ撮られてしまっている。

「あの、ミオさん?」

「いっぱい……出し入れしたのに?」

「曲の擦り合わせのためですね!?視聴者が混乱する言い方しないで!?」

「あれだけ……求めあったのに」

「曲のためですよね!」

「あなたのために……寝ないで……頑張ってた……のに」

「作詞を頑張ったんですよね!?昼も寝ないで!!??さっきからわざと言ってますよね!??」


炎上確定ありがとうございましたぁ!?


『おっと……』


『僕の……僕のミオたんが!!!!?!??』


『〇ね!シオン!』


『大人しく家で閉じこもってろ!!俺らのミオたんに近寄るなあああ!!!』


『コメントは削除されました』


『コメントは削除されました』


あかん。
コメントやTwitterのDMにも、大量にメッセージが来てる。


配信辞めようかな(泣)

「と、とにかく演奏!そう、演奏しましょう!」

これ以上ミオに喋らせてはいけない。
何言うか分からない(泣)

ええい!前奏弾けば何とか空気を変えれると思うし!


『お、〇イドル』


『話は終わってねぇぞク〇シオン!!』


『コメントは削除されました』


有名曲の前奏を奏でると、ミオもスイッチが切り替わったのか、スっとマイクの前に立つ。

「~♪」


『おっ』


『やばっ』


『すげぇ』


僕も鳥肌が立つ。

画面越しじゃない、生の声。
透き通っていて、なおかつ力強い声。

音の強弱、普段から感じられない感情が伝わってくる。

コメント欄も聴き入ってるのか、流れもゆっくりになる。


そのまま1曲分弾ききった。

「ふぅ」


『すげえええええええ!!』


『生声すげぇえええ!!』


『やべぇ』


といったコメントに加え、色とりどりのスパチャ……スーパーチャットで溢れるコメント欄。

「いきなり……始まるから……びっくり」

「凄かったです。次はこの曲を歌いましょう」

「敬語……いつものように」

「はい、つぎ行きまーす!!」


ちょっとそんな悲しい表情しないで!?
理由が、理由があるんだ!!

口パクでごめんと謝りながらも、僕は演奏を続ける。
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