最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明

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24話

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「ふん~ふふん~ふ~ん♪」

鼻歌交じりに、モンスターを薙ぎ払うとか、どこのイカれた剣士なんだろうか。


腕を振るうだけで、バッタバッタとモンスターの首が消し飛んでいる。

腕を振るうとは言っても、僕にはその腕の動きが全く見えない。

ブレたかな?って思った時には、対峙したモンスターの首がチョンパされていた。


「虐殺シーンですかね」


『強えぇぇえええ!!』


『頭おかしいだろ。あんなんで普通に倒せるわけないだろ!!!???』


『やっぱりナツくんかっこいいぃ!!』


『いい男~♪』


「かっこいいのは分かるんですけど、なんですかね……タケルは暴走列車って感じですけど、ナツの場合は、なんか実力に差がありすぎて、高レベルの勇者が低レベルの魔物を相手に無双してるようにしか見えませんね……」


『実際その通りだわwww』


『ここ本当にソロ攻略者がいないのか?ってレベルだわwww』


「流石に刀ばかりはシオンも飽きるよね……今度はこっちだな」


何を思ったのか、手にしていた刀をポイッと投げ捨てると、その刀は消え、ナツの手には槍が握られていた。

しかも投げ槍くらいの長さに、黄金に輝く刃。

完全に投げるための槍だ。

「せーの……うりゃあ!!」

その掛け声とは裏腹に、ものすごい速さで、槍が飛んで行った。

「は??」


「よしっ、行こう!」


「ふん~ふふん~ふ~ん♪」

また鼻歌を歌いながらナツは歩みを進めた。


落ちているのは、槍に射抜かれたのか、モンスターの素材や宝石がゴロゴロと転がっていた。

「ええ……」

驚きを通り越してもう完全に引いた。

『ヤバすぎやろwww』


『確かあの槍ドロップ品だぞ?』


『レベル6ボスのだろ?あれの扱いってあんなんでいいのか?』


「あれドロップ品なんですか?」


『そう』


『名称グングニル』


『投げたら戻ってくるとか、殺傷性が高すぎるとかなんとか……』


「北欧神話ですか……」


前に本で読んだことがあるぞ。

確か、北欧神話の主神であるオーディンが持ってた槍だったと思う。

コメントで言ってたように、投げたら戻ってくるとか、狙った的は決して外さないとか言われてる。

でも、本で見たのとさっきナツが投げたグングニルは全く違う。

「ダンジョンには神話に関する武器とか道具があるんですかね?」

『聞いたことない』


『今のところ、神話に出てくる武器の名前が使われてるのは、グングニル、レーヴァテイン、エクスカリバー、ミョルニルぐらい』


『おお、めっちゃ聞いたことある名前だ』


『でもこれ、レベル6以上のダンジョンでしか確認されてない』


『もっと探索したら見つかりそうだな』


僕でも聞いたことある名前が多いな。

すごく気になる。

「お、ここにあったのか」

グングニルは、ボス部屋の扉に突き刺さっていた。


『ふぁ???』


『飛びすぎやろ!!!』


『軽く投げててそこ???』


『神話の武器ヤバすぎやろ』


「本当に神話に出てくるような武器……なんでしょうかね。研究しなきゃいけないんじゃ……まあいいか」


「ちょっとはタフなモンスターが居れば良かったのに、もうここかぁ。40分か……素材集めに時間を割きすぎたな。ここは反省だけど、初めてこれを使えたし、結果オーライ!」


「どこもオーライじゃないでしょ……」


『もう驚きすぎてシオンが疲れてらwww』


『俺も驚き疲れた……』


『こうなることなら先にアーカイブ見てくればよかったわ』


『でもシオンと一緒に驚けたからこれはこれで良しだ』


「さて、ボス部屋行きますか」


今度は最初に持っていた剣を手にし、ボス部屋の扉を開けた。


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