最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明

文字の大きさ
上 下
20 / 64

20話

しおりを挟む
再び動画を再生させる。


「早速、出てきたみたいだね」

「しゃあ!かかってこいや!!」

「ぎゃおおおおおおお!!!」


出てきたのは、めちゃくちゃデカいドラゴンだった。

「は??」

『でけぇぇぇぇぇ』


『えぐうううぅぅ』


『でもこれ勝ったんだよな?ヤバすぎんか』


『まだ序盤だよ??』


『たしかレベル6ダンジョンのボスがドラゴンだったような……』


「レベル6ダンジョンのボスが最初に出てくるんですか!?まだ序盤の序盤ですよね……でも、この動画の感想頼むって言ってたのは2人なので、攻略しているのは分かるんですけど……とりあえず見てみましょうか」


「しゃあ来いやぁ!!!」


タケルは両手に何も持っていなかった。

「ん?」

目をゴシゴシと擦って、もう一度画面を見る。

タケルは両手に何も持っていなかった。


「ぎゃおおおおおおお!!!」

ドラゴンの咆哮がタケルを襲う。

後から聞いた話(ユイ説明)だけどこれは、威嚇のためや、仲間を呼ぶため等の理由があるみたいだ。

この場合だと、前者の威嚇だろう。

画面越しでも分かるくらいの爆音に、耳が痛くなる。

となると、実際に咆哮を受けたタケルやナツは何倍も大きい音を聞いたことになるだろう。

それに、震えが止まらない。


僕を含め並の冒険者だと、萎縮してしまい、動けないところを殺られるらしい。

ガクガクと震えながらも、僕はタケルの様子を見守った。


「うるせえええええええええ!!!!」

「ぎゃおおおおおおお!!???」

ドラゴンの腹部に、タケルの正拳突きが突き刺さる。

「これからこの映像はシオンが見るんだよ!シオンがびっくりするだろうが!!!」

ドラゴンの腹部を両手で抱える。
額に血管が浮かび上がる。

そして、ちゃぶ台返しのように、思いっきり腕をあげる。

「は?」

「どおりゃあああああ!!!!!!」

どしーん!!とドラゴンが倒れた。

「???」

さらに、いつの間にか手に持っていた2mはあろう斧を、軽々と振りかぶった。

「はぁ!!!」

勢いよく叩きつけられた斧は、ドラゴンの身体を真っ二つに切り裂く。


真っ二つになったドラゴンは、大きくて紫色に輝く宝石と羽、牙を残して、光の粒子となって消えた。


「ふいぃ」

「お疲れ様タケル」

「おう!」


「??????????????」


『シオン固まってる笑笑』


『俺もだわ。なんだ、今の』


『あのでかいのを持ち上げた??』


「す、すみません。ちょっと混乱してました。ええっと、ドラゴンを持ち上げた?そして真っ二つ??何一つ意味がわかりません」


画面のタケルはやりきった表情だし、ナツも涼し気な表情だし。

なにこれ、これが普通なの?


「えっと……もしかしてタケルの戦闘スタイルって……」


『基本、素手で突っ込んで行く』


『真っ先にモンスターの攻撃を受けようとする変態』


『あの体つきは俺は好み』


おっと、危ないコメントがあった気がするけど、スルーしていこう。

『俺は2人の攻略配信見たけど、タケルの場合、これが1時間続くぞ』


「マジですか……なんかもう、タケル人間じゃないのかと思い始めましたよ」


『今更かよ』


『いや、でもシオンは初めて見るんだ。この反応が普通だろ?』


『たしかに。俺たちは見続けてきたからあまり驚かなかったが、世界的に見ても、タケルの戦闘スタイルはおかしいわ。再確認出来た』

「これが始まったばかりなんて……」


コメント欄によると、複雑なギミックやトラップはないが、その分凶悪なモンスターが出てくるらしい。


つまり、その凶悪なモンスターに素手で突っ込んで行く姿が画面に映ることになる。


「どっちがモンスターなんでしょうね……」


そう呟いて、動画の再生を続けていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...