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さっそく届いたものを使って、料理を作った。
肉はそのまま使うんじゃなくて、トンカツみたいに、衣をつけて揚げたり、1口大にして唐揚げにしたり、野菜はスティック状やちょっと煮て煮物風にしたり……、と、せっせと料理を作っていった。
そうこうしているうちに、リビングには、4人がいた。
「おーっす!来たぞ!!」
「いいにおーい!!」
「お邪魔します」
「僕も手伝うよシオン!」
朝にニュースに出ていた【白夜】の4人だ。
「やあみんなおかえり。料理も丁度出来たよ。ご飯にしよう!」
みんなから一人暮らしを勧められた最大の理由が、これだ。
レオナの転移魔法は、魔力消費は多いみたいだけど、魔力がある限り何時でも使う事ができる。
更にレオナは、魔力がパーティーの中でも段違いに多い。
4人を移動させることは容易だから、こうやって何時でもここに来ることが出来るという訳だ。
家賃も出そう思い、バイトを始めようと思ったけど、
「金は溜まっていく一方だから」
とのことで、ここの家賃は出してもらっている。
ダンジョンの中に存在する未知なるものは高値で売れる。
特にレベルの高いダンジョンに潜れば潜るほど、価値も高くなる。
普段からダンジョンに潜っているみんなの財産はとんでもないことになっている。
ここまでやってもらうと、流石に申し訳ないから、せめてみんなのやすらぎの場所になればいいなと思って、料理を習得した。
「また料理の腕が上がったかい?」
ナツがキッチンまで来てくれた。
「日々練習してるよ。あっ、できた料理は置いてるから運ぶの手伝ってくれない?」
「もちろんさ。僕らの楽しみだよ」
「これくらいしか出来ないからね」
「いいや、誰にもできることじゃないよ。流石リーダーだね」
「うーん……」
みんな僕をリーダーって言ってくれるけど、いつも思うけど、僕は親友であって、パーティーのリーダーじゃないと思う。
モヤモヤした気持ちになりつつ、最後の料理をみんなのいるリビングまで運んで行った。
「お疲れ様さまみんな!」
「久しぶりだな!シオン!」
「久しぶり!って1週間ぶりじゃないか!」
「ダンジョンに居たら時間感覚おかしくなるわよ」
「あはは、たしかに。シオンさんの料理が恋しくなりますよ」
「確かにだな!シオンの料理が食べたくて攻略を終わらせて来たぜ!」
「えっ、それは流石に嘘だよね」
「「「「いや、ほんとだけど?」」」」
えぇっ……。
「とりあえず冷めないうちに食べようか」
「そうだね。みんなコップは持った?」
「飲み物は注いでおいたぜ!」
「タケルくんは1本飲んでしまってたじゃないですか!」
「我慢できなくってよう……」
「とりあえず乾杯しよう。シオン、よろしく」
「え、えっと、【白夜】のレベル6ダンジョン攻略を祝って……乾杯!」
「「「「かんぱーーーーい!!!」」」」
食事が始まった。
「タケルなんか真っ先にモンスターに突っ込んでいくのよ!」
「はぁ?レオナが魔法をぶっぱなすから俺の出番がほとんどないんだろうが!自重しろや!」
「あんたが、怪我したら誰がモンスターの攻撃を引き受けないといけないのよ!」
「2人ともどうどう」
会話の内容はダンジョン攻略に関わることが多い。
配信はしているものの、配信中はナツが仕切っていて、モンスターと戦いながら、コメントへの返答を行っているため、あまり喋ることが出来ないらしい。
らしいというのは、配信しているところを僕は見たことがないからだ。
見たことない……じゃなくて、見れない。
みんなが強いことは知っているけど、モンスターの攻撃で怪我をする姿を見たくないからだ。
「相変わらずみんなは強いね」
「いやいや、僕らがこうやってダンジョン攻略できるのはシオンおかげでもあるんだよ」
「絶対そんなことないよね。リーダーなんてニュースで言ってたけど、リーダーらしいこと一つもやってなくない?」
「は?」
「え?」
「ん?」
「?」
4人とも驚いている。
えっ、なんで?
「確かにシオンははっきりいって弱いわ。運動オンチはいつもの事だし」
「うんうん。鬼ごっこはいつも狙われてたもんなぁ」
「でもねシオン。あなたはサポートに特化し過ぎてるのよ」
「サポートなんて1回もやったことないけど?」
「こうやっていつも料理を作ってくれるじゃないか!」
「いや、これは皆んな肉とか野菜とか持ってきてくれるし、家賃も払ってくれるからそのお礼だよ?」
そう言うと、レオナとナツは頭を抑える。
「うーん、そう来たか……」
「まあ、今はそれでいいんじゃない?シオンの力は内緒にするって決めてるわけだし」
「僕の力?」
「いや、こっちの話。あんたは気にしないでいいわ。早く食べないとタケルがさっきからバクバク食べてるみたいだし」
「すみません、止めるにも早すぎて……」
「いやぁ、ガチでうめぇわ。俺の箸は誰にも止められねぇ」
「とりゃあ!!」
「ぎゃあああ!!頭が割れる!!」
タケルの勢いをレオナのチョップが止めた。
何枚か焼いたステーキの6割くらいをタケルが平らげていた。
早すぎる……。
「ちゃんとシオンの分は残してるぞ」
「私たちの分も残しなさいよ」
「ユイ、この天ぷらめちゃくちゃ美味しいね」
「分かります!この大葉の天ぷらはお気に入りです」
自由すぎるいつもの会話に、ふと疑問に思ったことがある。
「いつもみんなが置いてくれるこの野菜とか肉とかって、ユイのお家から分けてくれるって話だけど、いつも4人がお礼を言ってるって言ってたし、今度僕もお礼に行きたいんだけど」
「「「「…………」」」」
4人とも黙った。
え?
肉はそのまま使うんじゃなくて、トンカツみたいに、衣をつけて揚げたり、1口大にして唐揚げにしたり、野菜はスティック状やちょっと煮て煮物風にしたり……、と、せっせと料理を作っていった。
そうこうしているうちに、リビングには、4人がいた。
「おーっす!来たぞ!!」
「いいにおーい!!」
「お邪魔します」
「僕も手伝うよシオン!」
朝にニュースに出ていた【白夜】の4人だ。
「やあみんなおかえり。料理も丁度出来たよ。ご飯にしよう!」
みんなから一人暮らしを勧められた最大の理由が、これだ。
レオナの転移魔法は、魔力消費は多いみたいだけど、魔力がある限り何時でも使う事ができる。
更にレオナは、魔力がパーティーの中でも段違いに多い。
4人を移動させることは容易だから、こうやって何時でもここに来ることが出来るという訳だ。
家賃も出そう思い、バイトを始めようと思ったけど、
「金は溜まっていく一方だから」
とのことで、ここの家賃は出してもらっている。
ダンジョンの中に存在する未知なるものは高値で売れる。
特にレベルの高いダンジョンに潜れば潜るほど、価値も高くなる。
普段からダンジョンに潜っているみんなの財産はとんでもないことになっている。
ここまでやってもらうと、流石に申し訳ないから、せめてみんなのやすらぎの場所になればいいなと思って、料理を習得した。
「また料理の腕が上がったかい?」
ナツがキッチンまで来てくれた。
「日々練習してるよ。あっ、できた料理は置いてるから運ぶの手伝ってくれない?」
「もちろんさ。僕らの楽しみだよ」
「これくらいしか出来ないからね」
「いいや、誰にもできることじゃないよ。流石リーダーだね」
「うーん……」
みんな僕をリーダーって言ってくれるけど、いつも思うけど、僕は親友であって、パーティーのリーダーじゃないと思う。
モヤモヤした気持ちになりつつ、最後の料理をみんなのいるリビングまで運んで行った。
「お疲れ様さまみんな!」
「久しぶりだな!シオン!」
「久しぶり!って1週間ぶりじゃないか!」
「ダンジョンに居たら時間感覚おかしくなるわよ」
「あはは、たしかに。シオンさんの料理が恋しくなりますよ」
「確かにだな!シオンの料理が食べたくて攻略を終わらせて来たぜ!」
「えっ、それは流石に嘘だよね」
「「「「いや、ほんとだけど?」」」」
えぇっ……。
「とりあえず冷めないうちに食べようか」
「そうだね。みんなコップは持った?」
「飲み物は注いでおいたぜ!」
「タケルくんは1本飲んでしまってたじゃないですか!」
「我慢できなくってよう……」
「とりあえず乾杯しよう。シオン、よろしく」
「え、えっと、【白夜】のレベル6ダンジョン攻略を祝って……乾杯!」
「「「「かんぱーーーーい!!!」」」」
食事が始まった。
「タケルなんか真っ先にモンスターに突っ込んでいくのよ!」
「はぁ?レオナが魔法をぶっぱなすから俺の出番がほとんどないんだろうが!自重しろや!」
「あんたが、怪我したら誰がモンスターの攻撃を引き受けないといけないのよ!」
「2人ともどうどう」
会話の内容はダンジョン攻略に関わることが多い。
配信はしているものの、配信中はナツが仕切っていて、モンスターと戦いながら、コメントへの返答を行っているため、あまり喋ることが出来ないらしい。
らしいというのは、配信しているところを僕は見たことがないからだ。
見たことない……じゃなくて、見れない。
みんなが強いことは知っているけど、モンスターの攻撃で怪我をする姿を見たくないからだ。
「相変わらずみんなは強いね」
「いやいや、僕らがこうやってダンジョン攻略できるのはシオンおかげでもあるんだよ」
「絶対そんなことないよね。リーダーなんてニュースで言ってたけど、リーダーらしいこと一つもやってなくない?」
「は?」
「え?」
「ん?」
「?」
4人とも驚いている。
えっ、なんで?
「確かにシオンははっきりいって弱いわ。運動オンチはいつもの事だし」
「うんうん。鬼ごっこはいつも狙われてたもんなぁ」
「でもねシオン。あなたはサポートに特化し過ぎてるのよ」
「サポートなんて1回もやったことないけど?」
「こうやっていつも料理を作ってくれるじゃないか!」
「いや、これは皆んな肉とか野菜とか持ってきてくれるし、家賃も払ってくれるからそのお礼だよ?」
そう言うと、レオナとナツは頭を抑える。
「うーん、そう来たか……」
「まあ、今はそれでいいんじゃない?シオンの力は内緒にするって決めてるわけだし」
「僕の力?」
「いや、こっちの話。あんたは気にしないでいいわ。早く食べないとタケルがさっきからバクバク食べてるみたいだし」
「すみません、止めるにも早すぎて……」
「いやぁ、ガチでうめぇわ。俺の箸は誰にも止められねぇ」
「とりゃあ!!」
「ぎゃあああ!!頭が割れる!!」
タケルの勢いをレオナのチョップが止めた。
何枚か焼いたステーキの6割くらいをタケルが平らげていた。
早すぎる……。
「ちゃんとシオンの分は残してるぞ」
「私たちの分も残しなさいよ」
「ユイ、この天ぷらめちゃくちゃ美味しいね」
「分かります!この大葉の天ぷらはお気に入りです」
自由すぎるいつもの会話に、ふと疑問に思ったことがある。
「いつもみんなが置いてくれるこの野菜とか肉とかって、ユイのお家から分けてくれるって話だけど、いつも4人がお礼を言ってるって言ってたし、今度僕もお礼に行きたいんだけど」
「「「「…………」」」」
4人とも黙った。
え?
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