最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明

文字の大きさ
上 下
3 / 64

3話

しおりを挟む
「なぁなぁ、今日のニュース見た?【白夜】のニュース」

「見た見た。凄いよねぇ!」

「ナツかっこよかったよね!!」

「めっちゃイケメン!!生ナツ様を見てみたい!!」

教室内も、【白夜】の話題で溢れていた。


同じ高校生ということで、親近感が湧くのかもしれない。
机に突っ伏しながら、僕はクラスメイト達の会話を盗み聞きする。


「シオン!!おはよう」

「ハルトくんおはよう。今日も元気だね」

「そういうシオンは朝から暗いな!もっと熱くなれよ!」

「どこの選手のマネかな?朝は眠くならないの?」

元気に話しかけてきたのは、高校に入学して初めてできた友人のハルトくんだ。

ハルトくんは誰とでも仲良くすることが出来る、僕からすると憧れの人物だ。

そんなハルトくんは、入学初日から同じクラスだった僕にも気軽に話しかけてくれるため、仲良くなることが出来た。

「シオンも【白夜】のニュースを見たか?」

「うん。凄いよねぇ」

「ああそうだな。俺は特にナツの言っていたことが気になったぞ!」

「やっぱりハルトも気になるか!!」

ハルトは普段の話し声でも声が大きいため、周りの耳に入りやすい。

特に【白夜】の話題だったため、周りのクラスメイトもそれぞれの話を中断し、ハルトに話しかけている。

「【白夜】のリーダー!!今までナツがリーダーだと思っていたのに、リーダーが他にいることに驚いた!」

「そうよね!今までずっと4人しか映ってないから、4人パーティーだって思ってた!!」

「めっちゃ気になるよね!」

「ナツは俺たちと同じ高校生ってことだけだけ言ってたな」

えっ?そんなこと言ってたの?

最後までニュースを見てなかったから、分からなかったんだ……。

「身バレ防止のためにSNSを一切やってないらしいから、うちらと全然格が違うよね。流石最強パーティのリーダーって感じ」

「分かる!今までダンジョンに潜ったことが無いって話だし、行かなくても4人で強いから、リーダーはもっと強いのよきっと!」



おーっと、知らないところで【白夜】のリーダーの価値が爆上がりしてるんだけど……。



あと僕、一応TwitterもYouTubeもやってるんだけど??

対して4人は【白夜】という名前でYouTubeアカウントを作って、たまにダンジョン配信を行っている。

配信も多様化しており、ダンジョンの攻略する様子を配信する、ダンジョン配信が人気コンテンツとなっている。

中でも【白夜】のダンジョン配信は、高校生にして世界トップクラスのパーティーであることに加え、各々が別々の個性を発揮しており、それが人気になるためのひとつとなった。


カメラは自動で撮影する高性能のドローンのため、誰かが撮影者となる、ということがないため、4人も自由に行動出来ている。


「そういや、リーダーの名前はシオンだったよなぁ」

僕を見ながらハルトくんは言う。

クラスメイトも釣られるように、僕を見た。


が、

「お前は……違うな」

「確かに、三神くんは、その、」

みんな微笑ましい目で僕を見ている。

そりゃそうだ。
体育の運動音痴ぶりを遺憾無く発揮しているからだ。


僕は真面目にやってるのに……。

バレーボールは手に当たらない。

ラケットはスマッシュを打とうとしてラケットを振っても、空振りして羽根が頭に当たったり……。


ドッチボールでは窓にされる。


こんなのがリーダーなんてないだろう……。

うん、僕もそう思う。



クラスメイト達の微笑ましい目が、今の僕には辛かった。



今日1日、いつも以上にみんな優しかった気がする……。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後、部活なんて入ってない僕は、1人家に帰った。

高校生になり、自分と4人の希望で1人暮らしをし始めた。

最初は家事に慣れなかったけど、今は何とかなっている。


リビングに入ると、机の上に白い箱が置いてあった。


また、みんな《・・・》からか。

中を開けると、冷凍された肉や新鮮な野菜が入ってあった。


『シオンへ。今日もたのむ!!』


手紙付きだった。


「りょうかい!」


僕はエプロンを身に纏うと、さっそく料理を始めた。


これが4人が僕に1人暮らしを希望させた理由だった。

4人の中の1人、レオナは魔法に長けている。
その実力は、探索者の中でも1番上だと僕は思ってる。


というのが、転移魔法を使えるという点だ。

白い箱はナツミが送って……いや、置いていったんだと思う。


最初はびっくりしたけど、段々平気になった。


毎日届くわけではないけど、これが送られてきたということは、『ものすごくお腹がすいてるから、作っておいて』という、4人からのメッセージだ。

1週間から2週間に1回のペースで僕が料理を振る舞い、みんなでご飯を食べている。


僕が好きな時間だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜

シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。 アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。 前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。 一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。 そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。 砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。 彼女の名はミリア・タリム 子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」 542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才 そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。 このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。 他サイトに掲載したものと同じ内容となります。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...