最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明

文字の大きさ
上 下
1 / 64

1話

しおりを挟む
『また快挙達成です!!高校生探索者パーティーの【白夜】がレベル6ダンジョンを攻略したことが分かりました!』

テレビに映ったニュースキャスターのお姉さんが、興奮を隠せない様子で語っている。


「ぶふぅーー!?」

同時に僕は飲んでいた牛乳を吹き出した。


「ゲホッ、ゴホッ、またクリアしたんだ……」


今から数十年前。
全世界にダンジョンが突如として現れた。

そこには地球に存在しない未知なる物が多数存在していた。

現代の技術では到底作り出すことが出来ない未知なる物を各国は求めた。

しかし、ダンジョンには見た事のない凶悪な怪物・・・・モンスターがはびこっており、入る者は多大な犠牲をはらった。


それでも各国は人を送り込んでいると、その中で生き残った者達は、モンスターの肉片を食すなど、次第にダンジョンに適応していき、しだいに体が強靭になり、通常の人とはかけ離れた遥かに人を凌駕した肉体と能力を手に入れた。


これが『探索者』と呼ばれる者達が誕生した瞬間だった。

【ダンジョン】は世界で数ヶ所しか存在しない。


ダンジョンがある国が探索し、未知なるものを独占することになると、世界のパワーバランスが崩れてしまう。

逆にダンジョンがない国が奪おうと戦争をおこしかねない。

それを恐れた各国は、全世界の首脳を集め、【ダンジョン協定】が結ばれ、ダンジョンがある国は、ある程度の恩恵は受けるが、資格をもった『探索者』は他国の者でも拒絶する事は出来ない。

初めて全世界のトップの全会一致で結ばれた協定だった。



【白夜】は、2年前より全世界に一気に名前を轟かせたパーティーだ。

圧倒的な強さも理由の一つだが、最大の理由は年齢の若さだ。


【白夜】の名前を有名にしたのが、レベル6ダンジョンの攻略動画だった。


ダンジョンの難易度はレベルによって分けられている。


ちなみに最大レベルは8だ。


だからこそ、高校生という最年少パーティーがレベル6ダンジョンを攻略したということがまさに異常だった。



「さすが……みんなは凄いなぁ……」



テレビに映るみんなを見て、僕は呟いた。


そう、トップクラスの最年少パーティー【白夜】のメンバーは、僕の幼なじみで、大切な親友達だ。


『今回は、なんと【白夜】のパーティーのリーダーに、取材陣の中で初めてインタビューすることが出来ました!』


恐らくたくさんのマイクに囲まれて、1人の美少年が画面に映りこんだ。

金色の髪をなびかせた爽やか風なイケメンだ。
実際に中身もイケメンだ。

『今回.レベル6ダンジョンを攻略した……ということで、リーダーのナツさん、どうでしたか?』

「仲間たちのおかげで大した怪我もなく攻略することが出来て良かったと思います」

『た、確かに怪我とかないですもんね』

ナツの一言で質問したリポーターさんが軽く引いていた。

『今まで、学生でレベル6ダンジョンを攻略したパーティーがいた事はなかったので、皆さんが最年少攻略パーティーとなりますが、ナツさんはこのことを1番にどなたに伝えたいですか?』

それは僕も気になった。

やっぱり家族に伝えたりするのかなぁとか考えたが、画面に映るナツは、笑いながらカメラ目線で言った。

『やはりリーダー《・・・・》のシオンですね』


『えっ!?ナツさんがリーダーではないんですか??』

『えぇ。よく4人パーティーって勘違いする人が多いんですけど、実は5人のパーティーなんです。多分この中継見てると思いますよ』


ビクッ!!っと、僕の体が震えた。




そう、【白夜】のパーティーは………僕だ。





………やっぱりなんで僕なの?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜

シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。 アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。 前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。 一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。 そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。 砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。 彼女の名はミリア・タリム 子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」 542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才 そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。 このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。 他サイトに掲載したものと同じ内容となります。

Red Assassin(完結)

まさきち
ファンタジー
自分の目的の為、アサシンとなった主人公。 活動を進めていく中で、少しずつ真実に近付いていく。 村に伝わる秘密の力を使い時を遡り、最後に辿り着く答えとは... ごく普通の剣と魔法の物語。 平日:毎日18:30公開。 日曜日:10:30、18:30の1日2話公開。 ※12/27の日曜日のみ18:30の1話だけ公開です。 年末年始 12/30~1/3:10:30、18:30の1日2話公開。 ※2/11 18:30完結しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

処理中です...