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卒倒するお父様とお兄様
しおりを挟む信じられない。
お母さまから聞いたのだけど、ネイサンからの結婚申し込みの手紙が届いた時、お父様とお兄様は気絶したらしい。
お父様はなんとなくそんな気がしていたけど、お兄様ったら何よ。自分以外に依存することを勧めていたくせに、いざ恋人ができたらショックを受けるってどういうこと?
そんなお兄様に、ルシールさんは軽蔑の眼差しを向けていたとかいないとか。……いや、たぶんルシールさんはいつもと変わらない目で見ていただけな気がする。
とりあえず、私たちは無事卒業パーティーに一緒に出席することができた。
気の毒だったのは、ケイン師範がノリノリだったことだ。
燕尾服を新調しようかな、我々には娘がいなかったから、なんか親心だな。いや、年齢的に祖父心か、なんてオスギー夫人に話していたようだ。
パートナーをネイサンにすることを伝えると、後からネイサンにも絡んでいったらしい。
「古武術の寝技を閨で使うなよ、武道への冒涜だ」
そんなことしませんよ、とネイサンは苦い顔であしらったようだけど。
セディは変態が学院中にバレたせいか、しばらくパートナーは決まらなかった。一応数少ない友達だし、大丈夫かしら、とハラハラしていたんだけど、結局は保健室のバーバラ先生に頼んでいた。
卒業後、北方辺境伯領の雪溶けを待って、王都で結婚した私たち。
ネイサンの弟のヒューバートさんとグレイシーさんの結婚式の日取りが近くなり、お兄様には好都合だったみたい。
さらにその後、無事開局届を出して店を持った。
私は経営面を夫のネイサンに任せ、ネイサンは店舗兼自宅からホテルに通勤している。
コンシェルジュは続けるんだって。なんだかんだで、人の世話をするのは好きみたいだから。
ところで、グレイシーさんはアルケミー研究所で働いていたエリートだ。転職して医大付属の大きな病院の薬局で錬金術師として働いている。それでヒューバートさんと知り合ったんだって。
こちらも化学反応を起こしたい時に、優先的に調剤の手伝いをしに来てくれることになった。ネイサンのコネのおかげだ。
ネイサンはしばらく敬語が抜けずに苦労していたし、私もなんやかんやで横柄な妻だったわけだけど、一種のプレイみたいでそれもいいかな、って思うようになった。
プレイと言えば、どうやら私がやたら縛りたかったのは、独占欲からだったみたい。
ネイサンが手に入ってからは、縛りたいという欲求はすっかり消えてしまった。
でもその代わりに……。
「お嬢さ──メイベル」
夜遅くに帰ってきた執事──じゃない私の夫が、ベッドに忍び込んでくる。ムニャムニャ目を擦りながら起きると、ロープをピンと引っ張ったネイサンがにっこり笑っていた。
「今日も、縛るよ。お仕置きだ」
「ちょ……何も悪いことしてないわよ!?」
「可愛すぎるのがギルティだ」
ネイサンに、変な趣味を植え付けてしまった……。
完
ご愛読ありがとうございました。
※セディことセドリックの短編があるの。だからお気に入り抜かない方がいいと思うの。ね?
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素敵な物語ありがとうございます😊
カヨワイさつき様あざまあああす!
ヽ(*>□<*)ノキャ━━ァ♡♡
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あ、おちこんでた、だった(´>∀<`)ゝ
チョイ役のセドリック編もあるんすよ! バーバラ先生です!
また何か投稿しましたらよろしくお願いいたします!
ε٩(๑>▽<)۶з
\( 'ω')/ヒィヤッハァァァァァァァア!!! 感想や!
🐥⸜(*ˊᗜˋ*)⸝🐥うれぴよ
基本、鬼更新なんですよね(´>∀<`)ゝ
やっぱセバスチャン世代ですよね!
ちびさま、ちびさま、すぐセディ編も載せるんで!
そちらもゆっくりでも読んでいただけると嬉しゃす!
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仕事から帰ったらすぐやるから!
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