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ハロウィンの夜 10 ~執事視点~

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「ま、待って、な、なな、なんで縛るの?」
「お嬢様が逃げようとするからです」

 手首と足首を拘束したお嬢様の首に、さらに別のロープを二つ折りにして掛ける。輪っかになるように鎖骨の辺りで結んだ。

 そのまま等間隔にいくつか結び目を作り、薄い布地に包まれたたわわな胸の谷間に通した。ロープは臍の辺りを通過し、ついには股間に滑り込んだものだから、お嬢様はビクッと体を震わせる。

 おや、結び目が変なところを刺激したかな?

 お嬢様は顔を真っ赤にして抗議の声を上げた。

 おかしな人だな、いつも自分がやっていることじゃないか。

「ロ、ロープが、お尻の割れ目に食い込むわ!」
「ぷりんとして可愛いですよ」

 俺は、お嬢様の首にかけたロープのうなじ部分にその先を引っ掛けたあと、背中から前に回して、結び目と結び目の間に交差させていく。俺の手つきを見て、お嬢様は驚愕していた。

「ど、どうして縛り方を知っているの?」

 どれだけ解かされたと思っている! いいかげん覚えるわ!

 しかし完成して見れば……。

 俺は顎に手を置き、しげしげとベッドの上を眺めた。腹部の菱形が少し歪んでいるように思える。まだまだ未熟。

 おそらくは、俺の手が震えているせいだ。何かの依存症に陥っている患者のように、武者震いが止まらない。

 その震えは、お嬢様のいやらしい体を見るとよけい酷くなって、俺は気がつくと薄いミニワンピースに手をかけていた。

 悲鳴のような音を立てて、布地が裂けた。俺が破いたのだ。

 随分簡単に破けたな、ティッシュペーパーか! チャチな手作りのコスチュームなど、俺の握力にかかれば紙切れ同然ということか?

 後には、マイクロビキニ姿で縛られたお嬢様が転がっていた。

「も、もう分かったわ。辱めはもうやめて、こんなお仕置き耐えられない」

 お嬢様には縛られることの方が屈辱のようで、わなわなしている。

「え? これがお仕置きだとでも?」

 心外のあまり、驚愕の声が出た。何を言っているんだ、お嬢様は。

「お仕置きはこれからでございますよ」

 お嬢様が若草色の瞳を見開いた。

「え、なにを──」

 俺はベッドに腰掛け、お嬢様に手を伸ばす。くびれたお嬢様のウエストを掴み、ひょいと持ち上げ、その柔らかくいい匂いのする体を、俺の腿の上にうつ伏せに横たわらせた。

 黒い水着に包まれた尻には、ロープがくい込んでいる。俺はパンティの両サイドの紐を解き、引っ張って取り去った。
 
 お嬢様が青い顔で俺を振り返る。

「ね、ねえ、お尻丸出しよ? ロープが直接──」

 おもむろに手を挙げた俺に、お嬢様の瞳が恐怖でさらに見開かれた。

 ──パシンッ。

 お嬢様が悲鳴を上げる。

 そう、お尻ペンペンだ。ただし、エイベル坊っちゃまと違って、俺のお仕置きは生尻にやる。

 ──パシンッ。

 ひっ! というお嬢様の悲鳴は可愛い。白い桃のような尻にみるみる手形がついて、まるで俺のものだというマークを付けているようだ。

 俺は少し心配になった。

「痛いですか?」
「……痛くはないけど、あなた使用人のくせにこんなことして──」

 ──パシンッ!

「くふっ! や、やめなさい! お兄様でもないくせに──」

 ──パシンッ!

「やんっ! こ、こんな屈辱酷いわ!」

 涙声じゃないか、可愛いな。

「お嬢様、お仕置きですから。反省するまでやめませんよ」

 ──パシンッ!

 柔らかい尻肉が揺れて、可愛い。でも安心して、痛くはしないから。

 それでも、やはり下の者から与えられる屈辱には、耐えられないのだろう。お嬢様はあっさり折れた。

「もうしないわ! ご、ごめんなさいっ」
「何をです?」

 お嬢様が黙ったので、俺はまたツルツルでスベスベの丸い尻を打った。

「観覧車でキスしてごめんなさいっ! もうしないわ」

 俺は手を止めた。

「え?」

 俺は唇に触れた柔らかい感触を思い出した。あれは、お嬢様?

「あと、惚れ薬を飲ませてごめんなさいっ!」
「お嬢様──」
「縛って既成事実を作ろうとしてごめんなさい! 反省してるわっ!」

 俺は眉間を押さえて軽く揉んだ。

 お嬢様……あなたって人は……。

「それに、お漏らししてしまってごめんなさい」

 俺はハッとなってお嬢様の脇の下に手を入れ、持ち上げた。つつっと網タイツに包まれた腿を、透明な粘液が滑り落ちた。

「本当だ。お嬢様、使用人に叩かれて感じたのでございますか?」
「何を言ってるのよ、早くロープを──あっ!」

 俺はお嬢様を抱えあげ、膝に座らせた。ズボンが汚れるだろうが本望だ。

「観覧車で、私が寝ている時にキスしたのですか? 勝手に?」

 お嬢様の眉尻がひゅんと下がった。

「わ、悪かったわよ、もう二度とやらないから」

 いやいや、それはやめられたら困るな。

「ファーストキスだったら奪って申し訳なかったわ。いくら払えば許してくれるの?」

 金で解決しようとするんじゃない。

 お嬢様は拾われた子犬のように、プルプル震えている。

「そうですねぇ」

 涙で濡れた頬を指で拭うと、俺はそのサクランボのような唇に、貪るような口付けをしていた。

 
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