【完結】天邪鬼でブラコンなメイベルお嬢様は、お仕置きされたいようです【R18】

世界のボボ誤字王

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ハロウィンの夜 8

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「お嬢様は、悪い子だ」

 半身を起こしたネイサンは、低くかすれ、さらに上擦った声でそう私に言った。私は震えあがる。今まで聞いたことがない類の声だったからだ。

 イヤ。イヤよ、怒らないで。怒らせたいわけじゃないの。

「これを解きなさい」

 糸目から覗く黒い瞳が、まるで憎しみを込めるように私を貫く。

 こわい、こんなネイサン初めて。

「いやよ」
「解きなさい、お仕置きの時間だ」

 ネイサンのおしりペンペンは、たぶんお兄様の、音だけ派手で全然痛くない叩き方とは、違う気がする。

 この剣幕だと、金属バットで殴りそう。私は怖くなって怯み、ガクガク震えた。

 嫌いにならないで。私を好きになって。

 観覧車のテッペンでチュウしたのに、効き目がないわ。どうしてこんな恐ろしい顔で私を見るの? まるで怪我した魔獣でも縛っているみたい。

 私の捕縛術でなければ、ロープを引きちぎっていたかも。

 謝ればいい? ハムサンにしてごめんなさいって、謝って解けば許してもらえる? いいえ、さっき言っていたじゃない、笑って許すことはできないと。

 これ、どうしよう。

 例えて言うなら、ゴキブリが出たとして、紙コップを上から被せて捕獲したとするでしょ? その後どうするかっていう、あの問題に直面するのよ。

 あらやだ、ネイサンをゴキブリに例えちゃったわ。どちらかというと、飢えた黒キツネね。黒いキツネなんているのかしら、赤いキツネならいそうだけど。

 混乱した頭で、猛獣がもがいているのを途方に暮れて見ていた私は、その時思い出したのだ。

 占い婆の進言を。

「ネ、ネイサン落ちついて」

 私はネイサンの上から降りた。

 必死に縄抜けしようとしているネイサンだけど、バカね。辺境伯に伝わる魔獣捕縛用の縛り方よ、いくら古武術経験者だからって逃れられるわけないわ。

 いえ……ネイサンのことだから、肩の関節を外して抜け出しかねないわね。

「そ、そうだわ、あなたにいいことをしてあげる」

 私はネイサンのズボンのボタンに手をかけた。ネイサンが固まる。

「お、お嬢様、今度は何を──やめっ……あっ!」

 あれ? やけに引っかかるわ。

 私はスボンの前を全開に寛げ、目的のものを思い切り引っ張り出した。

 ──長っ。

 何これ、長槍? ランスなの? この状態だと、ズボンのウエストからコンニチワしない? いつもコンニチワ、してたっけ?

 既視感ですぐ分かった。そうか! あの時のお兄様と同じなんだわ! 教科書でいうところの、勃起状態ってことよね!

 でも……おかしいわね、占い婆が教えてくれた方法を試すまでもなく、既に勃っているなんて……。

「ネイサン、もしかして縛られて興奮したの?」
「は?」

 ネイサンに睨まれた。なによ、手も足も動かせないくせに。

「バカなこと言ってないで、早くこのロープをんぁ──はぐぅっ!?」

 ネイサンの長槍に、私はかぶりついていた。

 恋占いはやたら高くついたけど、お兄様とルシールさんがやっていた事の意味が分かったものね!

 男性のイチモツを舐めしゃぶると、男性は気持ちよさのあまり、言いなりになるらしいの。

 だけど……。

 レロレロしながら上目遣いに観察する。

 お嬢様なんてことを! と苦しそうに呻くネイサンを見て、不安になった。

 額に脂汗をびっしり浮かべているけど、本当に気持ちいいの?

 何度も裏筋をぺろぺろし、亀の頭みたいなところを舌で叩く。

 吸い付いて、スリスリ口の中で上下させ、唾液でベトベトにしたのに、ネイサンの長槍は赤黒い筋を立てたまま。まるで怒っているみたいに強ばっている。

 勃起じゃないのかしら。怒髪天を衝く的な生理現象だったりして。 

 私は唇を離してしょげた。それとも……。

「私、下手なのかしら」

 ネイサンが荒い息とともに、何か言おうと口を開いた。

「聞きたくないわ、黙ってなさい」

 叱られるのは嫌い。いつも、はしたないとか慎みを持ちなさいとか、うるさいネイサンだ。ガミガミ説教されるのは目に見えている。

「やっぱりこれにつきるわね」

 私はネイサンの胸を、ドンと突き飛ばして倒す。ミニスカを少し持ち上げ、穿いていたビキニ紐パンをずらした。

 そして、私の唾液でベチョベチョのネイサンの杭を、そこに入れようと試みる。

『へ~、そうかい、想い人は真面目なんだねぇ。だったらほれ、既成事実を作っておしまい』

 既成事実。そう、ドッキング! それは、男女の体の関係になること。

 魔法の薬を飲ませて誘惑すれば、相手はこちらが何もしなくても、思惑通りに動いてくれるはず。

 あの婆さんそう言っていたのに! 実際は、ネイサンたら、歯ぎしりしながらこちらを激しく睨めつけている。やっぱり惚れ薬はインチキね!

 あの、表面だけは穏やかだった紳士なネイサンが。……絶対激怒している。

 もう腰を落として、ネイサンとドッキングするしかないの!

 そうすればネイサンと私は、執事と主から男女の関係に変わるのだ。

 ネイサンを、このメイベルの女の魅力でメロメロにして、グズグズにして、彼の方から私に惚れさせるの。

 執事を辞めるなんて、言わせるものですか。来年も、再来年も、ずっと私といるのよ?

 ──ところが……だ。

 ネイサンを篭絡しようと思ったのに、それ以上腰を落とせない。

 痛くて。

 あれ~? 教科書ではちゃんと入ってたけどな?

 穴が違うのかしら?

 エイッ、エイッ、と何度も腰を上げ下げし挿れようと試みるも、ランスは入口で弾かれてしまう。オロオロしていると、ネイサンが呻き声を上げた。

「お嬢様、何をなさろうとしているのです?」

 
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