【完結】天邪鬼でブラコンなメイベルお嬢様は、お仕置きされたいようです【R18】

世界のボボ誤字王

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リア充爆発しろ

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 ハロウィンを間近に控えた週末、私は学院帰りの馬車の中から、オレンジ色に装飾された目抜き通りをぼんやり眺めていた。

 学院の制服を着たカップルが、街を散策しているのをちらほら見かけて、ちょっとイラッとなる。

 お互い見つめ合い、微笑みあいながら手を繋いで歩いている彼らを見ていると、なんとも言えない気持ちになった。

「つまらない」

 教室でも卒業パーティーの相手の話ばかり。まあ別に羨ましくなんてないけど? 勝手に騒いでいればいいのよ、ただし私のいないところでね!

 うっとおしいのよ。私たちは選ばれました、みたいな雰囲気がね。

 だいたいその最たるものが、うちの両親と兄夫婦だなんて。

 ちなみにうちの両親とルシールさんの親兄弟は、早々に領地に帰った。砦を守る辺境伯が、そんなに長く領地を空けてはいられないのだ。

 お兄様たちは、ハロウィンを少し楽しんでからアボック市に戻るんだって。

 新婚旅行でもすればいいのに。でも、あまりのんびりできないのよね。雪が降る前に領地に戻らないと、道が閉ざされてしまうの。

 ……なんとなく分かっている。

 二人とも、私がハロウィンに一人にならないよう、気を遣っているんだわ。

 そりゃあ、デートする相手なんていないけど。

 いえ、先週くらいにセディの方からハロウィンデートに誘ってきてくれたわ。だけど「当日はこれ着てよ」と渡された手製のコスチュームがあまりに破廉恥だったから、怖くなって断ったの。

 例によって小悪魔の格好をさせようってわけらしい。でも広げてみると、黒いビキニの上から黒いレースの尻尾付きすけすけミニスカワンピを被る仕様になっている。

 セットで入っていた、ガーターベルトで留める目の大きな網タイツは大人っぽいからいいとして、謎なのは背中の羽。

 背負う仕様なのはいい。ただ、コウモリの羽でもないし、堕天使の翼でもない。強いて言えば、昆虫の羽みたいになっている。

 で、触覚みたいなのがついたカチューシャ。

 これ、悪魔じゃなくない? ゴキブリじゃない?

 それにスケスケワンピってさ、どう見ても下着丸見えよね?

 指摘するとセディは、

「あ、大丈夫。それ水着だから、見せていいやつ」

 でも、トップの三角形がすごく小さいわ。サイズが全然合ってない。

「あ、大丈夫。それ乳首だけ隠すやつだから」

 なぜ彼のことを無垢な天使だと思っていたのか。ただのエロガキではないか。

 ネイサンから「近づいたらいけない」と厳しく言われていなくても、警戒してしまう。

「メイちゃん、そんな目で見ないで。それは僕の開発した合成繊維だよ。商品化されたら爆発的ブームになる!」

 デートを断ったのに、キュートな笑顔でグイグイ押し付けてくるものだから、結局いただいてしまった。

 着る機会、ないわよ?

 そう。着る機会なんてない。私は眩しい物から目を逸らすように、馬車の床に視線を移す。

「別にハロウィンに、誰ともデートしなくたっていいもん」

 うっとおしいだけ。だってその後も、生誕祭だの聖バレテラデー祭だの、ホワイトデーだの……。卒業パーティに向けてのイベントが盛りだくさんなんだもん。

 そのたびに私は、妙な疎外感を覚えるのだ。

 疎外感……か。

「変ね」

 これまでは何とも思わなかったのに。お兄様が寮に入ってからでさえ、ここまで嫌な感じはしなかった。

 まるで世界で私だけ、独りぼっちになったいみたいな……。こんな気持ちには、なったことがなかった。

 そこで思い至った。

 ネイサンがいつも一緒だったからだ。

 だから寂しくなかったのに。



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