86 / 90
本当に優しくできなかったフェルナンド
しおりを挟む
ミチミチ音を立てながら侵入してきたフェルナンドの股間の船長は、まるで略奪するように我が物顔で奥まで突き進んだ。
「あっ──っ……あぐぁっ!」
ジョセフィーナは苦痛の喘ぎをあげる。
……フェルナンドが必死に突き進む船を止めよう戦っているのが、その困惑し歪んだ形相から伝わって来た。
どうやら本人にも制御不能らしい。
これではまるで海賊船ではないか。ぶつかって乗り込んでくる衝角戦法そのもの。
根元まで入ったところで、フェルナンドはやっと止まった。
串刺しにされてもがいているジョセフィーナに、絶望的な眼差しを向ける。
「くそ……ごめん……どうしてこんなことに……俺……俺は……もっとゆっくり、少しずつ港に入れようと……」
声に後悔を滲ませながら、短い息を繰り返すジョセフィーナの乳房に顔を埋め、ぎゅっと抱きしめてくる。
「吸い込まれたんだ……渦潮に巻き込まれるように」
ジョセフィーナは彼の弁明を聞きながら、呼吸と共に痛みを逃した。
フェルナンドがそのまま動かずにいてくれたので、徐々に痛みが引いていく。
たしかに、引き裂かれるように痛くて、押しつぶされるような圧迫感だ。
それなのに、フェルナンドとぴったり密着した喜びは、その痛みを忘れさせてくれた。
合体している。もう二度と会えないと思っていた人と……。
ジョセフィーナはフェルナンドの首に強くしがみついた。耳元で囁く。
「わたくしたち、今、ひとつになっているのね」
離れてはいけない存在なのね、とジョセフィーナは妙に納得していた。
フェルナンドが驚いて顔を上げ、ジョセフィーナの顔をのぞき込む。
苦痛と非難の色を探そうとしているようだ。不安そうに、眉尻が下がっている。ジョセフィーナは微笑んで安心させようとした。
今や、固い胸板に押しつぶされた乳房も、彼と同化したがっている。唇も……。
「キスは、してくれないのですか?」
上も下も、深く繋がっていないとダメなことが、この人には分からないのかしら?
フェルナンドは額から汗を滴らせながら、ジョセフィーナの瞳を食い入るように凝視していたが、やがてドロリとした低い声で言った。
「やめろ、体をバラバラにしてしまいそうだ」
「キス」
目を閉じてせがむと、毒づく声が聞こえ、薄い唇が覆い被さる。柔らかい舌が入ってきたので、ジョセフィーナは夢中で啜った。
気持ちいい。彼の星型の痣が、心地よい痺れをもたらしてくれる。媚薬とは、こんな感じなの?
「──ぐっ!?」
ズルッと熱い肉が抜かれた。でも舌から注入される甘い痺れ薬のせいで、それほど痛くなかった。
「──んぐっ……んぐあっ!」
また突かれた。滑るように抉られたので、やはり痛みはあまりなかった。その代わり、全身を駆け登るむず痒さに、ざわっと鳥肌が立った。
また引き抜かれた。あ……擦れて気持ちいい。恍惚となった時、ズンッと奥に当たるほど貫かれる。
ぶわっと涙が溢れた。おかしい、なぜか涙が出るの。痛いわけではないのに。
そう、もう痛いわけではない。気持ち良すぎて、感極まった涙が止まらない。
ふと、顔に雫が落ちてきたことに気づき、目を見開く。フェルナンドも泣いている? 唇を離した。
「フェルナンド?」
フェルナンドは汗をパタパタ落としながら、ごめん、ごめん、と突き上げてくる。
「止められない、絡みついて……」
抱きしめながら、腰をぶつけてくるフェルナンドの声は欲望にざらついているが、自責の念に駆られているようにも聞こえた。
「こんなはずじゃないのに」
ズルッ……。
「気持ちよすぎて」
ズンッ!
「痛いよな」
ズルッ……。
「ごめん」
ズンッ!
フェルナンドは、己が理解できなかった。艦乗りなんぞやっていたのだ。
陸にあがれば、あちこちの女で欲望を満たしてきた。こんな風に制御できなくなったことなど、今まで一度もないのに。まるきり止められないのだ。
そうか……。
華奢なジョセフィーナの腰を左手で抱き、指を絡めるように右手を繋ぎ、さらに深く抉りながらやっと気づいた。
俺、素人童貞だったわ。
恋焦がれた女とやったことなどなかった。
フェルナンドを夢中にさせていたのは大海原と血なまぐさい戦いであり、そこに愛だの恋だの入る余地はなかった。
ジョセフィーナ……可哀想に。
彼女は海賊に魅入られた、宝の船。略奪されるだけの。
ジョセフィーナのか細い声が上がる度に、身を引き裂かれそうなのに。どうしよう、カクカク攻める腰を止められない。
どうして、初めての時に痛いのは男じゃないんだ。どうして、女ばかりこんな目に……。
「フェルナン……ド……うぁっ……く」
泣きながら訴えてくる腕の中の天使。こんな清らかな可愛いものを、醜い怒張は抉り嬲る。
そう、苦痛を与えているのだ。
「ジョセフィーナ……許して」
「あんっ! ちがっ……ひゃん! 聞いて──」
ジョセフィーナが必死に訴える。
「痛いわけではありません。気持ちいいの。もっと速く乱暴にして平気よ」
「あっ──っ……あぐぁっ!」
ジョセフィーナは苦痛の喘ぎをあげる。
……フェルナンドが必死に突き進む船を止めよう戦っているのが、その困惑し歪んだ形相から伝わって来た。
どうやら本人にも制御不能らしい。
これではまるで海賊船ではないか。ぶつかって乗り込んでくる衝角戦法そのもの。
根元まで入ったところで、フェルナンドはやっと止まった。
串刺しにされてもがいているジョセフィーナに、絶望的な眼差しを向ける。
「くそ……ごめん……どうしてこんなことに……俺……俺は……もっとゆっくり、少しずつ港に入れようと……」
声に後悔を滲ませながら、短い息を繰り返すジョセフィーナの乳房に顔を埋め、ぎゅっと抱きしめてくる。
「吸い込まれたんだ……渦潮に巻き込まれるように」
ジョセフィーナは彼の弁明を聞きながら、呼吸と共に痛みを逃した。
フェルナンドがそのまま動かずにいてくれたので、徐々に痛みが引いていく。
たしかに、引き裂かれるように痛くて、押しつぶされるような圧迫感だ。
それなのに、フェルナンドとぴったり密着した喜びは、その痛みを忘れさせてくれた。
合体している。もう二度と会えないと思っていた人と……。
ジョセフィーナはフェルナンドの首に強くしがみついた。耳元で囁く。
「わたくしたち、今、ひとつになっているのね」
離れてはいけない存在なのね、とジョセフィーナは妙に納得していた。
フェルナンドが驚いて顔を上げ、ジョセフィーナの顔をのぞき込む。
苦痛と非難の色を探そうとしているようだ。不安そうに、眉尻が下がっている。ジョセフィーナは微笑んで安心させようとした。
今や、固い胸板に押しつぶされた乳房も、彼と同化したがっている。唇も……。
「キスは、してくれないのですか?」
上も下も、深く繋がっていないとダメなことが、この人には分からないのかしら?
フェルナンドは額から汗を滴らせながら、ジョセフィーナの瞳を食い入るように凝視していたが、やがてドロリとした低い声で言った。
「やめろ、体をバラバラにしてしまいそうだ」
「キス」
目を閉じてせがむと、毒づく声が聞こえ、薄い唇が覆い被さる。柔らかい舌が入ってきたので、ジョセフィーナは夢中で啜った。
気持ちいい。彼の星型の痣が、心地よい痺れをもたらしてくれる。媚薬とは、こんな感じなの?
「──ぐっ!?」
ズルッと熱い肉が抜かれた。でも舌から注入される甘い痺れ薬のせいで、それほど痛くなかった。
「──んぐっ……んぐあっ!」
また突かれた。滑るように抉られたので、やはり痛みはあまりなかった。その代わり、全身を駆け登るむず痒さに、ざわっと鳥肌が立った。
また引き抜かれた。あ……擦れて気持ちいい。恍惚となった時、ズンッと奥に当たるほど貫かれる。
ぶわっと涙が溢れた。おかしい、なぜか涙が出るの。痛いわけではないのに。
そう、もう痛いわけではない。気持ち良すぎて、感極まった涙が止まらない。
ふと、顔に雫が落ちてきたことに気づき、目を見開く。フェルナンドも泣いている? 唇を離した。
「フェルナンド?」
フェルナンドは汗をパタパタ落としながら、ごめん、ごめん、と突き上げてくる。
「止められない、絡みついて……」
抱きしめながら、腰をぶつけてくるフェルナンドの声は欲望にざらついているが、自責の念に駆られているようにも聞こえた。
「こんなはずじゃないのに」
ズルッ……。
「気持ちよすぎて」
ズンッ!
「痛いよな」
ズルッ……。
「ごめん」
ズンッ!
フェルナンドは、己が理解できなかった。艦乗りなんぞやっていたのだ。
陸にあがれば、あちこちの女で欲望を満たしてきた。こんな風に制御できなくなったことなど、今まで一度もないのに。まるきり止められないのだ。
そうか……。
華奢なジョセフィーナの腰を左手で抱き、指を絡めるように右手を繋ぎ、さらに深く抉りながらやっと気づいた。
俺、素人童貞だったわ。
恋焦がれた女とやったことなどなかった。
フェルナンドを夢中にさせていたのは大海原と血なまぐさい戦いであり、そこに愛だの恋だの入る余地はなかった。
ジョセフィーナ……可哀想に。
彼女は海賊に魅入られた、宝の船。略奪されるだけの。
ジョセフィーナのか細い声が上がる度に、身を引き裂かれそうなのに。どうしよう、カクカク攻める腰を止められない。
どうして、初めての時に痛いのは男じゃないんだ。どうして、女ばかりこんな目に……。
「フェルナン……ド……うぁっ……く」
泣きながら訴えてくる腕の中の天使。こんな清らかな可愛いものを、醜い怒張は抉り嬲る。
そう、苦痛を与えているのだ。
「ジョセフィーナ……許して」
「あんっ! ちがっ……ひゃん! 聞いて──」
ジョセフィーナが必死に訴える。
「痛いわけではありません。気持ちいいの。もっと速く乱暴にして平気よ」
0
お気に入りに追加
212
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
人形な美貌の王女様はイケメン騎士団長の花嫁になりたい
青空一夏
恋愛
美貌の王女は騎士団長のハミルトンにずっと恋をしていた。
ところが、父王から60歳を超える皇帝のもとに嫁がされた。
嫁がなければ戦争になると言われたミレはハミルトンに帰ってきたら妻にしてほしいと頼むのだった。
王女がハミルトンのところにもどるためにたてた作戦とは‥‥
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる